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2015年7月 3日 (金)

民間臨調「人口5千万人国家の衝撃」の報告から

 日本再建イニシアティブが人口問題民間臨調の調査・報告『人口蒸発「5000万人国家」日本の衝撃』を刊行した。今世紀末に、日本の人口は5千万人に縮小すると展望されている。それが日本国家・社会にどれほどの衝撃を及ぼすか、どうしたらいいのかということで、緩和・適応策を提起している。

 ここでは財政の観点で目に付いた記述をいくつか紹介する。

・日本経済は、次世代への富の移転とも言うべき国民貯蓄がマイナスに陥っている。これは財政赤字を賄うための公債発行で民間貯蓄を食いつぶしてしまい、民間で資本ストックの更新費用までを賄うことができない状況に陥っていることを示す。

・人口減少や少子高齢化が進む中で長期金利が上昇したら、国債価格が下落する。長期金利が2%上がると、国の財政は利払費が単純計算で20兆円増加する。これを増税や歳出削減で賄うのは現実的に難しい。これが財政危機の始まる”第1モード”だ。それがより深刻化して”第2モード”に突入する。国債のデフォルトだが、国内外への悪影響はあまりに大きいので、日銀による国債の直接引き受けに踏み切る。しかし激しい円安とインフレが進行する。家計への影響も甚大だ。

・インフレの悪化はもともと財政の悪化だから、政府は財政収支を改善するため、年金も、医療保険も、防衛費もバサバサ切り捨て、他方で増税を断行するというように最終手段に打って出るだろう。これは一面的な見方であり、実際に何が起こるか予測は困難である。ただ、財政や社会保障の改革をしなければ、国民の多くが大変なカオスに巻き込まれることは間違いない〔きょうのギリシャは明日の日本ではないか、と懸念する〕

・社会保障や財政の改革を進めるには、国民の危機感を背景にした政治的な合意形成も欠かせない。しかし、そうした高まりはみられない。これには、政府・与党が財政の長期推計を公表しないことが関係している。その背景には、長期推計を公表すると、社会保障を抑制しない限り、消費税を30%超に上げないと、財政が安定しないことが明らかになってしまい、政治が歳出削減と増税の板挟みに陥ることがあるとみられる。

・米、英や欧州委員会は政府機関が30年以上先の財政見通しを推計し公表している。したがって、国民は、財政の持続可能性を高めるために、どの程度の増税や歳出削減が必要か、情報を得られる。

・人口減少は経済成長を押し下げ、財政を疲弊させるリスクである。GDP比200%超という公的債務は、日本の金融と経済を根こそぎ破壊する時限爆弾のような存在となっている。

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人口蒸発「5000万人国家」日本の衝撃──人口問題民間臨調 調査・報告書作者: 一般財団法人 日本再建イニシアティブ出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2015/06/30メディア: 単行本 本書の最初のほうで参考としてあげられている文献にハングルの書名があったので、トンデモ本かと思って読み進めていたのだが、中身はしっかりとした内容でした。 「増税による財政再建+子育て関連社会保障増」が本書の主張なので左派的ではあるのだが、(左派系の本にありがちな)思い込みで突っ走る独善的内容ではないので非... [続きを読む]

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