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2016年2月27日 (土)

寄するもの容るるが湾よ春の雪(照井翠)

 東日本大震災で岩手県釜石市も大津波の被害をこうむった。被災した一人、俳人の照井翠さんの話を日本記者クラブで聞いた。釜石の高校で国語を教えている照井さんは2013年8月に記者クラブで話をしたことがあり、今月26日は二度目。3.11からの5年間の体験や、詠んだ俳句のいくつかについて貴重な話をうかがうことができた。

 タイトルに載せた句「寄するもの容るるが湾よ春の雪」は、記者クラブのゲストに記帳してもらったもの。この句について、照井さんは「毎年、3.11が近づくとドキドキした。しかし、いまでは、海が悪いわけではない、湾は海の水を受け入れているだけなのだ、と思うようになった」という趣旨の話をしてくれた。

 同じく、最近になって詠んだ句として、「死なば泥三月十日十一日」、「冬の月いま戦前と思ひをり」、「忘れたり三・一一も英霊も」を挙げた。三月十日は東京大空襲の日、英霊は、先の戦争の戦死者を指す、と。

 3.11から、5年近く経った。大津波の被災を、過去に経験した大災害とひとくくりにする視点を照井さんは持つようになったということだろうか。

 被災後3年半経ったころに詠んだものとして、「死に河豚の垂直のまま流れをり」、「夏草や壺の口まで埋むる骨」、「蜩や山の頂まで墓場」、「万緑の底で三年死んでいる」、「分かるのか二万の蝉の溺死なら」、「草茂るずっと絶望してゐろと」とを挙げた。照井さんは「3年半で復興が成っているはずだと思い込んでいた。それなのに復興は進まない。それでいらだったり、諦めたりした気持ちが表れている」という。

 照井さんが日本記者クラブに最初に招かれたとき、記帳は「寒昴たれも誰かのただひとり」だった。スバルは星がまとまった集合体である。人も皆、誰かにとってかけがえのない存在である。そんな意味か。

 被災地で教師として働きながら、住む地域の出来事を俳句を通じて表現し、記録するのは、とても意義深い。照井さんの話を聞いたおかげで、俳句のことをろくに知らない私でも、俳句による表現の広さ、深さ、豊かさを感じることができたような気がする。

 

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