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2015年11月29日 (日)

人類の命運を左右しかねないCOP21

 新聞・テレビなどの報道だと、世界のあちこちが、政治的、宗教的、人種的な対立・抗争や経済不振などに見舞われ、先進国、途上国を問わず、沢山の人たちが暗い、厳しい状況に直面しているという話ばかり。パリで起きたISによるテロや、トルコによるロシア戦闘爆撃機撃墜などは、中東などにおける複雑に入り組んだ国際関係や国内対立をいっそう解きほぐしにくくしそうである。

 そうしたおり、パリでは、2020年以降の地球温暖化対策を世界中の国の首脳が集まって決めるための会議、COP21が始まる。地球全体の平均気温は化石燃料(石炭、石油など)の消費増大に伴う二酸化炭素の排出やメタンガスなどの排出により、産業革命前の平均気温よりも摂氏1度近く上がっている。このまま放置していれば、21世紀中に産業革命前よりも最大摂氏4.8度上昇する可能性もあるという。そうなったら、人類の多くが生存の危機に直面するという予測もなされている。

 地球温暖化に対して人類の多くが生き残るためには、二酸化炭素など温室効果ガスの排出を減らし、気温上昇を抑制する必要がある。他方で、ある程度の気温上昇は避けられないとして、それに耐えられる穀物などを開発するなど、温度上昇への適応をも図っていく必要がある。

 COP21は、このように、人類の将来を左右する温暖化にどう立ち向かうかを議論し、対策を決めるという、きわめて重要な会議となる。これまでの温暖化対策はEUおよび日本だけが1997年の京都議定書に則って防止対策に取り組んできたが、2020年以降は、二酸化炭素の排出量が世界で一番多い中国をはじめとして、世界中が排出削減策や適応策などの温暖化対策に本腰を入れなければならない。

 なかでも、世界で一番、二酸化炭素を多く排出している中国ができる限り早く排出削減に乗り出すか否かが人類全体の将来に大きく影響する。中国の指導者がそれを理解し、実行に踏み切ることを願うばかりだ。

 地球は有限であり、資源を大量に消費する経済社会は持続不可能である。地球温暖化は、そのことを我々に知らせている。にもかかわらず、戦争したり、資源を大量に消費したりしている我々人類は自らの墓穴を掘っているようなものだ。COP21はそのことを踏まえての国際会議であるべきだ。

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2015年11月27日 (金)

「違憲状態」判決を衆院議員は真摯に受け止めたのか

 最高裁大法廷は26日、昨年12月に行なわれた衆議院選挙の小選挙区が「違憲状態」だとの判決を下した。選挙が無効だというわけではないが、1年前の総選挙で当選した議員たちで構成されている政権に、どれだけ正当性があるのかという疑念を抱かざるをえない。

 それなのに、安倍総理大臣が27日の閣議で、この「違憲状態」判決を真摯に受け止める発言をしたという報道はない。安倍首相は一億総活躍社会やTPP(環太平洋経済連携協定)などに対応した今年度補正予算案の編成を指示した。

 その中には、低年金受給者1千万人に給付金3万円を支給することなどが含まれる。総額3千億円の規模に達する壮大なバラマキである。これらを含めて、補正予算案はおよそ3兆円に及ぶようだ。

 日本政府が国債発行などで抱える”借金”は1千兆円という天文学的な数字。さらに毎年度の予算で数十兆円ずつ膨らんでいる。それを日本銀行が年間80兆円ずつ国債を買い入れるという政策で支えている。「毒食わば皿まで」を地で行っているとしか思われない。

 このように、現在の歪んだ選挙制度のもとで多数派を形成し、国政を運営している自公連立政権は政権維持のために、財政健全化とは正反対の政策(?)をとりつづけている。いつ、それが破綻を来たすか。国民の側も、バラマキ政治の先に何が起こるか、よく考えなければならない。

 

 

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在日米軍への”思いやり予算”は減らすべきだ

 財務省の財政制度等審議会が24日、「平成28年度予算の編成等に関する建議」を財務大臣に提出した。社会保障制度や地方財政などについて改革すべき点を挙げているが、関心を持ったのは、「防衛」の部分で指摘された「一般物件費」の見直し。即ち、在日米軍の駐留経費を日本側が肩代わりする”思いやり予算”――それを減らすべきだとの問題提起である。

 日米地位協定および特別協定により、我が国は義務的経費として、米軍基地の周辺対策費、施設借料、リロケーション、漁業補償などの費用を負担することになっている。平成27年度は1826億円に達する。一方、労務費の一部や提供施設の整備費については、地位協定上、我が国が負担可能ということで、実際にも現在、負担している。これが483億円ある。

