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2016年2月 6日 (土)

従業員代表の経営参加を考える

 春闘のシーズンに入った。それに合わせて、安倍政権は同一労働同一賃金の実現をめざすとぶちあげた。一方、業績不振・粉飾決算の東芝が7千億円を超える損失を今3月期に計上する見込みというし、経営危機に直面するシャープを買収しようと、台湾の鴻海精密工業が総額7千億円規模の支援をシャープの経営陣に提案したという。

 デフレから脱し、格差社会を是正するにはどうしたらよいのか。また、日本経済を支える企業の強みとは、弱みとは何か?そうした本質的な問いが私たちに突き付けられているように思える。

 1年前に出版された『なぜ日本企業は強みを捨てるのか』(小池和男著)を読んだ。副題に「長期の競争vs.短期の競争」とある同書は、マクロの極端な経済政策に振り回されず、企業が長期の競争力を維持することが日本の経済発展につながると言っている。

 本書の論旨は「はしがき」にまとめられている。日本企業の強みは、長期の競争力を重視する慣行である。研究開発投資1つとっても見るべき成果を得るには10年はかかる。この長期重視こそが雇用を確保し、暮らしを支える。その長期の競争力の根源は人材とその育成であり、職場で工夫をこらし、経営方針にも発言する従業員の存在である。

 株主重視、ファイナンス重視の短期化に抗して、企業の役員会に従業員代表を参加させること、それこそが長期の競争力を強化する。従業員の参加はドイツなどEU内で行われているが、とりわけ、いまの日本に適した、効果の大きい方策ではないか、と本書の末尾で締め括っている。

 従業員の経営参加は、日本企業にとって望ましい方向だと思う。ただ、過去の日本企業の歴史を振り返ると、労使協調の内向き志向が行き過ぎて、企業の社会的責任が十分に自覚されなかったのを思い起こす。公害問題もその1つの表れだった。東芝の粉飾決算などからどのような教訓を汲み取るか。今後の日本企業のガバナンスの課題だろう。

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