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2015年1月 9日 (金)

特殊詐欺の背景に、高齢者の孤独がうかがえる

 大阪市中央区の70代の無職女性が電話による詐欺話で1億4600万円をだましとられたという。こうした特殊詐欺の被害額は昨年1年間に500億円を超えたとみられている。警察ではこうした被害に遭わないようにするための注意事項を挙げたり、預金小切手の利用を勧めたりしているが、詐欺師たちは次々に新手の詐欺話を繰り出してくるので、被害は増える傾向にあるようだ。

 金融機関が犯罪阻止に協力したりしているが、それでも、特殊詐欺はなくならない。こうした世情に対し、痛感するのは、誰もが気付いていることだと思うが、おカネを沢山持っている高齢女性が多いことである。連れ合いが先に亡くなり、夫の財産を受け継いだ1人暮らしの高齢女性である。彼女ら高齢者が1人で暮らすのはさびしい。電話もかかってこない。相談相手も身の回りにいない。

 もともと、高齢で世間常識に疎いので、だまされやすい。そういう状況にあるから、電話の相手が知らない誰かであろうと、詐欺話であろうと、まともに受け取りやすい。脅されたりしたら、簡単にそれに従う。詐欺師のほうからみれば、おいしい話である。

 かつて、豊田商事という大掛かりな詐欺組織があった。営業マン(ウーマン)が家に来てくれ、あれこれ話をしてくれたり、親身に添い寝までしてくれたりしたので、高齢で、孤独な人がだまされやすかった。しかし、犯人たちをうらむ人ばかりではなかった。全く親をほうりっぱなしにしている息子や娘に財産を残すよりも、時々来てくれる豊田商事の営業マン(ウーマン)にだまされるほうがまだましだ、と思う高齢者もいたという。

 こうした高齢者をめぐる”姥捨て山”の状況を改善することが、特殊詐欺を減らす。地域で高齢者が孤立せず、趣味や奉仕活動などで一緒に生き生きと過ごせるようになること。そうした素敵な空間を地元に築き上げることこそが成熟した日本の地域社会の大きな課題ではないか。

 いまは高齢者が多額の貯蓄を抱えたままで、それがほとんど消費に回らない。将来への不安が背景にあるからでもあるが、老後が安心して過ごせるようになれば、税制改革で富の偏在も是正しやすくなるだろう。特殊詐欺のような異常な形で富の偏在が手直しされる今日はどう見てもまともではない。

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