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2015年10月30日 (金)

消費税の”益税”は約5千億円という推計

 10月29日の日本経済新聞朝刊に掲載された消費税「軽減税率の論点①」は、いわゆる”益税”がどれくらいあるのかについて、鈴木善充近畿大学講師の推計で約5千億円と書いている。消費税率1%の税収額が約2兆7千億円なので、その2割弱に相当するという。

 ”益税”は、事業者が消費者から受け取った消費税を税務署に納めないで、事業者のふところに入れること。中小企業が対象である。消費税の制度を導入したとき、反対する事業者の一部に認めた特例措置である。

 記事によると、”益税”の1つは、零細事業者向けの特例措置である事業者免税点制度である。年間売上高が1千万円以下の事業者は納税義務がないので、お客から受け取った消費税額を税務署に納めず、ふところに入れてしまってかまわない。この500万超の免税事業者が皆、消費税を納税したら、消費税収が約4500億円増えるという。

 また、年間売り上げが1千万円超~5千万円以下の事業者は簡易課税制度が適用されている。業種ごとに「みなし仕入れ率」(売り上げ額に占める仕入れ額の割合)を予め定めておき、それによって納税額を算出するもの。実際には、みなし仕入れ率が各業種の実際の仕入れ率より高く設定されているので、事業者のふところに入る”益税”が多くなる。

 したがって、こうした制度の歪みは早期に解消するのが望ましい。消費税を引き上げて、かつ、”益税”が増えることは、税制への不信を強めることになってしまおう。

 税制は公平・公正かつ厳格であるはずだが、政治的な要素があれこれ、からむので、消費税の”益税”が発生し、そのまま今日に至っている。これを是正するには、商品ごとの税額を表示するインボイス(税額票)を導入する必要がある。インボイスの導入なしに消費税増税に踏み切れば、適正・公平な税制からさらに遠くなるのではないか。

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2015年10月25日 (日)

増え続ける1人当たり社会保障給付費

 国立社会保障・人口問題研究所が23日に発表した2013年度社会保障費用統計。年金、医療などの社会保障給付費は110.7兆円に達した。

 その表・数字によると、国民1人当たりの社会保障給付費は1951年度に1.9千円で、その年の1人当たりGDP64.8千円の2.9%に相当するにすぎなかった。それが2013年度には、1人当たり給付費は869.3千円に達し、同年度の1人当たりGDP3795.1千円の22.9%に相当するほどになっている。

 1人当たりGDPは1997年度にピークを打ったあと横ばいないし減少の傾向を示している。それに対し、1人当たり社会保障給付費はそれ以前も以後も一貫して増加してきた。1990年度383.3千円、2000年度617.2千円、2010年度821.7千円といった風に。

 1970年度を100とした国民1人当たり給付費は2013年度は869.3と8倍強に膨らんだ。それに対し、国民1人当たりGDPは354.8と3倍半にしか増えていない。社会保障の給付増大が日本の経済社会に重荷になっている姿がうかがえる。

 一方、社会保障財源127.1兆円の収入内訳を見ると、社会保険料が49.6%、公費負担が33.9%を占める。他の収入15.8%は資産収入、その他収入という。ウエートの高い社会保険料は被保険者拠出と事業主拠出から成る。給付が増大し続けると、被保険者、事業主、それに政府がさらなる負担の配分をめぐって争うことになるだろう。

 社会保障制度の改革は抵抗が強いため、よほどの政治的リーダーシップがないと改革が実現しない。さりとて、安易な制度手直しは、歪みを広げる。国債発行で財政負担増をまかなう今の政治では問題を深刻化するだけだと思う。

 

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2015年10月21日 (水)

問題山積だから早く臨時国会を開いて

 国会では21日、野党5党が臨時国会の召集を衆・参議院議長に要求した。衆・参議院どちらかの総議員の4分の1以上の求めがあれば、内閣は召集を決めなければならないとの憲法第53条に基づく。

 憲法には時期の規定がないので、内閣は開会を先に延ばしたいらしい。しかし、いま、わが国は緊急に国会で審議すべき重要な問題をいくつも抱えている。したがって、党利党略の発想は捨て、早期に国会を開くべきではないか。

 2017年4月に消費税を引き上げる際に軽減税率を導入するか否か、導入する場合には適用の対象を何にするか、などが与党内で争点になっている。自民党では、党の税制調査会でこの問題を審議するというが、公明党の要求がかなり反映した内容でまとまりそうだ。しかし、消費税のような基幹税については、将来、野党に政権が移ったときに大きく変更されることのないように、与野党が大筋で合意するような内容が望ましい。いまから国会で与野党が議論し、合意形成に努めるのが当たり前である。

