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2016年8月22日 (月)

福島第一原発廃炉にいくらかかる?

 『福島第一原発廃炉図鑑』(開沼博編、大田出版)を拾い読みした。興味深いテーマがいくつもある。福島第一原発(1F)は原発6基から成り、第1~第4はメルトダウンなどの事故で廃止が確定し、隣接する第5、第6も廃止することになっている。それら廃炉に伴う費用はいくらになるのか。

 同書によると、概数で12.7兆円ぐらい。内訳は廃炉に2兆円、賠償に7.1兆円、除染2.5兆円、中間貯蔵に1.1兆円かかると推定している。東電が将来、支払わねばならない費用は少なくともこれだけある。

 しかし、新たに環境省が帰還困難区域の除染に踏み切るという問題が発生しており、その費用が上乗せになる可能性もあるようだ。また、廃炉の研究・開発部分の費用などは、技術的な難易度が高く、国が前面に立って取り組む必要があるものとして、国が税金で支援することにしており、この費用が別途、国民負担となる。これは2014年までで1892億円に達するという。これは今後も国が税金で面倒をみる状況がずっと続くものとみられる。

 また、同書によれば、これまで国が東電に代わって支払ってきた除染費用2.5兆円については、国(実際には原子力損害賠償支援機構)が約1兆円で引き受けた東京電力株式を将来、市場で約2.5兆円で売却することで取り返すという目論みだそうだ。

 このように、廃炉に伴って東電が負担することになっている費用は目下の推計で12.7兆円ぐらいだが、廃炉に伴う実際の費用ははるかに大きくなるのではないか。核燃料を安全に取り出す技術は確立していないこと、核廃棄物の処理・処分の方策ができていないこと、住民への補償などが必要なこと等々が控えている。

 一方で、電力自由化が進行している。東電からの受電をやめる住民も徐々に増えている。1Fの廃炉を支障なく実現できるか、なかなか難しい情勢に向かいつつあるようにみえる。

 

 

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