« 40兆円の医療費データを読む | トップページ | S&Pが日本国債の格付けを引き下げ »

2015年9月11日 (金)

東芝の粉飾決算を”不適切会計”というのは疑問

 東芝が経費の計上を先に延ばしたりするなどで、利益を水増しする”不適切会計”を永年続けてきた。今年二月に証券取引等監視委員会が槍玉に上げたのをきっかけに、同社は三代の社長が責任を問われるなど、抜本的なコーポレートガバナンス(企業統治)改革に追い込まれている。

 この”不適切会計”なる言葉は、かつてなかった表現である。同社の室町正志執行役社長は「当社の不適切会計問題に関し、多大なご迷惑とご心配をお掛けしております…」と言っているが、これまでの常識だと「粉飾決算」というのが正しい。

 メディアは日本経済新聞のように不適切会計という奇妙な用語をそのまま使うところもあるが、朝日新聞など「不正会計」という用語を使用しているところもある。「粉飾」、「不正」、「不適切」の三つのそれぞれから受ける印象は大きく違う。東芝が日本有数のビッグビジネスであり、かつ原子力発電プラントの世界的な大手である、ということが、三つの表現の違いの裏にあると思うのは深読みか。

 「東芝グループ経営理念」は「人を大切にします」、「豊かな価値を創造します」、「社会に貢献します」の三つを掲げ、「グループ経営ビジョン」として、「時代の先を読み、組織の力を高め、機動力を持った経営で、適正な利潤と持続的な成長を実現する」ことをうたっている。

 そして「東芝グループ行動基準」には、「2014年10月には、人権の尊重、サプライチェーンCSR、コンプライアンスの徹底などを強化するために改定しました」とある。行動基準を読むと、東芝が理想的な経営をしているように思えてくるが、現実を知ると、単に美辞麗句を連ねただけのことかとがっかりする。

 この行動基準は20近い項目があり、「13、適正な会計」には、「会計に関する法令、基準を遵守し、一般に公正妥当と認められた会計原則に従って正確にかつ適時に会計処理を行ないます」、「経理システムの維持・改善をし、財務報告に係る内部統制の整備・運用に努めます」と書かれている。

 役員や従業員が遵守を求められるこの行動基準に、経営トップ自らが反して、株主の利益を損ねる会計の不正を招いたことは犯罪的な行為だろう。それを不適切会計というあいまいな言葉で隠ぺいすべきでない。

|

« 40兆円の医療費データを読む | トップページ | S&Pが日本国債の格付けを引き下げ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/184848/62262434

この記事へのトラックバック一覧です: 東芝の粉飾決算を”不適切会計”というのは疑問:

« 40兆円の医療費データを読む | トップページ | S&Pが日本国債の格付けを引き下げ »