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2016年7月29日 (金)

都内住民に航空機騒音を振りまく羽田増便案

 羽田空港の発着便数を年間3.9万回増やす案が28日、国土交通省から東京都や埼玉県などの関係自治体に示され、自治体側が了承したという。いまある4本の滑走路を効率的に運用して発着回数を増やすには、飛行ルートを変えて、現在の海の上を飛ぶのをやめて品川区、大田区、目黒区など陸の上を飛ぶほうがいい、という発想に基づく。

 当然、飛行ルート直下や飛行ルートに近い地域の何十万人どころか、それ以上の住民が騒音などの公害を受ける。1時間に90回(1分に1.5機)も離着陸して飛行機の騒音をまき散らすというのを、関係自治体が了解したというのは、どうかしている。

 大気汚染や自動車公害などで、日本人は”外部不経済”といわれる概念を学んだ。企業などが収益を上げるために、廃棄物、騒音などを外部に放出し、被害、その処理費用を社会に負わせることを言う。羽田空港の増便対策は、そうした環境問題の典型的な元凶とも言うべきものだ。メディアは、東京オリンピックに備える、空港の発着回数競争に対応するなどといった政府の説明に踊らされている。

 今回の発着便増案は、沖縄の米軍普天間基地に匹敵する騒音等公害を東京の上空から大量に振りまくのに等しい。国交省は低騒音機の導入を促進するとか、騒音被害が大きいところには防音工事の助成制度を用意するなど、というが、年間発着枠が約45万回から約49万回と1割弱増えるだけのために、東京の人口密集地域を騒音公害づけにするのは大間違いだ。

 環境立国日本と言っていたのはウソだったのか。おりからの都知事選で、きちんと問題点を指摘する候補者がいたらうれしい。

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2016年7月22日 (金)

悪化し続ける国の借金財政

 最近、財務省が「債務管理リポート2016」を発表した。副題は「国の債務管理と公的債務の現状」とある。日本は先進国では国の財政状態が最悪であり、財政破綻のリスクが高まっている。にもかかわらず、そうした実態の深刻化を示す財務省の年次報告がメディアに大きく取り上げられることがなくなっている。メディアの不感症は危機の徴候だろう。

 いま、政府・与党は日本経済の成長を図るためとして、国の財政支出を大幅に増やそうとしている。”アベノミクス”がうまくいかなかったにもかかわらず、さらに国債増発などによって景気を刺激しようとしているのである。しかし、国民の皆さんがネットでこの報告書を読んだら、国債などの借金膨張で、この国の将来がいかに危ういものであるか、わかるだろう。

 リポートには多くの表、グラフが載っている。その1つを紹介しよう。「普通国債残高の残存期間別構成の推移」である。

 残存期間が20年を超える国債の残高が全体に占める割合は、平成18年度末には1.6%だった。それが20年度末2.7%、22年度末4.6%、24年度末6.7%、26年度末8.3%、27年度末9.4%と一直線に増加している。金額でみると、残存期間20年超の国債残高は18年度末531兆円→27年度末805兆円へと増えている。

 こうした残存期間長期化には、新規発行する国債の償還までの期間を年々長くし、目先や近い将来の償還額を少な目にしようというねらいと、マイナス金利などの長期金利の低下傾向を国債利払い額の低減に生かそうというねらいがあるのだろう。〔赤字財政のもとでは、国債償還の財源がないから、それ用に国債を新規発行しなければならない。その際、残存期間が長いほうが、将来の償還時期を先延ばしできる〕

 国債管理政策は財務省理財局の仕事。政府・与党が放漫財政を続けているため、そのもたらす破局への歩みを少しでも先に延ばそうとやりくりしている。そのやりくりがリポートを読むとよくわかる。

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2016年7月19日 (火)

孫崎享氏が懸念する3ザルの進行

 外務省OBの孫崎享氏が6月に出版した『21世紀の戦争と平和―きみが知るべき日米関係の真実』を読んだ。自公政権が合憲とした集団的自衛権は「米国の戦略に自衛隊を差し出すシステム」であり、にもかかわらず、米国は日米安保条約上、「日本を防衛する義務を負っていない」と指摘する。

 そして、外交・安全保障に関して日米両政府の嘘や詭弁がいかに多いかと言う。

 日本が1941年に真珠湾攻撃で始めた対米戦争。その過ちを犯した構図は、本書の「おわりに」によれば、以下のようなものだった。

 ①指導者が嘘や詭弁の説明をする。

 ②それによって、本来は国民が望まない方向に政策を誘導する。

 ③マスコミは調べればわかるのに、それを検証せず、嘘や詭弁の拡散に加担する。

 ④国民はこの嘘や詭弁を信じ(信じるふりをし)政策を容認する。

 ⑤異なる見解を持つ者は徹底的に弾圧される。

 そして、「いま日本はそのような時代に再度入ってきた」、「事態はきわめて深刻です。いま私たちの国は、戦前の言論統制に限りなく近づいていると言っていい」と孫崎氏は憂慮する。「多くの国民は見ざる、聞かざる、言わざるに逃避をはじめました」とまで言い切る。

