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2016年2月21日 (日)

志賀・産業革新機構会長の会見に出席して

 産業革新機構という組織の名前を最近、よく見聞きするようになった。直近では、経営危機に直面しているシャープの再建策をめぐって、台湾の電子機器メーカー、ホンハイと並んで挙げられている。19日には、日本記者クラブの企画「チェンジメーカーに聞く」というシリーズの先頭を切って、志賀俊之会長が同記者クラブでスピーチをしたので、話を聞きに行った。

 志賀氏は日産自動車でゴーン会長に次ぐ経営トップだったから、その面でも、どんな話を聞けるか興味があった。

 感想の第一。スピーチの30分間、志賀氏は檀上に立って、歩き回り、手を大きく振ったりしていた。スクリーンには、細かい各種のデータ等が映された。二、三十年前のことだが、IBMなど米国の企業トップが日本に来て、会見したとき、彼らは檀上を歩き回りながらスピーチするのを初めて見て驚いたことを思い出す。日本人の経営トップにも、そうしたスピーチのやりかたをする人が少しだが、出てきた。

 感想の第二。産業革新機構の使命はというと、志賀氏は、「オープン・イノベーション」、つまり企業、事業の新陳代謝だという。それは大きく分けて再編・統合、ベンチャー育成、官民連携の3つだと述べた。

 再編・統合を掲げるのは、日本にはメーカー数が多過ぎて過当競争になっており、ROEが欧米の1/3~1/4と低収益になっているからだという。非コア事業を外に切り出す、次のコア事業を育成する、そのためにベンチャー企業を育成する、海外事業を買収してコア事業にする――そうした手を、業績が悪化する前に打つ。日本企業が勝ち続けるためには、それが必要であり、産業革新機構はそれを手伝うということのようだ。

 志賀氏によれば、グローバル競争の中で、日本企業は、事業の中身(ポートフォリオ)を見直し、入れ替えることが求められているが、どうしても不採算事業を抱えているために、徐々に地盤沈下しているという。

 事業統合などを行なうとリストラが行われる。だからといって、現状維持だと、いずれ、その事業はダメになる。日本は労働力不足になるのだから、生産性を上げて富をふやしていけばよい、と志賀氏は語った。

 感想の第三。事業再生に一番大切なことは、従業員の一人ひとりがやるぞ、という気になることだと同氏は言う。「From  Inside」だと。日産自動車の経営再建での経験を踏まえてのことだろう。講演にあたっての記念記帳では、「共感」と記した志賀氏は「共感の連鎖が起きるのを期待したい」とのコメントを付け加えた。

 最近、『読んで楽しむ”働くこと”』(相原正雄著)という本を読んだ。同書は、労働が西洋人には苦役だが、日本人にとっては価値あるお勤め、だというような話から始まって、日本は長期雇用、グループ主義、年功序列、企業別労働組合という長所を備えていると言う。日本企業の国際競争力に自信を持てと励まされるような気もするが、志賀氏が指摘する思い切った事業転換が遅れていることも否めない。

 春闘本番を迎えている。企業経営者も労働組合幹部も、大変革期に突入する覚悟を迫られているのかもしれない。

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