 TPPの国際的な合意を受けて、日本政府は関税引き下げの細目を20日に発表した。しかし、関税が下がる品目が多いということだけで「よかった」と評価していいものかどうか。知的財産の保護などに関する、公表されていない部分について、早く公表するよう政府に要求すべきだろう。また、輸入牛肉の関税収入が独立行政法人農畜産業振興機構に入る現在の仕組みをどうすべきかといった、各論での国会審議が欠かせない。

 安倍首相はTPPなどにからんで補正予算を組む意向を示している。そうであれば、余計、国会で主要な問題をじっくり審議する時間が必要である。

 わが国が直面している重要な問題は、ほかにも、沖縄における普天間基地の辺野古への移転問題、COP21に向けてわが国の地球温暖化対策の詰め、前国会で継続審議となった労働契約法や労働基準法の改定など、いくつもある。

 会計検査院が各省庁および関連組織の無駄遣いを指摘しているように、安倍政権のもとで行政官庁は財政健全化どこ吹く風といった様相を呈している。

 このように、課題山積の日本国である。それなのに、国会がお休みしていていいのか。前国会では、安全保障関連法制の審議で、野党がいくら追及しても、安倍首相ら閣僚は国民の疑念にまともに答えようとしなかった。そして、強引に提出法案を成立させた。そうした驕った国会運営をいつまで続けるつもりなのだろうか。

 

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2015年10月18日 (日)

保育園の運動会も面白い

 孫の通う保育園が運動会を行なう、ということで見に行った。朝9時から午後2時まで、昼食時間40分を含めて5時間、プログラム通りに各種のゲームなどが進行した。参観しての感想をいくつか記したい。

・4歳児、5歳児、6歳児と大きくなるにつれ、団体行動が整ってくる。歳が下だと、先生(保育士)がその場で指示しないと、次にどうしたらいいのかわからない子が結構多い。それが、年次が高くなると、大半の子が予め練習したように行動する。集団行動がうまくなるのである。

・とはいえ、6歳児でも、運動会の団体行動になじまず、出場をいやがって泣いたり、親のところに走って行ってしまう子もいる。これに対し、先生は親から子供を強引に連れ去ったり、泣きじゃくる子と手をつないで演技などをやらせようとする。しかし、その子らは泣くばかり。見ていて、なんともつらかった。全員参加、集団行動が望ましいという先生たちの考えもわからないではない。だが、小学校に上がる前の幼い時なのに、もう子供の発達段階や個性の違いを無視しているように思えた。

・先に、小学校の運動会を見に行ったときにも知ったことだが、親も参加するゲームがプログラムに入っている。保育園の運動会では、子供と一緒に出場するので、園児も親も一体感が盛り上がる。見ていて、こちらも楽しくなった。親だけで玉入れなどもしたが、園児は歓声をあげていた。ただし、園児たちは、自分が出場しないプログラムが続くと、退屈している様子だった。

・保育園も小学校も(といっても、この場合、特定のところ)、プログラムに工夫をしている。前年度と同じ内容のものが大半だが、新たな内容のものが含まれている。先生がたはマンネリを避けようと努力しているように思える。保育園のほうが、小学校よりも、先生がた中心の運営にならざるをえないが、てきぱきとセットしたり、片付けたりしていた。

・拡声器でプログラムの内容などを伝えていたが、私には、ほとんど騒音にしか聞こえなかった。確かに、こっちの聴力は低下しているが、会場の人たちが聞き取りやすいように、ゆっくり、明確にしゃべろうとする努力は足りないのではないかと思う。

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2015年10月11日 (日)

財政再建が遠のき、苦しむ財務省

 アベノミクスが空中分解(?)し、安倍首相は内閣改造を機に新・アベノミクスを打ち出した。自分の名前をつけるところは厚顔無恥としか思えないが、彼のやっていることは突き詰めれば、国債を大量に発行して税収を大幅に上回る財政支出を行ない、国内景気を下支えする、それに呼応して、日銀は大量に国債を購入して、超低金利状態を維持するというものである。

 また、頻発する自然災害、海外派兵などの軍事力強化、TPP批准に対応する国内対策などで、政府の財政支出増は必至とみられる。安倍内閣は来年の参議院選挙を強く意識しており、財政再建については建て前として唱えるものの、本気で取り組む様子はうかがえない。政府・日銀の極端な財政・金融政策は依然、続きそうだ。

 そんな中、財務省の財政制度等審議会は財政制度分科会で日本財政の長期展望を検討している。2020年度に国と地方の基礎的財政収支(PB)が黒字化するというのが政府の掲げている建て前だが、2020年度を含め、2060年度までの長期の財政を展望するという作業を行なっている。