 ただ、戦前と違って、いまの人々にはインターネットという言論空間がある。そこで、同氏は「大手メディアが政府に都合のいいことしか発信しなくなったいま、私たちはインターネットのリテラシーをさらに高めていく必要がある」と若い世代に期待をかけている。

 孫崎氏の『21世紀の戦争と平和』は、平和国家・日本の進むべき道を指し示している。共感するところ大だ。ただし、中国では、インターネット空間にも共産党政府の規制の手が伸びている。現代日本においても、今後、同様なインターネット言論封殺に近い事態が起きないとも限らない。厳しい時代に我々は直面していくのではあるまいか。

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2016年7月16日 (土)

財政改革を求める経済同友会のアピール

 経営者の団体である経済同友会は、毎年、軽井沢で、会員相互の研鑽を図るセミナーを開催している。そして、そのまとめの意味を込めて、「軽井沢アピール」を発表している。ことしは2045年に到達するシンギュラリティ(技術的特異点)を念頭に、「Japan 2.0 SAITEKI社会への挑戦」と題する社会改革案を発表することを決定したという。

 そして、ことしの「軽井沢アピール」はその取り組みに向けて4点にわたる決意表明をしている。ここでは財政改革に大きく関わる『3.将来を担う若者が希望を持てる財政・社会保障の改革を』を紹介する。

 ①「我々が財政破綻も含む将来のシナリオや選択肢をできるだけ具体的に示し、各界各層との対話などを通じ、痛みを伴う改革に向けた世論形成に努めていく。」

 ②「世代間格差の是正を中心とした歳出・歳入両面の改革が不可欠」「年金支給開始年齢の引き上げ、資産や収入に応じた高齢者の負担増と給付抑制などを進める」「子育てや教育など若者への投資を充実させるべきである。」

 ③「消費不振の根底に社会保障に対する不安があることから、消費税の引き上げについて総合的見地から国民の理解を得るとともに、世代間格差の是正と経済成長を支える税制改革に着手すべきである。」

 ④「マイナス金利の下での財政投融資の拡大や赤字国債の発行など、短期的な需要増と引き換えに、将来の国民負担の増大を招く施策は厳に慎むべきである。」

 ところで、同友会は財政改革に関して、これまでもいくつかの提言を発表している。2015年12月に、「経済・財政再生計画(経済財政一体改革)への意見」を発表。「2020年PB黒字化目標を達成し、その先の財政健全化に向かうことが大切」、「税収上振れ分などを全額、借金返済に繰り入れる」などと指摘した。

 また、同じ年の1月には、「財政再建は待ったなし~次世代にツケを残すな~」を発表。その中で、「税収とほぼ同規模の新たな借金を前提とした、我が国の財政運営が行き着く先は、財政の危機・破綻以外にあるまい」、「世界第3位の経済規模である日本が財政危機となった場合、救済者は存在しない」、「”いつか、ではなく、動くのは今”なのである」と訴えた。

 同友会の提言などにおいて「財政健全化」という言葉がタイトルに使われたのは10年以上前。2005年4月の「活力ある経済社会に向けた財政健全化の道筋」がある。それ以降、財政再建、財政改革などとともにタイトルに使われるようになった。ただし、残念ながら、経済同友会の問題提起が政府や与党などにどれほどの影響を及ぼしたのか、定かではない。同友会のメンバーの奮起が望まれる。

 

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2016年7月 9日 (土)

盛り上がらなかった参院選挙運動

 参議院選挙があす10日に行なわれる。きょうまでの選挙運動で感じたことを書いてみたい。

・立候補者の名前・経歴等を見ると、良識、学識などを備え、かつ専門性を持つ”賢者”はまずいない。要するに、知らない顔ばかり。衆議院に立候補するのならかまわないが、なんで、参議院議員候補なのという人が大半だ。比例選出もあり、参議院といえども政党色が前面に出るのはやむをえないが、さまざまな分野の優れた人材が参議院をめざすという姿は法学者ぐらいしかなかったように思う。

・与党、なかでも自民党は、アベノミクスが日本経済をよくしたと自画自賛し、憲法改正については口をつぐんだ。公明党も税収増などを成果として誇った。しかし、アベノミクスなるものが近い将来、悪性インフレなどによって経済を危機に陥れるという学者、エコノミストの意見も増えてきている。経済問題をわかりやすく有権者に語りかけるのは容易ではない。とはいえ、野党は、個人消費の低迷やマイナス金利など国民が何となく感じている疑問や不安を切り口にしてアベノミクスの正体を国民に暴露すべきだった。

・安倍首相の消費税引き上げ再繰り延べは、政治家の言がいかにいい加減なものかを示した。野党のほうも、従来、消費税引き上げに反対していたのだからと、総理大臣の言を厳しく追及することもないままにすませた。社会保障などの財源として与野党で合意した消費税引き上げをしない以上、代わりの財源をどうするのかなどを野党としても国民に提示する責務があった。なかでも民進党はそれを果たすべきだった。