 また、在日米軍は、雇った労働者の基本給等、光熱水料等、訓練移転費について負担義務を負うものの、特別協定により、我が国が支払う状態が続いている。これは1416億円である。このうち、光熱水料等は249億円にもなるが、西欧などの米軍基地では米軍が払っている。

 これらを合わせると、我が国は在日米軍向けに年間3700億円余の予算を組んでいる。過去5年間、ほぼ横ばいに推移している。

 しかし、現行特別協定が平成27年度で切れるので、財政審の建議は経費負担の見直しを行ない、負担の減額を図るべきだとしている。

 大幅な円安で在日米軍の経費負担は減っている。また、我が国の財政悪化は米国よりひどい。それに平和安全法制などにより、安全保障分野における日本の責務が拡大したことも負担減額を求める要因になっている。

 余談だが、沖縄における米軍基地の再配置などにかかる費用も、当然、我が国の財政負担に直結する。それについては、建議は何も触れていない。

 

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2015年11月22日 (日)

沖縄の民意を踏まえた政治を

 政府は沖縄に駐留する米軍の普天間飛行場を名護市辺野古に移設するため、辺野古沖の埋め立て工事を始めている。これに対し、翁長雄志沖縄県知事は県内移設に反対多数の民意を受けて、辺野古沖埋め立て承認を取り消した。これに対し、政府は、取り消し処分を違法だとして処分撤回をめざして代執行訴訟を起こした。今後は訴訟合戦の様相を呈することになろうが、解決への前提は、政府が70年間、基地で苦しんできた沖縄の民意をどれだけ尊重するかにかかっている。

 琉球新報の松元剛編集局次長兼報道本部長が20日、日本記者クラブで行なった記者会見で、沖縄の新たな基地問題に関して基本的な知識を得た。民意尊重は、それを受けての感想である。

 松元氏の話から学んだ一つは、沖縄は対米戦争で大きな犠牲を払ったことに端を発し、戦後、一方的な接収で広大な米軍軍事基地となり、夜間訓練などによる爆音、墜落事故、米兵による犯罪などで、住民に屈従を強いてきたことである。ドイツやイタリアなどでは、夜間飛行制限などは米軍といえども現地の軍隊と同じ制限を受ける。しかし、沖縄では、日本政府が米軍を優遇している。その分、沖縄の人々は植民地住民のような扱いを受けている。

 日米地位協定によって、日本は米国に特別な優遇をしている。それを、沖縄住民の権利を尊重し、ドイツなどと同じように改めれば、沖縄住民の理解を得ることが可能になる。それを言い出さない外務省などの官庁や与党の自民党・公明党は、対米従属意識が強く、民主主義や地方自治などを軽視しているとしか思われない。

 米国政府は、日本政府が要求すれば、普天間基地から米海兵隊をハワイなどに移転するということも受け入れる柔軟性を持っているという。しかし、日本政府はそれを言い出さず、辺野古にこだわっている。その背景には、一度、言い出した以上、政治的に変更しにくい、という事情や、米軍に沖縄にいてもらうことが日本の安全保障上、望ましいという考えも強いだろう。しかし、仮想敵国の軍事力の強大化などの状況変化を踏まえても、辺野古への移転が適切か、今後、問われるかもしれない。

 沖縄には米空軍の嘉手納基地がある。米国にとっても極東の一大拠点である。日本政府が普天間→辺野古移転を強引に進めていったら、反米感情も高まり、嘉手納基地を見る住民の眼も厳しいものになる可能性がある。沖縄におけるアンチ日本政府の住民感情が強くなれば、反米、沖縄独立といった主張も広がる可能性があるようだ。日本政府が本土と比べて沖縄を差別扱いしていたら、何が起こるか。日本政府、米国政府ともいまこそ、そこまで考える必要があるのではないか。

 それにしても、民主党などの野党は、沖縄の問題にまるで関心がないようだ。どうなっているのかと言いたい。与党の公明党は、創価学会がバックにある政党なのに、沖縄の民衆の多数の心に寄り添うという様子がみじんもみられない。単なる権力亡者になっている。日本では民主主義や人権などが尊重されない。後進国のようだ。

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2015年11月15日 (日)

『震災復興の政治経済学』(齋藤誠著)は刺激的

 東日本大震災の津波被災と東京電力福島第一原発の危機に対して、政府がとった復興政策および賠償・廃炉の基本方針の内容および決定過程はどうであったか。最近、出版された齋藤誠著『震災復興の政治経済学』は、それを詳細に調べ、復興政策の財政支出が過大であること、および原発危機への対応が不徹底であることとを明らかにしている。