 今月9日の分科会には、高齢化による社会保障給付等の増加を踏まえた2060年度までの長期財政を展望。2060年度(45年も先の話!)以降に債務残高を安定させるために2020年度時点で必要なPB改善幅を試算してみせた。今回の試算によれば、債務残高の対GDP比改善幅は9.5%~11.1%という。政府の健全化目標に沿って2020年度に国・地方のPBを均衡させた場合でも、その後に収支改善しない場合、対GDP比8.21%~9.78%の改善が必要だという。

 ややこしくてよくわからないが、従来、2020年度のPB黒字化が主目的のようになっていたが、それが安倍政権のもとでは実現しそうもないので、2060年に目標年次を先延ばししたように思える。財政健全化という常識が安倍政権のもとで無視され、財務省の姿勢が大幅に後退したということだろう。

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2015年10月 8日 (木)

2013年度の国民医療費は40兆円超に

 厚生労働省が7日に平成25年度(2013年度)国民医療費の概況を発表した。とにかく、金額のケタがあまりにも大きいので、庶民にはピンとこないが、総額は40兆610億円と、日本経済のGDP(国内総生産)の8.29%に相当する。人口1人あたりでは31万4700円である。

 発表された参考資料の1、「国民医療費の構造」と題する1ページの図を眺めていると結構おもしろい。「財源別国民医療費」の図によると、保険料が48.7%(被保険者28.5%、事業主20.3%)、患者負担が11.8%で、公費に38.8%(国25.9%、地方12.9%)も頼っている。

 「年齢階級別国民医療費」によると、65歳以上の国民医療費が全体の57.7%を占めている。70歳以上に限ると、47.2%を占める。75歳以上だけで実に全体の35.2%を費やしている。

 また、医科、歯科、薬局調剤など「診療種類別国民医療費」をみると、医科診療が28兆7447億円で71.8%を占めている。そして歯科診療は2兆7368億円(医療費全体の6.8%)、薬局調剤は7兆1118億円(同17.8%)である。薬局調剤は前年比6.0%増と著しく伸びた。

 9月6日付けのブログでは、平成26年度(2014年度)の国民医療費の速報値を取り上げた。医療費の増加傾向、その背景にある少子高齢化や長寿化、生活保護を受ける人の増大などは平成25、26年度とも変わらない。しかし、医療の分野にはムダ、浪費も多い。そこに政府が本気でメスを入れなければ、国民医療費増加のトレンドを抑制することは難しい。

 

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2015年10月 1日 (木)

世界の森林面積減少のペースが低下しているそうだ

 熱帯雨林など森林は二酸化炭素を吸収し、酸素を供給するので、地球温暖化を抑える重要な役割を担っている。国連のFAO(食料および農業に関する機関)は9月7~11日に南アフリカのダーバンで第14回世界森林会議を開催、森林に関する諸統計も発表した。新聞などでどれだけ会議についての報道があったか、定かではないが、FAOの報告などからいくつか取り上げる。

 1990年以来、世界全体で約1億2900万ヘクタールの森林が失われた。南アフリカ連邦共和国と同じ広さである。1990年、世界の陸地の31.6%、即ち41億2800万ヘクタールが森林だった。それが、2015年は30.6%、39億9900万ヘクタールに減った。森林消失のスピードは1990年代は年率0.18%だったが、2010~2015年は0.08%と小さかったという。

 また、今日、世界の森林の93%は自然林である。植林は現在、世界の森林の7%。1990年以来、1億1000万ヘクタール以上増えた。

 森林からのカーボン(炭素)排出量は2001年~2015年の間に25%減ったと推定する。森林消失の割合がスローダウンしたからとされる。

 森林面積の多い国はどこか。①ロシア連邦(全世界の20%)、②ブラジル(同12%)、③カナダ(同9%)、④米国(同8%)、⑤中国(同5%)……の順。国土に占める森林の面積は、ロシア48%、ブラジル58%、カナダ35%、米国32%、中国22%という。

 2010~2015年に森林面積が増加した国のランキングをみると、①中国(0.8%増えた)、②オーストラリア(0.2%増)、③チリ(1.9%増)、④米国(0.1%増)、⑤フィリピン(3.5%増)である。

 森林の人類に果たす役割は温暖化防止だけではない。生物多様性を維持するとともに、食料や生活物資の材料供給、清浄な空気・水の提供、生物多様性の維持など実に多岐にわたる。FAOの報告書は、森林セクターがグローバルGDPに年間およそ6000億ドル貢献し、5000万人以上の雇用を提供しているとしている。

 ところで、今回の報告書は森林消失スピードが低下したことを評価しているように読める。だが、近年、オーストラリア、米国など世界各地で大規模な山火事が発生している。地球温暖化や地下水の汲み上げ過ぎなどが背景にあり、今後も減ることはないとみられる。世界人口の増大や生活水準の向上などもあり、森林資源の減少スピードが高まるのを懸念する。

 

 

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