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2016年3月10日 (木)

小熊英二氏の指摘はとても重要だ

 東日本大震災の復興に関する小熊英二氏の意見が朝日新聞の3月8日付け夕刊と9日付け朝刊とに掲載されている。前者は小熊氏が執筆したものと思われる。後者は記者が聞いて書いたものだが、いずれも、被災地復興の5年間を振り返った総括として適切な指摘である。

 大震災の復興費用として32兆円が見込まれている。「これは被災者1人あたり約6800万円に相当する」という。その金額の多さに驚くが、「その多くは建設工事に使われ、被災者の生活支援に直接支給されるのは約1%にすぎない」というのには唖然とする。

 「復興とは本来、被災地に持続可能な社会を再建することだと思います」と小熊氏は言う。しかし、現実には、政府は「高度成長期に形成されたインフラ整備中心の復興政策のコンセプト」を採用し続けた。その時代錯誤を同氏は指摘する。

 では、「政策の是非ではなく、なぜ被災地のこうした事態が、これまで十分に報道されなかったのか」と突き詰める。小熊氏は「おそらくその原因は「遠慮」だったと思う」と書いている。「被災地は官民ともに頑張っているのだから……」とか、「……先走った報道をするべきでない」とか、「…県や市から情報をもらえなくなる」とか。被災地に入った支援団体、研究者にもそうした遠慮が感じられたという。

 そして、知恵、即ち、社会の変化などを総合的に把握し、理解する能力と、勇気、即ち、真実を語り、長期的視点から社会に貢献する気概とが、彼らに欠けているように見えたという。

 また、震災以降の報道をめぐる状況も同様で、知恵と勇気が不足していると厳しく批判している。

 3.11から丸5年を迎える。その間に、政治や経済などをめぐる状況は大きく変化した。それだけに、5年間の歩みと残った課題とをきちんと把握し、事態改善のため、今後、一歩でも前に進むようにと願う。小熊氏の主張はそのための大きな示唆を与えてくれている。

 

 

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