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2016年5月20日 (金)

財政審の建議の読み方

 財務省の財政制度等審議会が5月18日に『「経済・財政再生計画」の着実な実施に向けた建議』を発表した。「経済・財政再生計画」は2015年6月に閣議決定された。2020年度の国・地方の基礎的財政収支を黒字化し、その後、債務残高対GDP比を安定的に引き下げるという健全化目標の堅持を表明した。

 安倍政権は近く開催されるG7伊勢志摩サミットにおいて、参加各国が財政主導の経済発展を進めることで合意するよう、これまで働きかけてきた。しかし、G7の中で最も財政状況が厳しい我が国が、率先して財政主導の経済発展を唱えるのは、どう見てもおかしい。野党までもが消費税を2%分引き上げるのを再度先延ばししようとするなど、日本の財政危機は一層深刻化しかねない。

 そうした中で、財政を担当する官庁の財務省としては、安倍首相ら自公政権の財政運営に婉曲に懸念を表明したのが今回の建議ではないか。それを示す文章を以下に紹介する。

・我が国は、各国よりも厳しい財政状況にあるにもかかわらず、各国より緩い財政健全化目標を設定している状況にある。この状況を踏まえれば、我が国が各国以上に、計画に沿って財政健全化に向けた取り組みを着実に進めていくことは当然である。

・経済ショックは繰り返されるものであり、想定外の事象が発生したとしても、(財政健全化への)取り組みを後退させることなく、(財政構造改革や財政健全化などの)計画を着実に遂行していく必要がある。

・想定を上回る税収が得られる場合には、歳出増に充てるのではなく、債務削減に充てるのが原則であることも確認された。このような対応により、財政面での「貯金」をすること、即ち財政収支の改善を前倒しで実施することは、将来起こり得る経済ショック等に対して適切な経済対策を打つ余力を確保することにつながる。

・平時に堅実な財政運営を行なわないことのコストがいかに高いものであるかは、ギリシャの例がよく物語っている。

・資産売却収入は原則として債務償還に充当すべきであり、政府として取り組むべき重要課題に対する追加的な財政需要については、歳出改革により財源を賄うことで対応すべきである。

・経済成長のみでは財政健全化は成就しない。同時に、財政健全化のためには、経済成長も重要な要素である。

・財政状況が厳しい我が国においては、経済再生に向けて財政出動のみに依存せずに、聖域を設けることのない構造改革の取り組みを一段と加速していくべきである。

 以上、もっともな内容ばかり。建議のごく一部分を紹介したに過ぎないが、財務省が審議会の建議という形をとって、アベノミクスに対して厳しい批判(というか不満?)を展開していることがわかるだろう。

 

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