 私たちが漠然とだが、おかしいと思っている過大な震災復興予算、そして、原発を再稼働させるために政府がとっているわかりにくい政策。そこに鋭いメスをもって切り込んだ同書は、まさに政治経済学の名にふさわしい内容である。

 まだ、同書の全体を読み終えていないけど、このブログでは、津波被災に対する財政支出の問題に限って取り上げる。津波被災の損害については、すでに、原田泰氏(現、日銀審議委員)が『中央公論』2011年8月号で、公的部門3.2兆円、民間部門2.5兆円と推計。民間の損害の3分の2を財政が面倒をみるとしても、全体で4.7兆円の公費負担と推計している。そして、原田氏は、この推計が間違っているとしても、2倍の9.4兆円以内の公費支出におさまるはずという。

 しかるに、内閣府は、被災3県の建物被害額やライフライン、社会基盤施設などの被害額推計において、下限16兆円、最大25兆円という推計を打ち出し、それを修正しなかった。 このため、政府は最初の5年間で19兆円、復興10年間では少なくも23兆円、という復興予算規模を打ち出した。しかも、阪神淡路大震災で地方自治体の負担は半分だったのに、東日本大震災においては、地方自治体の負担はゼロ(つまり国が全額負担)という異例の大盤振る舞いを決めた。

 これに対し、齋藤氏は、建物ストック毀損額について、阪神淡路大震災とさして違わない上限額であるとの推計を示した。そして、被害額の上限は11.7兆円が妥当だという。財政負担がかくも違ってくるのである。

 同書の「第3章 なぜ、私たちは震災復興政策を大きく構えすぎたのか」は、政治経済学にふさわしい内容である。地震・津波の被災地域が実は岩手、宮城、福島県の沿岸部の線的な広がりに限定されていた。にもかかわらず、東日本大震災という広い地域を連想するネーミングを採った結果、阪神淡路大震災よりもはるかに大きい被災規模であるかのような印象が広まったという。

 とにかく、久しぶりに刺激的な書物に出会った。

 

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2015年11月12日 (木)

「労組がある企業ほど賃金妥結水準が高い」(労働経済白書)

 去る9月15日に閣議配布され、公表された厚生労働省の「平成27年版 労働経済の分析」(通称、労働経済白書)は副題が「労働生産性と雇用・労働問題への対応」である。

 それによると、米国やユーロ圏では実質賃金が実質労働生産性並みかそれを上回る勢いで上昇してきたのに対し、日本は実質労働生産性が上昇してきたにもかかわらず、実質賃金は伸び悩んでいる。その理由として、企業の付加価値の分配において、営業利益の比率が高まる一方で、人件費の比率(労働分配率)が低下したこと、輸出価格下落で交易条件が悪化し、賃金上昇圧力を相殺したことが指摘されている。

 この賃金決定プロセスについて、白書はくわしく分析しているが、その1つとして労働組合がどのような影響をもっているのかについて分析している。それによると、「労組の有無による賃金妥結水準の差をみると、非製造業ではそれほど差はみられないが、製造業において労働組合がある企業ではより高い賃金妥結水準となっている」という。

 それに続けて「さらに、規模にかかわらず、労働組合がある企業ほど賃金妥結水準が高くなっており、労働組合による賃金交渉はより高い賃金妥結水準へとつながることが示唆される」といい、「より強い交渉力を持つ労働組合が与える影響は大きいことが確認できよう」と労組の交渉力の重要性を指摘している。

 賃金の上昇が逆に労働生産性の向上を促すという可能性も踏まえると、持続的な賃金引上げも期待できると白書はいう。

 ここで、ちょっと頭を上げて世の中を眺めよう。労働組合の組織率は低下傾向にある。そして、安倍内閣は経済成長をめざして、企業に賃上げを求めている。”アベノミクス”にもかかわらず、国内経済はデフレ色を払しょくしきれない。改革は日暮れて道遠しだ。

 であるなら、安倍内閣が働く者の立場に立って、連合などのナショナルセンターに対し、労組設立運動を呼びかけ、その運動を支援することにしたらどうか。政府が労組運動を支援して組織率を高め、適切な賃上げや、ニーズに応じた多様な働き方を実現するよう努めることはおかしくあるまい。

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2015年11月 9日 (月)

会計検査院の平成26年度決算検査報告から

 会計検査院は11月6日に平成26年度決算検査報告を安倍内閣へ送付した。500ページを超える大部の報告書のうち、最後の章で国の財政(歳出・歳入)を取り上げている。

 その中で、一般会計や特別会計の重複を控除した純計額で全体の状況をより的確に把握することができるようになるとして、「一般会計の決算額のうち、大きな割合を占めている公債金及び借入金、国債費及び社会保障関係費は純計額でみると、どのような推移を示すかなどに着眼して検査した」と記している。

