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2016年8月23日 (火)

地方自治体の会計操作

 地方自治体が土地造成事業などの失敗を表面化させないように、会計操作でうわべを取り繕っている。これについて、朝日新聞の8月22日付け朝刊は、「85自治体、会計操作2300億円」と報じている。かつて夕張市がそうした会計操作の積み重ねで財政破綻に追い込まれたが、同記事は、北海道、岡山県、神戸市、山梨県、広島市のような主要自治体が100億円を超える決算操作をしていることなどを明らかにしている。

 バブル経済に浮かされて、多くの自治体は公社など第三セクター等を通じて土地造成などに投資した。しかし、その後の経済低迷で、造成済み土地が売れず、公社などで抱え込むケースが多いとされる。

 これらのお荷物を抱えた自治体の中には、第三セクターなどの事業の清算に踏み切れないところが少なくない。そうした自治体では、毎年、民間企業にはない出納整理期間を利用して、第三セクターへの貸付金の存在を隠ぺいするとか、金融機関によるつなぎ融資を用いて貸付金を隠ぺいしている。こうした会計操作を総務省が厳しく取り締まってきたかは疑問である。

 同紙によると、出資法人別で最も多いのは土地開発公社で、34自治体が計891億円の会計操作を行なっている。ただ、会計操作解消に向けた取り組みもあり、岡山県は「おかやまの森整備公社」に対する短期貸付金575億円のうち、約150億円を長期貸付金に切り替えたという。

 このような決算・会計操作がこれまでまかり通ってきたのは、第三セクターなどによる事業進出を推進・容認した自治体および議会の責任をあいまいにするためだと思う。地方自治はまだまだ本物には程遠いと思われる。

 自治体の首長ら幹部、および議会の議員が地方創生に本気になって取り組むことが不可欠である。それには、住民の自治意識の高まりがカギとなる。

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2016年8月22日 (月)

福島第一原発廃炉にいくらかかる?

 『福島第一原発廃炉図鑑』(開沼博編、大田出版)を拾い読みした。興味深いテーマがいくつもある。福島第一原発(1F)は原発6基から成り、第1~第4はメルトダウンなどの事故で廃止が確定し、隣接する第5、第6も廃止することになっている。それら廃炉に伴う費用はいくらになるのか。

 同書によると、概数で12.7兆円ぐらい。内訳は廃炉に2兆円、賠償に7.1兆円、除染2.5兆円、中間貯蔵に1.1兆円かかると推定している。東電が将来、支払わねばならない費用は少なくともこれだけある。

 しかし、新たに環境省が帰還困難区域の除染に踏み切るという問題が発生しており、その費用が上乗せになる可能性もあるようだ。また、廃炉の研究・開発部分の費用などは、技術的な難易度が高く、国が前面に立って取り組む必要があるものとして、国が税金で支援することにしており、この費用が別途、国民負担となる。これは2014年までで1892億円に達するという。これは今後も国が税金で面倒をみる状況がずっと続くものとみられる。

 また、同書によれば、これまで国が東電に代わって支払ってきた除染費用2.5兆円については、国(実際には原子力損害賠償支援機構)が約1兆円で引き受けた東京電力株式を将来、市場で約2.5兆円で売却することで取り返すという目論みだそうだ。

 このように、廃炉に伴って東電が負担することになっている費用は目下の推計で12.7兆円ぐらいだが、廃炉に伴う実際の費用ははるかに大きくなるのではないか。核燃料を安全に取り出す技術は確立していないこと、核廃棄物の処理・処分の方策ができていないこと、住民への補償などが必要なこと等々が控えている。

 一方で、電力自由化が進行している。東電からの受電をやめる住民も徐々に増えている。1Fの廃炉を支障なく実現できるか、なかなか難しい情勢に向かいつつあるようにみえる。

 

 

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2016年8月15日 (月)

日経が警鐘を鳴らす財政危機

 「日本経済は、例えていえば「五右衛門風呂」の状態。「風呂釜(雇用や企業収益)は熱くなっているが、中に入っている「肝心の水(個人消費や設備投資)」はなかなか温まっていない。カギは賃金上昇と企業投資の拡大。」(「アベノミクスの成果と課題」より)。

 なかなかうまい表現である。政府は8月8日に経済財政諮問会議を開催。その金融物価集中審議に民間4議員が出した説明資料「今後の経済財政運営について~デフレ脱却、経済再生に向けて~」に書かれた文言である。

 もっとも、これは伊藤元重東大大学院教授が半年前に産経新聞の寄稿で用いた表現と同じである。民間4議員の筆頭が伊藤元重氏だから、説明資料は同氏の経済政策論を反映したものだとわかる。

