« 2015年6月 | トップページ | 2015年8月 »

2015年7月28日 (火)

公立小中学校の先生は長時間労働もいいとこ

 文部科学省の調査結果によると、小学校の先生(教諭)は1日に平均11時間35分も学校に、また中学の先生は12時間6分も学校にそれぞれいるという。私の親族に小学校の女の先生がいるが、労働時間はこの調査結果の平均よりちょっと長い。さらに、彼女の場合、土日のいずれかは学校に行って仕事をしているから、それを平日の労働時間に足すと、週70数時間も勤務していることになる。

 かつては、夏休みに教員はたっぷり休めたが、今日では、生徒がプールなどで登校するときは無論のこと、生徒が来ない日も出勤している。週70数時間というような長時間労働はどうみても労働基準法違反である。また、こんな調子で出勤していたら、身体を壊すおそれがある。どう見ても異常、非人間的である。子供が減って、教員の仕事がいくらか軽くなって当然なのに、現実は全く違う。

 このように”教員残酷物語”がずっと続いているのは、文科省が、教職を聖職扱いし、教員も人間であり、労働者であり、家庭を営んでいるということをほとんど無視しているからである。また、生徒の親たちも、学校や先生に対する不満や要求が少なくない。ほとんど先生の立場に立って考えることをしない。

 生徒の部活で土日祝日をつぶし、家庭をおろそかにせざるをえないとか、問題のある子がクラスになじむようになるまで家庭を訪問したりするなど、授業とは直接関わらない事柄で時間をとられる先生は多い。最近は地元との関係を深めるため、いろいろな行事の打ち合わせに出るよう求められる。良い授業を行うには、十分に準備をすべきだが、それが足りないことを余儀なくされることもあるようだ。

 このように、教員には大きな負荷がかかっているが、それらをすべてこなせる万能の人はそうそうはいない。時間外労働の手当にしても、いまは十分には支払われていないようだ。したがって、教員のなすべき仕事をしぼり、教員が授業など本来の仕事を中心に勤務できるように、周りが助ける工夫が必要だ。生徒たちの親(また、その親)とか学校周辺のボランティアなどが教員および生徒を支援する仕組みを設けたりする必要がある。自治体や文科省は、その音頭取りなどをしたらどうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年7月24日 (金)

FT買収に踏み切った日経

 日本経済新聞社が英国の経済紙フィナンシャル・タイムズを1600億円で買収すると発表した。新聞メディアにおいて、日本企業によるこれだけ大きな規模の海外M&Aは初めてである。日経はグローバル化やデジタル化・ネット化において日本国内で常に先頭に立っていたが、自前のそれでは限界があるとさとったのだろう。ただし、超低金利時代とはいえ、日経の財務内容、収益力からみて、清水の舞台から飛び降りるような決断だったのではないか。吉と出るか、凶と出るか、注目していきたい。

 たまたま、このニュースが一面トップに載った24日の日本経済新聞朝刊は「経済教室」で、平野正雄早稲田大学教授が海外M&Aの課題について書いている。①楽観的な高価格での買収は、その後の経営に大きなストレスをのこす、②買収が成功するのは、買収者側が提供できる「シナジー(相乗効果)の源泉」を持っているからだ、③欧米有力企業はM&A前に長期の事業構想を持っている、といった点を挙げている。それらに照らすと、日経によるFT買収は苦しいいばらの道が待ち受けているということだろうか。

 長期の経済低迷やネット化による紙離れで、日経の経営はかろうじて利益を出す状態。経費節減のため、会社全体にゆとりがなくなっている。FTも似た事情にあると思われるが、英国のカルチャーと日本のそれとは違う点が多い。無論、コーポレート・カルチャー(企業風土)もかなり違っているだろう。そうした違いを乗り越えて、両社を1+1=2以上の成果を挙げるようにする経営力が問われている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年7月22日 (水)

70年前の悲惨な事実:『満洲難民』(井上卓弥著)

