« 『日本国最後の帰還兵……』の重たい読後感 | トップページ | 2020年頃には消費税20%を、と言う鈴木準氏(大和総研) »

2015年4月 2日 (木)

上村達男氏のガバナンス論に賛同

 かねて公開会社法の制定を唱えている上村達男早稲田大学教授が2日付け日本経済新聞朝刊の「経済教室」で、わが国の企業統治(ガバナンス)改革の動きに対して見解を述べている。その全体を私が理解しているという自信はないが、氏に賛同するいくつかの論点について感想を記す。

 コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)とか、日本版スチュワードシップ・コードなどといった片仮名のルールが新聞などで報じられる。会社のガバナンスをめぐり、新たにいくつものルールが設けられたわけだが、それらが基本法として骨太なものかというとそうではなさそうだ。

 改正された会社法では、有価証券報告書提出会社(大企業)に対し、社外取締役を置くことを要請し、置かない場合には、その理由を説明せよと求めている。しかし、証券取引所に上場している会社はこれまで、上場規定により独立役員(社外取締役、社外監査役)を1人以上選任するよう求められている。そして金融商品取引法を所管する金融庁および東京証券取引所の主導で最近、策定されたコーポレートガバナンス・コードは、東証上場会社に対し、独立社外取締役2人以上などを義務づけている。

 しかし、これらのルールはまちまちの内容なので、いたずらに上場会社を困惑させるだけではないか。大企業といっても、ピンからキリまであり、上場か非上場かでも違う。そうした違いを踏まえ、ガバナンスの観点から会社法などのルールをどう整理すべきか、関係する専門家を動員してじっくり詰める必要がある。ちなみに、上村氏は有価証券報告書提出会社を対象とする公開会社法の制定を提唱してきている。

 上場会社の経営者は株主との対話を掲げるようになっている。ROE重視、株主還元などはその表れだろう。しかし、経営者は株主といっても、誰のことを意識しているのか。まだ、多くの経営者は機関投資家、投資ファンドなどの大株主には配慮しても、個人投資家を含む不特定多数の株主との対話には無関心だと上村氏は指摘する。

 コンピューターをフルに利用して株価変動による売買利ザヤをねらう各種ファンドなどの株主でも、期末に保有していたら法的には株主である。だが、私の思い付きだが、長い間(例えば3年以上)、株主であり続けると、配当を割増にするというような仕組みを個人株主には採り入れたらいいのではないか。上村氏の言うように、「”会社は株主のもの”という発想は、株主とは個人・市民という欧州の規範意識を背景に成り立ってきた」のであり、「対話の対象たる株主の属性を問わないようでは、文明国家とはいえない」。

 巨大なマネーを自在に動かす法人が暴れ回り、個人株主が肩身の狭い思いをする市場は、個人をベースとした健全な市場へと変わらなければいけないと思う。

|

« 『日本国最後の帰還兵……』の重たい読後感 | トップページ | 2020年頃には消費税20%を、と言う鈴木準氏(大和総研) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/184848/61378499

この記事へのトラックバック一覧です: 上村達男氏のガバナンス論に賛同:

« 『日本国最後の帰還兵……』の重たい読後感 | トップページ | 2020年頃には消費税20%を、と言う鈴木準氏(大和総研) »