 また、借換債収入額と借換債償還額は歳入と歳出で同額となるので、純計表に、それらを控除した再差引純計額をも表示している。

 平成25年度の歳出総計額は483兆円、歳出純計額338兆円、歳出再差引純計額228兆円。歳出純計額のうち、国債償還などに要する国債費が58.6%にあたる198兆円、社会保障は22.2%の75兆円だった。また、歳入純計額は382兆円で、そのうち歳出需要を賄うための公債金及び借入金が56.8%にあたる217兆円だった。

 再差引純計額に占める割合は、公債金及び借入金が43.4%、国債費が38.6%、社会保障に係る経費が33.0%となっている。

 社会保障に係る25年度の歳出純計額は75兆円。年金医療介護保険給付費が64兆円と大半を占めている。その大部分が年金特別会計から支出されている。一般会計、特別会計を合わせた純計額でみるほうがよい。社会保障に係る歳出純計額は21年度72兆円から25年度75兆円へ4.6%増加した。歳出純計額から国債費を除いた金額に対する社会保障の額の割合は51.6%~54.8%に推移している。国債の償還等に要する経費を除く経費の過半が社会保障に係る経費となっている。

 社会保障に係る歳出純計額と、社会保障に係る歳入として特定できる純計額の差が25年度に18兆円に達している。「この差額は、消費税の収入以外の税収や年金特例国債以外の公債の発行収入金等によって賄われていることとなる」とし、純計額でみた財政状況を引き続き注視していくとしている。

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2015年11月 3日 (火)

群馬・栃木県の国有林を垣間見て

 国有林といっても、これまでほとんど縁がなかったが、先週、群馬県と栃木県の国有林や、林野庁の林業機械化センター、国産材で建築された中学校校舎などを見て回る機会を得た。足尾では、森林過伐や銅山の亜硫酸ガス鉱害などで丸裸となった森林を再生させる国有林治山事業の現状も見学した。

 訪れたのは、林野庁関東森林管理局管内の利根沼田森林管理署・日光森林管理署の管轄地域。行った先々で、いろいろ説明を聞き、教わることが多かった。

 基礎的な知識だが、日本の森林面積は国土の3分の2に及ぶ。森林面積2508万ヘクタールの30%が林野庁所管だという。また、日本の森林の約40%は人工林である。

 関東森林管理局管内の1都10県では、国有・民有合わせて407万ヘクタール。森林面積の占める割合(森林率)は57%に達する。森林率が多い順にあげると、山梨県78%、福島県71%、新潟県68%、群馬県66%、少ないのは千葉県と茨城県が31%、東京都は36%という。ちなみに国有林面積の割合が最も高いのは群馬県の46%である。

 戦後の植林推進により、森林資源は蓄積量が約49億立方メートルに達し、いまなお、毎年1億立方メートルずつ増加している。植林してから50年~100年の樹木は伐採し、利用するに適しているので、人工林の多くが本格的な利用期を迎えている。

 しかし、輸入依存が7割以上で、山村地域も高齢化と人口減少に直面している。このため、農林水産省、林野庁は造林、樹木保育の効率化や、高性能林業機械の導入、若者の林業就業対策などを進めているという。

 それとは別に、ニホンジカやツキノワグマが樹木の皮をはいで食べるなどの被害が漸増しているので、樹木の一本一本に生分解性のテープを巻くなどの防護策をとっているという。その現場をみせてもらった。しかし、広い国有林のすべてに防護策を実施するのは無理だろう。また、地元の猟友会と協定を結び、国有林内での狩猟を始めたが、ハンターの減少で、大きな成果は期待しがたい。地域やNPOなどの協力を確保することが必要ではないか。

 ハンターが獲たシカやクマは放射能問題があって、食べ物には供しないという。キノコなども同様、食べられない。そうしたことも、シカ、クマなどの駆逐をむずかしいものにしていると思う。

 足尾の森林崩壊に対して行なわれた地道な植林作業により、緑が回復しつつある姿を見て感動した。今回の見学では、森林国、日本のごく一部を見て回ったにすぎないが、森林が果たす役割と、それを未来にバトンタッチするために努力している人たちの存在を知った。

 森林は木材資源の提供だけにとどまらず、水源、土壌保全・山地災害防止、自然保護、環境保全などの機能を果たしている。国産材の用途の拡大をさらに工夫し、かつ経済性を高めることによって、森林の好循環が実現できればいいなと思う。

 

 

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