・野党4党の共闘は憲法第9条の改定を阻止するのが最大の目的だろう。各党がばらばらに候補者を立てたら、票の分散で自民党を有利にするだけだから、共闘で憲法改定を阻止しようというのは理にかなっている。しかし、憲法9条改定阻止だけしか共同歩調をとることができなかったのは残念である。アベノミクスの核心は、お札を刷れば、いくらでも財源ができるというヘリコプター・マネーの発想にある。それをやめさせ、日本の経済財政を正常化することは焦眉の課題である。野党各党は経済問題をもっと真剣に学んでほしいと願うばかりだ。

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2016年7月 7日 (木)

葬儀・法要から見る世の移り変わり

 父親の二十三回忌の法要で名古屋に行ってきた。父母の葬儀や法要はずっと同じ東本願寺系の僧侶にお願いしてきたが、休憩時にこの方から聞いた話がとても興味深かった。

 人が亡くなると、自宅や病院から火葬場に遺体を運ぶ。それに先立って、遺族が自宅や寺で通夜・葬儀を執り行う。日本の仏教の伝統によれば、坊さんにお経をあげてもらい、遺族や友人などがお線香をあげる。そうした儀式を経て、火葬場で遺体が焼却される。そして、遺族は遺骨の一部を”お骨”として骨壺に納める。その後、遺族は初七日、一周忌、三回忌などの法要を行なう。

 しかし、今回もお世話になった僧侶によると、最近は、葬儀などをしないまま、病院や自宅から火葬場に遺体を直送するケースがある。そして、火葬したあとのお骨拾いもしないで帰ってしまうとか。お骨を拾っても、邪魔になるだけという理由らしい。また、遺族が、火葬場で拾ったお骨を一方的に郷里のお寺に宅配便で送りつけてくるというケースもあるという。

 この僧侶によると、最近は法事に来ても、数珠を持っていない参列者が多くなっているという。

 また、仏教では、初七日から二七日忌、三七日忌……七七日忌、一〇〇箇日忌と法要があり、さらに年回忌法要として、一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌……三十七回忌、五十回忌とある。死んでから五十年間は法要が求められる。しかし、こうした法要を全く営まないか、ほとんど行わない家族、家庭が多いという。

 そして、樹木葬だとか、家族葬といった変化も、仏教界、”お寺業界”にとっては好ましくないと受け止めているように感じた。そこは私の意見は違う。

 最近、我が国では、見知らぬ人を衝動的に殺傷するなど、他人の命を軽く扱う犯罪が続発している。将来の日本を受け継ぐ少年少女をいとも簡単に死なせてしまう事故も頻発している。上記の、死と仏教をめぐる問題と、これらの事件とは、直接のかかわりはないようにみえるが、現代日本人の家族の変容(核家族化)、都市化の進行(地方の過疎化)、長寿化(リタイヤ後の長生き)、科学技術信仰などが背景にあって起きているのではないか.。

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2016年7月 1日 (金)

民間税調の「投票の前に」の提言

 6月30日に民間税制調査会(代表:三木義一、水野和夫氏)が「税のあり方を選挙で問い直そう」と、提言を発表した。主権者としての国民は、中長期的に税制や歳出がどうあるべきか、少し冷静に考える必要がある、税制を役人や政治家に任せるのではなく、私たち自らの問題として考え、自らの意思を選挙で表明すべきではないか、と訴えている。

 提言は、まず、消費増税は社会保障の安定財源であり、かつ財政健全化を達成するためのものだったはずとし、延期するなら、租税特別措置拡充を元に戻すなどで財政健全化の道筋を明らかにすべきだという。また、タックスヘイブン規制を強化するとともに、国境を超える金融取引に課税するよう提案している。

 また、提言は、政党の選挙に向けてのマニフェストを取り上げ、「お金のかかる施策がたくさん挙げられていますが、その費用が一体いくらになるかは書かれていません」と指摘。「財政再建のための具体的な手段は書かれていません」、「要するに、各党のマニフェストは、肝心の税負担については、(中略)ほとんど書かれていないのです」と言う。「現実には、タダのランチなど存在しないのです。いずれ、請求書が私たちに送られて来ます」と断言している。

 日本の財政は深刻な状況にあり、消費増税の延期は、将来の世代に負担を負わせる。主権者である私たち国民は、消費増税延期の意味するところを長期的な視野で考えなければならないとしている。

 オランダでは、独立性を持つ政府機関が全政党のマニフェストを細かく比較分析し、政策効果が国民によくわかる検証・評価の仕組みが存在するという。オーストラリアでも、同様な仕組みがある、と民間税調メンバーの田中秀明氏(明治大学教授)は語った。

 提言は「おわりに」の中で、「国債市場で外国人投資家がある一定のシェアを握れば、日本の破綻などおかまいなしに国債売りを仕掛けることで巨額の利益を得ることができる」と述べ、いまや外国人保有比率が日銀保有を除くと15%にまで達していると指摘している。外国人投資家は、日本が財政健全化の意志が弱いとみれば、瞬時の国境を超える大量の資本移動で日本経済を混乱に陥れる、そうした危機の到来を示唆している。

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