 そして、この「肝心の水」をあたためる一環として、安倍政権は8月初め、「未来への投資を実現する経済対策」を決定した。一億総活躍社会の実現の加速、21世紀型インフラの整備、中小企業、小規模事業者及び地方の支援、震災からの復興や安全・安心、防災対策の強化などを掲げ、事業規模28.1兆円、財政措置13.5兆円程度を打ち出した。これにより、GDPをおおむね1.3%程度押し上げることを見込んでいる。

 しかし、国債などの政府(国)の「借金」が1000兆円を超えて、なお膨張し続けているのに、さらに「借金」をふくらましていって大丈夫か。国民にわかりやすく説明してほしいと思う。8月14日の日本経済新聞朝刊一面には、「日本国債」の連載の5回目が載っている。見出しは「敗戦後、失われた預金」、「財政・金融一体化に警鐘」である。

 日本のGDPに対する国の債務残高は249%、第二次世界大戦中の1944年の204%より高い。大戦でもないのに史上最悪に近い。歴史に鑑みれば、財政破綻をきたし、「インフレで債務の実質価値を目減りさせ」たやりかたで、国民の貯蓄をパーにする可能性が高い。そう読み取れる。経済を中心にした総合紙「日本経済新聞」が危機感をあらわにして警鐘を鳴らしている。そのことを重く見る。

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2016年8月 9日 (火)

ヘリマネに行きかねない日銀の異次元緩和政策

 8月8日付け日本経済新聞の「経済教室」は、日銀のETF(上場投資信託)買い入れ増を中心とする追加金融緩和政策について、齋藤誠一橋大学教授の見解を紹介している。

 民間貯蓄が国債の発行を支えているという事実は変わっていないので、今回の緩和政策は、日銀が直接、国債を引き受けるヘリコプターマネーではない。齋藤教授は、そう説明する。

 しかし、「貯蓄を取り崩す高齢層の増加で民間貯蓄は減少してきた。一方、国債を含む政府債務は拡大の一途をたどった」。このため、民間貯蓄と政府債務の差を穴埋めする手段として、あるいは物価上昇で、膨大な政府債務の返済負担を実質的に軽減する手段として、ヘリマネの「潜在的な必要性」は第二次世界大戦中よりも高まるかもしれないと、慎重な言い回しながら、警告する。

 先の大戦時、日銀は民間銀行に低金利で融資し、民間銀行は国債で運用し、利ザヤを稼いだ。いまの日銀が民間銀行に融資する貸し出し支援基金の枠組みも、ヘリマネに変身する可能性さえあると指摘する。

 記事の終わりのほうで、「ヘリマネの規模に歯止めがきかず、早晩途方もない物価高騰を引き起こす。猛烈なインフレ税で暴力的に負担を強いられるのは国民である」と教授は言い切っている。多くの人に読んでもらいたい記事である。

 メディアによると、安倍内閣の支持率はかなり高い。バラマキ政策を多くの国民が支持していることが背景にある。だが、それが我々の将来にどうつながるのか。”歴史は繰り返す……”というが、そうはしたくないものである。

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2016年8月 6日 (土)

ブラジルのオリンピック開会式に敬意を表する

 オリンピック、パラリンピックが開催されるまで、ちゃんとブラジルはオリンピックをなしとげるだろうか、そんな懸念を抱いていた。

 メディアの伝えるオリンピック前のブラジル評は高くなかった。というより、本当にきちんと開催国としての役割を果たせるのだろうか、地球の裏側に位置する日本では心配していた。大統領が不正で追及されている、経済状況が非常に悪い、治安が悪い、同国国民の半数がオリンピック開催に反対している、外国選手団の宿舎の水が出ない、ジカ熱にかかるおそれがある、などの問題etc.が、そうした不安をかきたてていた。

 開会式は、そのような懸念を一気に吹き飛ばした。地球温暖化といった人類の生存を危うくしている環境問題や、戦争で故郷を追われ、西欧へと逃れる移民・難民の問題、そうした現代世界の直面しているテーマを式典の中で取り上げた。

 政治、経済、社会の各面で苦しんでいても、地球環境問題などを真正面から取り上げたことに敬意を表したいと思う。

 日本では、真夏とはいえ、以前の経験が当てはまらないほど荒れた気象状況が続いている。北海道のどこかが真夏日になったり、ときに猛暑日になる。涼しいところで避暑をと思っても、摂氏30度を超し、熱中症にかかるのを心配しなければならない。

 こうした一つ一つの気象状況を引き起こしているのが地球温暖化であることはほぼ間違いなかろう。だが、世界中が、特に先進国、それに中進国がこの問題にどれだけ本気になっているか。200ヵ国を超える国が参加するオリンピックという場を使って、ブラジルが啓発活動を行なったということはすばらしい。同国に、日本などの先進国や超大国は敬意を表すべきである。

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