 1945年8月9日、ソ連が日ソ不可侵条約を破って日本の支配下にある満洲国に侵攻した。関東軍は同日および10日に軍および満鉄の家族らを南方に避難させ(家族の多くは日本に帰国)、そのあと官吏の家族を避難(疎開)させるようにした。在留邦人でも一般市民は放置された。日本政府は敗戦にもかかわらず、在留邦人は満州などにとどまって定着するようにとの”棄民”政策を打ち出したのである。

 『満洲難民』を読んだ。改めて、官尊民卑の歴史を読んだ思いだ。戦争に敗れたとき、日本国の政府は旧植民地の満洲や朝鮮にいた在外邦人を救出しようとするどころか、食料や住宅の不足などがひどいので帰国されても困る、と突き放した。いま日本政府は安全保障法制の改定に踏み出しているが、戦争でいかに多くの国民が犠牲になるかを、本書を読み、実感した。

 満洲国の首都、新京にいた満洲国政府経済部の出征遺家族約270人に加え、特殊会社、満州鉱業開発や百貨店、三中井の家族、新京の在留邦人約300人など、合計約1100人が12日に新京を出発した。朝鮮北部で列車がたどりついた駅、郭山で降り、そこで衣食住のすべてで飢餓状態の悲惨な日々を送り、沢山の死者を出した。米ソの対立、朝鮮の38度線もからみ、敗戦国の国民として、日本への帰国の道を模索し、最終的には、多くの犠牲者を出しながら38度線を越え、南朝鮮に駐留する米軍に救出された。その過程が本書に記されている。

 もともと、満洲国経済部の若者たちが上司の命で疎開グループを引率する形だったため、幸い、組織的に行動できたようだ。おカネが必要だが、おカネのある人、ない人がいて、貧しい人は栄養失調になるなど、貧富の差が生死を分けることもあった。しかし、リーダー役の官吏が対外交渉にあたったり、公平な態度だったりしたのはすばらしい。たった1人の医師の態度も称賛に値する。

 本書に見るように、若手官僚たちは立派である。しかし、政治の指導者が過ちを犯せば、国民は塗炭の苦しみを味わうことになる。

 祖国に帰れず、かの地で亡くなった大勢の人たちの墓参りも、いまだにできない。北朝鮮とのまともな国交は実現しておらず、70年前の歴史は、いまなお全容が明らかになっていないのである。なんとむごい目に遭ったのか、その事実を戦後世代はわかってほしい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年7月18日 (土)

経済同友会のアピール「持続可能な社会の構築に向けて」

 経済同友会は7月17日に終えた夏季セミナーで、「持続可能な社会の構築に向けて」と題するアピールをまとめた。「これまでの延長線上に未来は無い」という書き出しを受けて、「わが国は2020年までに、財政健全化や地方創生、高齢化問題などの、解決に長期を要する課題の克服に目途をつける必要がある」と指摘。「経営者自らが心の中の岩盤を打ち破り、生産性革新を追求するとともに、新たな経営と社会の実現に挑戦する」と宣言している。

 アピールは4つの柱から成り、その2番目は、「2020年以降の新しい社会に向けて、あらためて税・社会保障の一体改革を」である。

 そこでは、財政健全化に関して、2020年度の基礎的財政収支黒字化を一里塚とし、団塊の世代が後期高齢者となる2025年を見据えた健全化の議論を始めよと主張している。もっともな指摘だ。

 歳入面では、給付付き税額控除の導入、10%超への消費税率引き上げ、法人税の外形課税拡充と法人実効税率20%台への具体的道筋の提示などを求めている。そして、「保守的な経済前提で計画を策定し、税収が見通しを超える場合には国債償還への充当を徹底すべき」と言う。これは、安倍政権の財政再建に対する取り組み姿勢に疑念を抱いていることを示したものだろう。

 歳出面では、「経済・財政再生計画」に示された改革項目の早急な具体化が必要であるとし、医療・介護の給付抑制とともに、IT活用による効率化が不可欠と主張している。しかし、歳出面での指摘はごく限られた内容にとどまり、パンチ力に欠ける。

