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2015年6月 7日 (日)

財政健全化への安倍政権の姿勢

  「これまで、政治が歳出改革や国民負担をお願いすることを逡巡し改革を先送りしてきた結果、財政が悪化の一途を辿った」――5月13日の自由民主党政務調査会「財政再建に関する特命委員会報告」(中間整理)はそう述べ、「国民とともに改革を実現し、その責任をはたしていく」と決意を表明した。

 政府はどうか。6月1日の経済財政諮問会議は、民間議員の新浪剛史氏が「経済再生なくして財政健全化なし。これが歳出・歳入改革の根幹をなす考え方である」と口火を切り、骨太方針の骨格となる改革について説明した。それによれば、2016~2018年度を集中改革期間とし、18年度の基礎的財政収支赤字をGDPの1%程度に縮小するというものである。1%とはおよそ5兆円にあたる。

 そして、この1%程度の目安に到達しないと判断される場合には、歳出・歳入両面でとるべき措置を検討し、2020年度の基礎的財政収支の黒字化を図っていくべきだとしている。以上は、安倍首相および彼を支えるブレーンのまとめた財政改革のプロセス案を新浪氏が代読したものと思われる。

 しかし、名目GDP変化率に対する税収の変化率、つまり、GDPが1%増えたら、税収が何%増えるかという想定について、安倍政権は1980年代並みの1.2~1.3程度を見込んでいる点が批判を浴びている。近年は成長率、税収ともに0(ゼロ)近傍にある。0だと基礎的財政収支赤字がはるかに大きく、したがって、もっと歳出を削り、大幅税収増を覚悟しなければならない。そうした政治的に厳しい対応を安倍政権は避けようとしていると見ることができよう。冒頭の「逡巡し、改革を先送りしてきた」歴史の繰り返しになるおそれが大である。

 同じ諮問会議の席上、麻生太郎議員(副総理兼財務大臣)は、「デフレ脱却に伴う金利上昇を見据えれば、今後は基礎的財政収支だけでなく、財政収支を注視しながら財政健全化を進めていく必要がある」と指摘した。

 そして、「経済が成長過程にある今のような時こそ、公的需要にこれ以上依存することなく歳出改革を進め、民需にバトンタッチして、民間主導の経済成長を実現していかねばならない。それこそが経済再生と財政健全化の両立の王道だ」と述べた。

 この日の諮問会議では、アベノミクスの三本の矢の一つである日銀による量的・質的金融緩和政策について直接触れることはなかった。だが、米国が年内に金利引き上げに踏み切る可能性が強く、その影響を考慮する必要があるように思われる。断トツの財政赤字を抱えていながら、”苦い良薬”を避け続ける安倍政権は、安全保障面だけでなく、経済面でも日本を危機に陥れようとしているのではないか。 

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