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2016年3月31日 (木)

若いって素晴らしい、夕張市長35歳

 3月30日に、鈴木直道夕張市長が日本記者クラブで会見した。戦後、炭鉱で栄えた歴史を持つ夕張市は10年前に財政破綻して財政再建団体に移行した。そして、これまでの10年間に95億円を返済した。しかし、財政再建一辺倒で地域の再生につながらない。そこで、夕張市の再生を目指して「夕張市地方人口ビジョン及び地方版総合戦略」を3月に打ち出した、という。

 借金返済の主な原資は職員を260人から100人足らずに減らし、職員給与を年収で4割削減したことである。しかし、いまでは、市民から職員の給与を改善すべきだという声が出てきているという。これからは、地域再生に移行し、未来志向の政策に転換していくと同市長は語った。

 政策転換の具体的な内容についていろいろ質問されたが、同市長は、即座に答える。そして、日本全体の人口が減少し、国の財政も健全化していない点を取り上げ、夕張市の改革が日本の改革の先取りをしている課題先進地という自負をのぞかせた。

 言うはやすく、行なうは難し。夕張市の前途は厳しいものがある。それを百も承知で、住民と一緒になって夕張の再生を目指し、先頭に立つ鈴木市長の闘志は敬服に値する。

 鈴木氏は1981年3月生まれの35歳。東京都庁の職員だった2008年に夕張市に派遣されたのが契機となって、2011年4月に夕張市長に就任し、2015年に再選された。この日の会見を見ていると、将来展望が描きにくい現代、彼ぐらいに若い人が国政を含め、リーダーになったほうが、大胆な発想と行動で難局を乗り切れるのではないかと思ったりした。

 

 

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2016年3月27日 (日)

早くも2016年度の補正予算を、というのはどうかしている

 2016年度の国家予算が成立していないのに、早くも自民党有力者から、2016年度補正予算を求める声が聞かれる。日本経済は日銀のマイナス金利導入が示すように、なかなか景気が上向かないが、さりとて危機的な徴候がみられるわけではない。それなのに、いまから、補正予算を、というのはどうかしているのではないか。自民党は政権与党らしく、王者の風格を示してほしいものだ。

 国際情勢の緊迫化を背景に、安倍首相は憲法改定を目論んでいる。このため、自民党は夏に衆参同時選挙実施を想定し、それに与党が勝利するためには、国民が経済的に明るい気分になっているようにする必要があるとして、早々と補正予算云々と言い出したように思われる。財政健全化が必要なのに、それは無視して、現金給付などのバラマキで人気取りをというのだろう。

 日本では、国政選挙、地方選挙が毎年のように行われている。そのため、当面の選挙に勝つための公約は目先のものばかりで、中長期の政策は軽視される。また、投票する側の選挙民も、目先の利益にしか目が行かず、長期的な視野を欠きがちである。それが、補正予算云々につながっている。

 毎年20兆円程度の財政赤字を積み重ねている日本。その危機的な財政事情を国民に訴え、財政再建に努めるのでなければ、いずれ国家財政は破綻の憂き目に遭う。このままでは、いずれ災厄が襲ってくるだろう。

 

 

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2016年3月24日 (木)

ユニセフ親善大使、黒柳徹子さんの話から

 24日、日本記者クラブで、タレントの黒柳徹子さんがユニセフ親善大使として訪れた国々での体験や思い出を語った。小生、聴力が減退したため、きちんと聴き取れなかったが、以下に、会見で印象に残った話を紹介する。

・1984年に初めてユニセフ親善大使としてタンザニアを訪れて以来、つい最近のネパール訪問まで、30ヵ国以上を訪問した。ネパールでは、昨年のマグニチュード7.8の大地震で60万戸もの家が倒壊し、小学校は全部壊れていた。地震は土曜日に起き、学校が休みだったのが不幸中の幸いだった。街はほこりがひどく、エベレスト山も見えなかったほどだ。

・アフリカ諸国や、子供たちが恵まれない国々を中心に訪問してきた。紛争地域が多く、そこでは、子供たちが厳しい状況に置かれている。そうした現地に足を運び、支援や励ましを行なってきた。いくつも難民キャンプを訪れたが、子供の自殺はなかった、子供はなんとか生きて行こうとする。

・(アフリカに多く行っているのはなぜか?)アフリカの子どもはかわいい。大人のやっていることはひどい。それに対し、子供はかわいい。

・スーダンで、子供たちに欲しいものをたずねたら、第一に平和、第二に学校、第三に、すぐれた先生、だと答えた。子供たちは勉強したがっている。

・人口が1000万人の国に小児病院が1つしかないなど、多くの国が政治がうまくいかない。それは、人材が不足しているからだ。

・いままで親善大使を続けてきたのは、初めて間もない頃のインドでの体験がもと。同国には破傷風にかかる人が多い。この病気にかかって身体が硬くなっている子供を見舞い、日本語で頑張ってねと言ったとき、この子が「あなたの幸せを祈っています」と言ってくれた。それがもとになっている。

・最初、タンザニアに行くとき、象などの動物が見られると期待した。でも、同国で象などを見かけることはなかった。30年間、行った先でそうした動物を一度も見なかった。アフリカの子供たちは象を知らない。