 7月16日の経済財政諮問会議で、新浪民間議員は、医療費のうち、「調剤」の技術料だけで1.7兆円にも達していることを知らなかったと驚いている。毎年、急激に膨らむ社会保障費には、効率化して削減できる費用が多々ある。そうした抜本改革を経済同友会は積極的に掲げていってほしい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年7月14日 (火)

レスター・ブラウンの研究所閉鎖

 レスター・ブラウン氏と言えば、「ワールドウオッチ・インスティチュート」、21世紀に入ってからは「アース・ポリシー・インスティチュート」を拠点に、地球環境問題について広い視野と先見性に富んだ研究をし、国際的に啓蒙活動を行なってきたことで知られる。日本に来たとき、講演会場にスポーツシューズを履いてきたのを見て、親しみを覚えたのを思い出す。その彼が81歳となり、主宰する研究所を6月30日で閉鎖した。

 研究所での最後の”成果”は、レスター・ブラウン氏の自伝と、『The Great Transition:Shifting from Fossil Fuel to Solar and Wind Energy』の2冊。後者は翻訳書が出たばかりだ。まだ、読んではいないが、エネルギーの主役が資源量に限りのある化石燃料から、太陽光や風力といった再生可能な自然エネルギーにシフトしていく大きな移行期にあることを書いているのだろう。

 レスター・ブラウン氏は米農商務省出身であり、地球環境の変化と世界の食料事情を踏まえ、すぐれた見識と展望、および具体的な処方箋を示してきた。『Who Will Feed China?』は、人口急増の中国が食料をどうやって確保するか、と疑問を投げかけ、中国政府に大きな衝撃を与えたといわれる。

 彼の著書やニューズレターは世界のあちこちで読まれ、翻訳書も数多くの国で出版されてきた。彼の”予言”通りに事態が悪化することが多かったが、彼の”処方箋”には、まだ希望があるという明るさがあったように思う。彼は稀有の語り部であった。

 ひるがえって日本を見れば、政府は化石燃料である石油、天然ガス、石炭をエネルギー供給の柱に据え、原子力発電にも2割余、依存するという供給構造を想定している。原発にいたっては、”フクシマ”の巨大事故の教訓を十分に踏まえることなく、もっぱら”経済性”の観点から再稼働を求める声が経済界において聞かれる。

 わが国は公害対策や省エネなどではきわめて先進的であるが、他方で、化石燃料・原発依存から抜け出せないように、にっちもさっちもいかないのである。日本にも、レスター・ブラウン氏のように、環境問題を広く、深くとらえ、世論を動かすような優れた人物が出現することを望みたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年7月 9日 (木)

『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』の問い掛け

 2012年6月20日~22日、ブラジルのリオデジャネイロで「国連持続可能な開発会議、いわゆる”リオ+20”が開催された。この総会の首脳演説で、南米、ウルグアイのムヒカ大統領(当時)は、資本主義、市場経済やグローバリゼーションが人類の幸福を損ねている現実を指摘し、人々の生き方を見直すよう呼びかけた。

 その20年前、地球温暖化などの環境悪化を阻止し、持続可能な開発を促進するための国際会議、”地球サミット”がリオで開催された。この歴史的な会合では「環境と開発に関するリオ宣言」や行動計画「アジェンダ21」などを採択された。”リオ+20”は、その後の20年間を総括し、地球環境問題への新たな取り組みをめざすものだった。

 この”リオ+20”の総会でムヒカ大統領(当時)が行なった演説の内容を子供向けにわかりやすく書いた絵本『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』(汐文社)を、知人に薦められ、読んだ。かつて左翼ゲリラだったムヒカ氏は今年初めまで大統領だったが、大統領公邸に住まず、自宅(農場)で暮らし、給料の大半を貧者のために寄付するような人だという。

 その彼が演説で問い掛けたのは、市場経済やグローバリゼーションで増大する生産と資源消費、それに私たちの限りない欲望に対する疑問である。絵本では「70億や80億の全人類が、いままでぜいたくの限りをつくしてきた西洋社会と同じように、ものを買ったりむだづかいしたりできると思いますか。そんな原料が、いまのこの世界にあると思いますか」と。

