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2015年11月22日 (日)

沖縄の民意を踏まえた政治を

 政府は沖縄に駐留する米軍の普天間飛行場を名護市辺野古に移設するため、辺野古沖の埋め立て工事を始めている。これに対し、翁長雄志沖縄県知事は県内移設に反対多数の民意を受けて、辺野古沖埋め立て承認を取り消した。これに対し、政府は、取り消し処分を違法だとして処分撤回をめざして代執行訴訟を起こした。今後は訴訟合戦の様相を呈することになろうが、解決への前提は、政府が70年間、基地で苦しんできた沖縄の民意をどれだけ尊重するかにかかっている。

 琉球新報の松元剛編集局次長兼報道本部長が20日、日本記者クラブで行なった記者会見で、沖縄の新たな基地問題に関して基本的な知識を得た。民意尊重は、それを受けての感想である。

 松元氏の話から学んだ一つは、沖縄は対米戦争で大きな犠牲を払ったことに端を発し、戦後、一方的な接収で広大な米軍軍事基地となり、夜間訓練などによる爆音、墜落事故、米兵による犯罪などで、住民に屈従を強いてきたことである。ドイツやイタリアなどでは、夜間飛行制限などは米軍といえども現地の軍隊と同じ制限を受ける。しかし、沖縄では、日本政府が米軍を優遇している。その分、沖縄の人々は植民地住民のような扱いを受けている。

 日米地位協定によって、日本は米国に特別な優遇をしている。それを、沖縄住民の権利を尊重し、ドイツなどと同じように改めれば、沖縄住民の理解を得ることが可能になる。それを言い出さない外務省などの官庁や与党の自民党・公明党は、対米従属意識が強く、民主主義や地方自治などを軽視しているとしか思われない。

 米国政府は、日本政府が要求すれば、普天間基地から米海兵隊をハワイなどに移転するということも受け入れる柔軟性を持っているという。しかし、日本政府はそれを言い出さず、辺野古にこだわっている。その背景には、一度、言い出した以上、政治的に変更しにくい、という事情や、米軍に沖縄にいてもらうことが日本の安全保障上、望ましいという考えも強いだろう。しかし、仮想敵国の軍事力の強大化などの状況変化を踏まえても、辺野古への移転が適切か、今後、問われるかもしれない。

 沖縄には米空軍の嘉手納基地がある。米国にとっても極東の一大拠点である。日本政府が普天間→辺野古移転を強引に進めていったら、反米感情も高まり、嘉手納基地を見る住民の眼も厳しいものになる可能性がある。沖縄におけるアンチ日本政府の住民感情が強くなれば、反米、沖縄独立といった主張も広がる可能性があるようだ。日本政府が本土と比べて沖縄を差別扱いしていたら、何が起こるか。日本政府、米国政府ともいまこそ、そこまで考える必要があるのではないか。

 それにしても、民主党などの野党は、沖縄の問題にまるで関心がないようだ。どうなっているのかと言いたい。与党の公明党は、創価学会がバックにある政党なのに、沖縄の民衆の多数の心に寄り添うという様子がみじんもみられない。単なる権力亡者になっている。日本では民主主義や人権などが尊重されない。後進国のようだ。

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