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2015年9月22日 (火)

増え続ける生活保護費の見通し

 生活保護費の総額は1990年代初めから増加の一途をたどっている。日本の人口が減りつつあるが、生活保護費はこれからも増える一方なのか。財務省の財務総合政策研究所の月報「ファイナンス」9月号が国民年金保険料の納付率低下を織り込んだシミュレーションの結果を載せている。

 米田泰隆、酒井才介、中澤正彦の三氏が京都大学のDiscussion Paperとして発表した論文の概要を紹介した「ファイナンス」を読むと、国民年金保険料の納付率は1990年代半ば以降、すべての年齢層で低下している。この納付率低下の傾向が続けば、年金受給権を持たない高齢者がより増加し、生活保護を受ける人数が増える。その結果、名目GDPに対する生活保護費の割合は増え続け、2015年度の0.75%から2050年1.70%に達すると推計している。(納付率低下を反映しない場合は、生活保護費は2050年度に対名目GDP比が0.94%になるという)。

 この論文によると、生活保護費は2014年度3.8兆円、被保護者216万人。1991年度には1.3兆円、88万人だった。どちらも急増している。年齢が高いほど被保護者の割合が高く、60歳以上は他の世代に比べ、際立って高い。「わが国の生活保護は、高齢者を中心とした稼得困難世帯に対する公的扶助としての色彩が強い制度」ととらえている。

 このほか、注目したい指摘はいくつかある。辻明子氏の研究を引用し、1968年~77年出生の人たちの低賃金・低年金による潜在的老後被保護者は77万人であり、彼らが平均余命まで生活保護を受けるとしたら、17.7~19.3兆円の予算が追加的に必要だとしている。

 また、国民年金保険料の未納・未加入が許容される背景に、生活保護制度への依存があるとも指摘されている。

 さらに、生活保護費の扶助類型別割合は、医療が46.5%、生活34.6%、住宅15.7%(2012年)で、医療扶助費が最も多い。その62.9%が入院にかかるものだという。この入院医療扶助費のうち、最も多いのは「精神・行動の障害」の37.7%となっている。

 

 

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