 「目の前にある危機は地球環境の危機ではなく、わたしたちの生き方の危機です」ととらえるムヒカ氏は「あくことなくものを手に入れ、ものをつくり続けることがいまの社会を動かしてい」ると指摘する。そして、人々は働いて、ものを買い、使い捨てる。そしてローンの支払いに追われて人生が終わる、と。

 「人と人とが幸せな関係を結ぶこと、子どもを育てること、友人を持つこと、地球上に愛があること」、これらは人間が生きていくのに最低限必要である。社会の発展はこれらを実現し、人々を幸福にするものでなければならない。多くの矛盾を抱える現代社会に対し、ムヒカ氏の演説は根源的な問い掛けをしたのである。

 3年前、ムヒカ大統領の演説を日本に紹介する報道はなかったと思う。人口も少ない農業国の指導者がすぐれた見識を披瀝したこの演説は、現代世界の危機の本質を突いた歴史的なスピーチであった。混迷する世界、混迷する日本において、改めて、指導者とは、と考えさせられた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年7月 6日 (月)

お経を日本語で、という僧侶の活動

 親戚の13回忌法要が愛知県岡崎市の家で行われ、それに参加した。真宗大谷派の中年の僧侶が来たが、法要の進め方などが、従来、私が経験したのと異なっていて、とても興味深かった。宗教界には”フクシマ”以後、革新の動きがみられるが、今回、経験したのも、そうした流れの一つだろうか。

 この法要が始まったとき、僧侶は、「無理して正座しなくて結構です。好きにして座ってください。あぐらをかいてもかまいません」と言った。「親鸞以来、正座しなくてはならないという教えはどこにもありません。整形外科医によると、正座は足腰に一番悪いそうです」と付け加えた。

 彼によると、家庭で執り行う法要でも、どこかから員数分の椅子を借りてきて、全員が椅子に座るケースもあるそうだ。お寺によっては、お堂に、キリスト教の教会のように、椅子がずらりと据え付けられているとのこと。私個人の体験では、四十九日の法要で、お堂に出席者の数だけ、椅子が並べられていたことがある。

 また、この日の僧侶は「お経はもともとインドの言語だったのが、中国で中国語に翻訳された。しかし、日本はお経(経典)を昔から、中国語のまま、しかも下手な中国語で読んでいる。信者など聴く人は、お経が何を言っているのか全くわからないまま、ありがたいものと思っている。これはおかしなこと」と述べ、お経を日本語に翻訳すべきだという運動を永年行なってきたが、上の連中はアタマが固くて、全然聞かない、などと語った。

 私の経験だと、真宗大谷派の僧侶は葬儀などの際、薄い冊子を持ってきて、参加者に一緒に正信偈を読ませたりする。この日も、冊子を持ってきたが、内容は、大阪教区の、改革を志向する若手(?)僧侶たちが独自に編集したものだった。

 この日、僧侶は私たちに正信偈を一緒に読ませたりもしたが、冊子に載っている経典が何を言っているのか、限られた時間の中で、該当ページを示しながら、ポイントを解説してくれた。もっとも、どれだけ正しく理解したか、あやしいものだが…。

 僧侶の話などを聞いて、私の誤解かもしれないが、真宗大谷派の経典は、死者に手向けるものではなく、生者に対し、どう生きるべきか、を説いたものだということを教わった。仏教の経典への興味がちょっぴりわいた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年7月 3日 (金)

民間臨調「人口5千万人国家の衝撃」の報告から

 日本再建イニシアティブが人口問題民間臨調の調査・報告『人口蒸発「5000万人国家」日本の衝撃』を刊行した。今世紀末に、日本の人口は5千万人に縮小すると展望されている。それが日本国家・社会にどれほどの衝撃を及ぼすか、どうしたらいいのかということで、緩和・適応策を提起している。

