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2015年5月13日 (水)

財政再建に及び腰の安倍政権

「債務が過剰に積み上がると、好況期には予想もしなかったシステミック・リスク(金融システムの不安定化リスク)が高まる」、「市場に潤沢に資金を供給すれば、政府は実力以上の経済成長を演出することができる」、「金融危機の歴史を振り返ってわかるのは、何かが起きると思われているときには、その何かはいずれ起きる、ということだけである。債務が膨れ上がった国は、悲劇に向かっている」(カーメン・ラインハートほか著『国家は破綻する』)

 政府の経済財政諮問会議で、安倍首相は財政健全化計画を6月末までにまとめるよう指示した。2020年度までに基礎的財政収支の赤字を解消すると国際的に大見得を切っているので、それに整合的な計画をまとめあげる必要がある。

 そこで、民間議員が政府を代弁して示した論点整理は、①税収を多めに見込むため、実質2%以上、名目3%以上という相当高い経済成長を基本とする、②消費税率を10%のままとする、③医療、年金など社会保障費を抑制する、との基本方向を打ち出した。それに加え、2018年度の中間目標として、基礎的財政収支赤字の対GDP比率を1%前後とする案を提示したという。

 財政再建を強く打ち出せば、国民の反発や不満が強まるおそれがある。自民・公明両党はそれが国政選挙などに響くことをおそれて、危機的な財政状況を直視しようとしない。現実離れした経済成長率をかかげて、赤字国債増発による放漫財政を続けようとしているわけだ。

 国民のほうも、借金財政の行き着く先を知らされず、既得権擁護など、個別の利益追求に走っているようにみえる。

 しかし、このままでは、遠からず日本の国家財政は破綻する。おそらくは猛烈なインフレになり、国民経済や暮らしは混乱に陥る可能性が大きい。

 いまこそ、財政の歳出、歳入を抜本的に改革する方向に転換すべきだろう。望ましい福祉社会・平和国家像を掲げ、課税の不平等を是正するなどの改革を推進していきたい。与党が目先の利益一辺倒になっているのに対し、民主党など野党がしっかりアンチテーゼを打ち出していくことが望ましい。

 ところで、先日、米国の労働運動のナショナル・センター、AFL-CIO(アメリカ労働総同盟産別会議)のリチャード・L・トラムカ会長が訪日し、日本労働組合総連合会(連合)と協議したあと、講演した。その中で、AFL-CIOが労働組合員だけの活動にとどまらず、地域のさまざまな階層、非労組員、困窮家庭などに助けの手をさしのべる活動「ワーキング・アメリカ」を全米各地で展開していることを強調した。

 AFL-CIOの全米各地にあるローカル組織が地域社会に相談窓口などを設け、住民の抱えるさまざまな悩み、相談事などを聞き、その解決のために年中、フルに活動しているという。と同時に、そうしたローカル組織は大統領選などで民主党候補者を支援するという。

 そうした活動を通じて、AFL-CIOは加盟組織およびその労働者数が増加に転じており、最近時点では加盟産別が56組織、約1250万人になっている。

 かたや、民主党を支援する連合は、AFL-CIOのように中小企業労働者や一般の生活者などの相談相手になる活動が散発的である。日本国家の財政再建を進めるには、連合などナショナルセンターが「ワーキング・アメリカ」のように弱者を支え、連帯する活動を推進し、民主党などの革新政党を支えることができればいいなと思う。

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