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2015年1月 9日 (金)

ダイオキシンの”元凶”の濡れ衣が晴れた塩ビ

 ダイオキシンは「史上最強の猛毒」で、「塩化ビニルなどの焼却で発生」、「新生児の死亡率が上がっている」などと騒がれたのは1990年代後半。このため、国会でもダイオキシン類対策特別措置法が1999年に成立、翌年に施行された。テレビ、新聞などで「所沢産ホウレンソウに高濃度のダイオキシン検出」などと大きく取り上げられたことを覚えている人も少なくないだろう。その塩ビの濡れ衣が晴れたという。

 塩ビと環境のメールマガジン(塩ビ工業・環境協会発行)最新号がそのいきさつを記している。第1に、PRTR法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)で優先評価化学物質に指定されていたクロロエチレン(塩ビ)について、昨年12月、政府は指定を取り消し、一般化学物質として扱うことにした。第2に、民間のグリーン購入ネットワーク(GPN)が、これまで塩ビをダイオキシン発生の一因だという情報を提供してきたのをやめると昨年11月に決めた。

 ダイオキシンは自然界にもあるし、塩分を含む食品などを燃やしても発生する。しかし、環境問題が大きな関心をよんでいた時期に、センセーショナルな報道や一部の学者、研究者が塩ビの焼却をダイオキシン発生の主因のように主張したため、塩ビが恐ろしい物質だという風評が広がった。このダイオキシンをめぐる騒ぎで打撃を受けた業界が、塩化ビニルの製造や加工の産業である。塩ビ工業・環境協会ができたのは、このダイオキシン問題に業界がこぞって取り組むためだった。

 今日では、ゴミ焼却炉の高性能化で焼却条件を適正に管理できるので、ダイオキシンの生成量は1997年当時の100分の1程度にまで下がっているという。2000年前後にも、ダイオキシンはゴミ焼却炉の適切な燃焼温度管理で外部にはほとんど出ない、という専門家の指摘もあったが、猛毒説などセンセーショナルな報道が圧倒的だった。ここにも、今日、大きな問題になっているメディアの行き過ぎがあったことは間違いない。建材、自動車など、あちこちで塩ビが使われている。寿命が長いし、マテリアル・リサイクルが容易であるなど、塩ビはすぐれた材料だが、10年以上も濡れ衣に苦しんだことはあまり知られていない。

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