 ここでは財政の観点で目に付いた記述をいくつか紹介する。

・日本経済は、次世代への富の移転とも言うべき国民貯蓄がマイナスに陥っている。これは財政赤字を賄うための公債発行で民間貯蓄を食いつぶしてしまい、民間で資本ストックの更新費用までを賄うことができない状況に陥っていることを示す。

・人口減少や少子高齢化が進む中で長期金利が上昇したら、国債価格が下落する。長期金利が2%上がると、国の財政は利払費が単純計算で20兆円増加する。これを増税や歳出削減で賄うのは現実的に難しい。これが財政危機の始まる”第1モード”だ。それがより深刻化して”第2モード”に突入する。国債のデフォルトだが、国内外への悪影響はあまりに大きいので、日銀による国債の直接引き受けに踏み切る。しかし激しい円安とインフレが進行する。家計への影響も甚大だ。

・インフレの悪化はもともと財政の悪化だから、政府は財政収支を改善するため、年金も、医療保険も、防衛費もバサバサ切り捨て、他方で増税を断行するというように最終手段に打って出るだろう。これは一面的な見方であり、実際に何が起こるか予測は困難である。ただ、財政や社会保障の改革をしなければ、国民の多くが大変なカオスに巻き込まれることは間違いない〔きょうのギリシャは明日の日本ではないか、と懸念する〕

・社会保障や財政の改革を進めるには、国民の危機感を背景にした政治的な合意形成も欠かせない。しかし、そうした高まりはみられない。これには、政府・与党が財政の長期推計を公表しないことが関係している。その背景には、長期推計を公表すると、社会保障を抑制しない限り、消費税を30%超に上げないと、財政が安定しないことが明らかになってしまい、政治が歳出削減と増税の板挟みに陥ることがあるとみられる。

・米、英や欧州委員会は政府機関が30年以上先の財政見通しを推計し公表している。したがって、国民は、財政の持続可能性を高めるために、どの程度の増税や歳出削減が必要か、情報を得られる。

・人口減少は経済成長を押し下げ、財政を疲弊させるリスクである。GDP比200%超という公的債務は、日本の金融と経済を根こそぎ破壊する時限爆弾のような存在となっている。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2015年7月 1日 (水)

歳出削減に腰が引けた”骨太の方針”

 政府は6月30日の臨時閣議で、経済財政運営の基本方針(通称”骨太の方針”)および成長戦略、規制改革実施計画をそれぞれ決定した。ギリシャがいままさに財政破綻に直面しているのとは違うが、日本の財政も破綻に向かって歩み続けているのは変わらない。現実を直視せず、高い経済成長という甘美な夢で財政健全化が図れるという安倍首相の路線は極めてリスキーだと思う。

 3年余り前の「日経ビジネスオンライン」で、「財政再建と経済成長を両立させる「ナナサンの法則」」なる記事を読んだ。ハーバード大学のアルベルト・アレシナ教授らが行なった研究で、OECD加盟の20カ国の長期にわたる財政データを分析。財政再建に成功したケースをみると、歳入拡大よりも歳出削減に力を入れたほうが多かったという。

 この記事では、財政再建の政策を要約して、歳出削減と歳入拡大の比率は7対3にすること、社会保障と公務員人件費とに切り込むこと、法人税(課税ベースの拡大)と間接税(消費税)を中心に歳入拡大を図ること――という政策パッケージを提案している。

 歳出削減よりも経済成長による財政再建をめざす今度の”骨太の方針”は、見通し通りにいっても、単年度の財政赤字が続くし、国債残高は現時点よりも積み上がる。それに、超低金利はいずれ修正されるから、それに備えて国債残高の削減が必要である。

 それをどうやって実現するか、道筋を示すべきなのに、安倍政権は、国民の反発をおそれて、経済成長というストーリーで誤魔化そうとしている。2020年に基礎的財政収支を黒字化するという目標は、財政破綻を避けるための初めの一歩にすぎないのに、それすら、真っ向から取り組めない安倍政権。安全保障法制の改定に力づくで臨んでいるのと同様、国民にきちんと問題点を説明し、理解してもらうという姿勢が乏しいのではないか。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2015年6月 | トップページ | 2015年8月 »