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2016年2月27日 (土)

東芝は不適正会計? 不正会計? それとも粉飾決算?

 東芝が外部に公表する決算の数値を誤魔化していた事件。これに関する本が相次いで出版された。今沢真著『東芝 不正会計 底なしの闇』(毎日新聞出版)、それに浜田康著『粉飾決算―問われる監査と内部統制』(日本経済新聞出版社)である。

 前者の著者は、毎日新聞の論説委員兼経済プレミア編集長であり、東芝に焦点をしぼった読み物である。そして、後者はあずさ監査法人の代表社員であり、過去の大きな粉飾決算についても取り上げている。

 東芝事件が表面化した当初、メディアは、東芝のトップも使った”不適切会計”という表現で記事にしたり、”不正会計”という言い方を用いたりした。前者については、「東芝グループ行動基準」の「13.適正な会計」という用語があるので、その否定表現として出てきたものかもしれない。

 だが、従来、当たり前に使われてきた”粉飾決算”という用語で東芝事件を報道したメディアはなかったのではないか。そこに、個人的には違和感を覚えた。

 半世紀前の1965年に、山陽特殊製鋼が倒産し、粉飾決算というものが広く知られるようになった。この山特鋼の決算粉飾を中心に、当時の日本経済新聞編集局証券部の記者が書いたのが『粉飾決算』という本だった。以後、粉飾決算という言葉は広く人口に膾炙するようになった。

 そういう歴史を歩んだ日本経済新聞社が、今回の東芝の事件報道に対して粉飾決算という表現を使わないというのはなぜだろうか。日経の子会社の日本経済新聞出版社が今回、出した本は会計士が執筆したものなので、”粉飾決算”という言葉をタイトルに使っても問題はないということなのか。テレビ番組「相棒」シリーズの主人公、右京ではないが、細かいことが気になる。また、毎日新聞の論説委員が著書のタイトルに”粉飾決算”という表現を用いないのも釈然としない。

 安倍政権になってから、メディアはあからさまな政府批判を控えるようになっているのではないか。そうした気配が積み重なって、言論の封殺につながっていくおそれがある。それを憂うる。

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