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2016年3月21日 (月)

平成26年度の地方財政は100兆円近い歳出規模

 総務省が18日に発表した平成26年度の「地方財政の状況」によると、歳出総額は98.5兆円、歳入総額は102.1兆円であった。この歳出入には東日本大震災分が4兆円余含まれているが、100兆円前後というのは、国の一般会計の歳出入に匹敵する規模の金額である。

 地方公共団体のうち、実質収支が赤字の団体は2つだけ。前年度は4団体だった。経常収支比率は92.1%(前年度91.6%)なので、数字の上では、地方財政は一応、健全ということになるのだろう。

 しかし、普通会計が負担すべき借入金残高は、200.5兆円と依然、高い水準にある。その内訳は地方債現在高が146.0兆円、交付税特別会計借入金残高が33.1兆円、企業債現在高(普通会計負担分)21.4兆円である。国の借金財政が膨張を続けているのに比べれば、地方財政の悪化にはある程度、歯止めがかかっていると言える。

 地方財政のアキレス腱とも言うべき地方公営企業。全体の事業数は8662で、一番多いのが下水道の3638、次いで水道2097、そして病院639、交通91の事業数となっている。支出をみると、下水道が5.6兆円、病院5.1兆円、水道4.2兆円、交通1.3兆円。収支は病院が4852億円、交通1126億円とそれぞれ赤字になっている。

 病院や交通は住民の生活を支える重要なインフラだが、採算面で厳しい状況にあることを示している。下水道は1979億円、水道も1814億円の黒字である。3分の1強の公営企業は会計基準見直しが適用になり、隠れた赤字の表面化で、決算数字が悪化したという事情もようだ。

 地方公共団体が公正かつ適切に住民に貢献しているかどうか。それを知るうえで各地方公共団体の財政情報公開が求められるが、各自治体ともそっけない。集約された「地方財政の状況」もまた、国民にわかりやすい情報提供をしているか疑わしい。

 安倍政権はいろいろな形でカネをばらまくことに熱心だが、それが全体として、国や地方の財政に及ぼす影響については、全く知らぬ存ぜぬである。

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2016年3月14日 (月)

3.11からの5年間で、原発への危機意識は風化した?

 3.11のあの日から満5年ということで、メディアはさまざまな特集を組んだ。その一部しか見聞きしていないが、日本という国家が福島原発のメルトダウンによって壊滅的な打撃を受ける危機に瀕したことを思い起こさせてくれた。しかも、停止した福島第一、第二原発の廃炉をなしとげるには未だ技術的なメドがつかない点が多々あるという。

 それなのに、電力会社も政府も、従来型の軽水炉の運転再開に踏み切っている。①電力の供給量不足を解消する、②停止中の原発を動かすほうが電力コストが低くすむ、などの事情が背景にあるようだ。だが、今後、フクシマ同様の放射能汚染を引き起こし、国民の生命や財産などに危険が及ぶことがないと言えるか。

 フクシマの反省や教訓が国民全体のコンセンサスになってもいないのに、早々と既存原発の運転を再開したのは、この国の民主政治が歪んでいるからだろう。国民の忘れっぽさにも原因がある。

 ところで、2011年3月11日以降の世界をみると、途上国では宗派対立や人種対立に基づく内戦、テロが多発。ISのように狂信的な戦闘集団も生まれた。先進国内においては貧富格差の拡大や難民受け入れ増加などによる国内対立激化や、テロも起きている。また、民主政治が未熟の中進国においても、政治的混乱が生じている。そして、ロシアや中国は帝国主義的な攻勢を強めている。これらのさまざまに入り組んだ対立関係が、いまや世界を揺るがしている。

 日本は大震災からの5年間、対外関係で大きな危機に直面することはなかった。しかし、原発も、対外関係も、打つ手を誤れば、これからの日本は一気にきわどい局面に陥るおそれがある。政治家には内政、外交とも、大きな流れを踏まえた適切な判断と行動を望む。

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2016年3月10日 (木)

小熊英二氏の指摘はとても重要だ

 東日本大震災の復興に関する小熊英二氏の意見が朝日新聞の3月8日付け夕刊と9日付け朝刊とに掲載されている。前者は小熊氏が執筆したものと思われる。後者は記者が聞いて書いたものだが、いずれも、被災地復興の5年間を振り返った総括として適切な指摘である。

 大震災の復興費用として32兆円が見込まれている。「これは被災者1人あたり約6800万円に相当する」という。その金額の多さに驚くが、「その多くは建設工事に使われ、被災者の生活支援に直接支給されるのは約1%にすぎない」というのには唖然とする。

 「復興とは本来、被災地に持続可能な社会を再建することだと思います」と小熊氏は言う。しかし、現実には、政府は「高度成長期に形成されたインフラ整備中心の復興政策のコンセプト」を採用し続けた。その時代錯誤を同氏は指摘する。

