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2015年11月12日 (木)

「労組がある企業ほど賃金妥結水準が高い」(労働経済白書)

 去る9月15日に閣議配布され、公表された厚生労働省の「平成27年版 労働経済の分析」(通称、労働経済白書)は副題が「労働生産性と雇用・労働問題への対応」である。

 それによると、米国やユーロ圏では実質賃金が実質労働生産性並みかそれを上回る勢いで上昇してきたのに対し、日本は実質労働生産性が上昇してきたにもかかわらず、実質賃金は伸び悩んでいる。その理由として、企業の付加価値の分配において、営業利益の比率が高まる一方で、人件費の比率(労働分配率)が低下したこと、輸出価格下落で交易条件が悪化し、賃金上昇圧力を相殺したことが指摘されている。

 この賃金決定プロセスについて、白書はくわしく分析しているが、その1つとして労働組合がどのような影響をもっているのかについて分析している。それによると、「労組の有無による賃金妥結水準の差をみると、非製造業ではそれほど差はみられないが、製造業において労働組合がある企業ではより高い賃金妥結水準となっている」という。

 それに続けて「さらに、規模にかかわらず、労働組合がある企業ほど賃金妥結水準が高くなっており、労働組合による賃金交渉はより高い賃金妥結水準へとつながることが示唆される」といい、「より強い交渉力を持つ労働組合が与える影響は大きいことが確認できよう」と労組の交渉力の重要性を指摘している。

 賃金の上昇が逆に労働生産性の向上を促すという可能性も踏まえると、持続的な賃金引上げも期待できると白書はいう。

 ここで、ちょっと頭を上げて世の中を眺めよう。労働組合の組織率は低下傾向にある。そして、安倍内閣は経済成長をめざして、企業に賃上げを求めている。”アベノミクス”にもかかわらず、国内経済はデフレ色を払しょくしきれない。改革は日暮れて道遠しだ。

 であるなら、安倍内閣が働く者の立場に立って、連合などのナショナルセンターに対し、労組設立運動を呼びかけ、その運動を支援することにしたらどうか。政府が労組運動を支援して組織率を高め、適切な賃上げや、ニーズに応じた多様な働き方を実現するよう努めることはおかしくあるまい。

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