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2015年12月23日 (水)

世代を超える戦争の記憶

 きのう、久しぶりに高校時代の友人と会った。そのとき、彼の父親が第二次世界大戦の時、日本の海軍に召集され、フィリピンで戦死したと聞いた。父親については、一度家に帰ってきた時に会った記憶がかすかにあるだけとのこと。戦後、彼の母親は毎日、午前2時から家で染色の仕事をして子供を育てたという。

 きょうは天皇陛下82歳の誕生日。ことしは、先の戦争において、外地で亡くなった沢山の国民の霊を弔うため、パラオなどを訪問された。天皇は日米開戦の1941年に小学生だったから、戦争のなんたるかは当時、おわかりにならなかっただろうが、父親である昭和天皇が開戦の当事者だったこと、そして敗戦で国民が悲惨な状態に追い込まれたことに近年、深く思いを致すようになられたのではあるまいか。

 戦争の記憶は、世代を超えて伝わる。侵略され、悲惨な目に遭わされた側の記憶は薄れず、多様な視点で伝わる。カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作品のハンガリー映画「サウルの息子」を試写会で見てそう思った。

 アウシュビッツの強制収容所と言えば、ナチスの残虐きわまりない殺戮行為を思い浮かべるだろう。この映画では、収容所に送り込まれたユダヤ人の中からガス室送りを数か月先に延ばすのと引き換えに、収容所のガス室送りや死体の搬出、焼却などの作業を行なう”ゾンマーコマンド”の一人が主役。息子と思う子供の遺体をユダヤ教にふさわしく土葬してやりたいと必死になる。

 ストーリーにはこれ以上触れないが、主人公などは映像が鮮明に見えるものの、ガス室送りや殺害後の始末などの背景の場面はぼんやりとしか見えないようにする映像づくりもすぐれている。

 EUの盟主ともいうべきドイツがナチス時代に犯した罪も、日本が第二次大戦時に東南アジア侵略で犯した罪も、ドイツ人や日本人の多くは普段、自覚してはいまい。しかし、やられたほうは、一世代でハイ終わりと、忘れ去りはしない。天皇陛下のお言葉に、私たちは多面的に触発されることが望ましい。

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