 では、「政策の是非ではなく、なぜ被災地のこうした事態が、これまで十分に報道されなかったのか」と突き詰める。小熊氏は「おそらくその原因は「遠慮」だったと思う」と書いている。「被災地は官民ともに頑張っているのだから……」とか、「……先走った報道をするべきでない」とか、「…県や市から情報をもらえなくなる」とか。被災地に入った支援団体、研究者にもそうした遠慮が感じられたという。

 そして、知恵、即ち、社会の変化などを総合的に把握し、理解する能力と、勇気、即ち、真実を語り、長期的視点から社会に貢献する気概とが、彼らに欠けているように見えたという。

 また、震災以降の報道をめぐる状況も同様で、知恵と勇気が不足していると厳しく批判している。

 3.11から丸5年を迎える。その間に、政治や経済などをめぐる状況は大きく変化した。それだけに、5年間の歩みと残った課題とをきちんと把握し、事態改善のため、今後、一歩でも前に進むようにと願う。小熊氏の主張はそのための大きな示唆を与えてくれている。

 

 

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2016年3月 6日 (日)

”想定外”という言い訳、責任逃れ

 3月5日の朝日新聞は、「東日本大震災5年」特集で、「科学者の責任」と題するインタビュー記事を掲載。インタビューに応じた2人のうちの1人、鈴木康弘名古屋大学減災連携研究センター教授の発言は刮目すべきものがある。

 ・「低頻度巨大災害」はきわめてまれにしか起きないが、起きたら甚大な被害が生じうる。この低頻度巨大災害は人間の手に余る不都合な真実かもしれないので、その可能性に気付いても目をつぶりたくなるが、「それではいけないというのが3.11の最大の教訓」である。

 ・「福島沖の日本海溝で巨大地震が起き、大津波が発生しうる。そんな報告を政府の地震調査研究推進本部が2002年にまとめたのに重視されず、原発での津波対策の遅れにもつながりました。対策を取る側が不都合な真実に目をつぶったのです」。

 ・想像もしなかったという意味で「想定外」と言われたりしたが、震災直後に防災責任者が想定外と言ったのは、「大津波の予測はあったのに対策上の想定から外していたという意味だったはず」と言う。

 ・「予測と想定をきちんと区別すること。そして予測する側、想定する側が連携を密にしつつ、かつ、それぞれの責任を明確にして適度の緊張感を保つことが必要」という。

 三陸地方を襲った巨大津波について、政府や企業、それに科学者、技術者がどう予測していたのか、いなかったのか、彼らの責任はどう追及されるべきか、等々。5年たっても、あいまいだが、鈴木教授の発言は、それを改めて考えさせてくれた。

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春の訪れ、騒然たる世界

 この春ほど、世界各地で国家や社会を揺るがす騒然たる動きがみられる時は過去になかったように思う。

 ヨーロッパでは、シリアなどからの難民、移民受け入れをめぐるユーロ圏内の対立が続いており、英国のEU離脱か否かの国民投票も予定されている。EU加盟を目指してきたトルコは、エルドアン政権が政府批判の新聞社「ザマン」を事実上、接収するという強硬な手段に出ている。

 米国では、次期大統領選挙を控えて、民主党、共和党の候補者選びが始まっている。共和党では、政治的経験がなく、世界のリーダーシップをとるべき米国の立場を無視する内向きの極端な公約をぶつトランプ候補が予備選で勝利する可能性もある。同候補が最終的に米国の大統領に選ばれれば、世界の政治や経済は混迷の一途をたどるかもしれない。選挙戦でトランプ氏や民主党のサンダース氏が票を獲得している背景には、貧富の格差の拡大などに対する庶民の不満がうっ積している現実があるようにみえる。超大国とはいえ、経済力の衰えた米国の余裕の無さが浮き彫りにされつつある。

 ブラジルでは、汚職事件をめぐるルラ前大統領への事情聴取や、ルセラ大統領の捜査妨害関与の疑いなど、政治的な紛争が起きているし、マレーシアでは、ナジブ首相の政府系ファンドに関する汚職疑惑が大きな問題になっている。マレーシア政府が、これを報じるニュースサイトの閲覧を制限するなど、報道規制も起きている。

 米国に次ぐ超大国、中国は全国人民代表大会を開催したが、2016年の国防費を前年比7.6%増と、経済成長率を超える9543億元(約16.7兆円)に膨らました。海洋国家としての権益拡大を露骨に示すもので、北朝鮮の核開発と合わせ、東南アジアの緊張感が一段と高まる。中国は、言論規制などを強める方針も示しており、米国の対中政策のゆくえとからんで、世界政治危機の震源となる可能性もありうる。

 ひるがえって日本を見ると、安倍政権が憲法改定を目指して布石を打っている。参院選挙を夏に控え、国内景気を良くしようとしている。厄介な問題は選挙後に先送りしようというのも同じねらいからだ。日銀政策委員の交代にあたって、リフレ派の人を後任に指名するとか、米軍普天間飛行場の移設先とされる名護市辺野古での移設工事中止を含む国と県との和解がそれだ。また、安倍政権は、春闘に合わせて、同一労働同一賃金などを打ち出したりしている。野党の結束は遅れ気味だが、憲法改定問題が国内政治の重大な争点になっていくことは大いにありうる。

 

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