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2016年1月21日 (木)

福島原発近くにある私立病院の悲痛な訴え

 作家、村上龍氏が運営するネット「JMM(Japan Mail Media)」のNo.881 Extra-Editionは、福島県双葉郡広野町にある私立の高野病院の事務長が投稿した高野病院奮戦記である。

 これを読むと、22km北にある東京電力福島第一原子力発電所の事故によって広野町のコミュニティが崩壊し、いまは原発の後始末のために外部から工事関係者などが大勢来て住んでいること、それに伴って救急搬送が激増し、死体検案(半数は自殺)も増加したとか、除染作業員のモラルハザードなどがひどいという。

 また、高野病院では、医師や看護師などの医療従事者が恒常的に不足し、常勤医は院長ただ1人。全国から善意で手を貸してくれる人が来ているものの、人員確保が困難な状態は続いているという。

 同病院は双葉郡にある唯一の病院で、昼夜わかたず、土日休日も患者の受け入れ、医療を行なわねばならない。しかし、高野病院が郡で唯一の私立病院であることから、行政は弾力的な運用を認めてくれないと事務長はなげいている。

 投稿は「原発被災地の医療は今~」、「地域医療はだれのもの?」と2回にわたっており、まだ続くようだ。こうした被災地の実態はほとんど全国に伝わらない。全国紙などのメディアも、こうした問題をえぐろうとしない。その意味で、このJMMは貴重である。

 福島県に住む知人によれば、除染作業員などで、救急医療で病院にかつぎこまれる人が急増し、最近では亡くなる人が多いという。そうした人たちは本名も定かでない場合もあり、また医療保険に入っておらず、死んでも、遺体の引き取り手がいないとか。したがって遺骨も同様とのこと。除染作業員などを業者が全国から掻き集める際に、浮浪者や半病人のような者も連れてくるのだからという話だった。

 また、福島市のような都市部では、多額の補償金を手にした住民と、そうでない住民との感情的対立などが起きているという。

 東電福島第一原発の事故に対し、政府は除染や原発の解体などに巨額の国費をどんどん出している。その結果、福島県などの被災自治体も、阪神淡路大震災のときとは違って、国にさまざまな名目でカネをせびっているようにみえる。

 これらを総合すると、カネが人心を荒廃させているのではないか、と思う。安倍内閣のバラマキはそれらと軌を一にする。

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