« 2016年8月 | トップページ | 2016年10月 »

2016年9月28日 (水)

2014年度国民医療費の概況

 厚生労働省が2014年度(平成26年度)の国民医療費概況を28日に発表した。とにかく金額がどでかいから、及ぼす影響はとても大きい。したがって、その動向はウオッチしなければならない。

 2014年度の総額は40兆8071億円、前年度より2.0%増えた。1人当たり32.11万円だという。65歳以上の医療費は実に23兆9066億円。医療費全体の58.6%を占める。少子化と高齢化が進行し、生産年齢人口は減り続く。そうした中で、国民医療費が伸び続けるのは「誰が負担するのか」という大きな問題にぶつかる。そして、医療の効率化もとんと進まない。

 過去、伸び率が大きい薬局調剤医療費は14年度7兆2846億円で、伸び率は2.5%と高かった。薬局調剤医療費のうち65歳以上分は4兆2141億円と半分以上を占めた。

 ところで、都道府県別に比べた1人あたり国民医療費は、トップが高知県(42万1700円)、次いで長崎県が39万6600円。逆に低い順に見ると、埼玉県(27万8100円)が1位。次いで千葉県27万9700円、神奈川県28万5700円と続く。

 どうして、都道府県の中で、こんなに大きく差が開いているのか。縮めるにはどうしたらいいか等々、課題が多いが、縦割りの中央官庁がベースとなっている行政の動きはにぶい。予算上、最大の官庁となっている厚生労働省をなんとかしないといけないだろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年9月27日 (火)

安倍首相所信表明演説への疑問

 26日に行なわれた安倍首相の所信表明演説を読んだ。

 「1.はじめに」の個所で気になったのは、「4年後の東京オリンピック・パラリンピックは、必ずや、世界一の大会にする」、「世界一暮らしやすい国、世界一信頼される国を目指し」、「一億総活躍」、「いかに困難な課題にもチャレンジし、建設的な議論を行って「結果」を出すこと」、「「未来」への挑戦」、「日本の「未来」を、皆さん、共に切り拓いていこうではありませんか」というように、やたらと「世界一」、「未来」などといった用語を使っていることである。また、「建設的な議論を行って」というフレーズは、国会において野党との間でまともな議論を避ける安倍首相に対して向けられるべきではないかと思われる。

 「2.災害復旧・復興」、「3.アベノミクスの加速」、「4.一億総活躍」、「5.地方創生」は演説の半分以上を占めるが、その基本は財政の大盤振る舞いを通じての経済活性化、および介護、保育などの充実や労働改革である。それらは経済社会の格差・不平等などの縮小を掲げており、意義ある取り組みだが、火の車である国家財政を一層悪化させる形で進められつつある。そこについて、国民が納得できる説明がないのは遺憾だ。

 「7.おわりに」では「未来への架け橋」と題し、「少子高齢化、不透明感を増す世界経済、複雑化する国際情勢、厳しい安保環境。我が国は、今も、様々な困難に直面しています」と述べている。しかし、演説全体を通じて地球温暖化対策への言及は無いに等しい。これこそ日本が「世界一」や「未来」というキーワードで目指すべきものなのに。また、財政危機の深化、そして少子高齢化と社会保障について、安倍政権はどう整合的な政策を展開するのか、が欠落している。

 日銀の異次元金融緩和政策を含め、安倍政権はやたらカネをばらまくことに熱心だ。それによって選挙を優位に戦ってきた。しかし、それが亡国のシナリオにならないとは言い切れない。そんな不安を抱く。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年9月22日 (木)

わかりにくい日銀の新金融政策

 日本銀行は2%の物価上昇目標を早期に実現するため、「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的・質的金融緩和」の導入を決定した。

 安倍政権はデフレ脱却のため財政出動や異次元金融緩和を進めてきた。その中で、日銀は、2%の物価上昇を目標にして、国債の大量買い付けによる資金供給量拡大などを行なってきた。さらに、ことしの初めにはマイナス金利の導入に踏み切った。しかし、2%の物価目標は達成できず、マイナス金利は金融機関の経営に打撃を与えるなど、金融政策は行き詰まってきて修正を迫られていた。

 しかし、新聞等を見て、この日銀の政策転換を理解し、納得した国民は少ないのではなかろうか。エコノミストといわれる人たちの意見もまちまちだ。そうした意見の中で納得できるのは、”アベノミクス”の3本の矢のうちで、ほとんど手付かずになっている成長戦略というか構造改革を実行するよう求めている点だ。それに、異次元緩和の出口がどうなるのか、定かでないとの指摘だ。

 ところで、先頃から、政府は働き方改革に手を着けており、非正規雇用や長時間労働の是正にある程度の成果を挙げると見込まれる。これは労働運動が怠ってきた問題点であり、意義がある。

 しかし、構造改革に本格的に取り組むとしたら、日本の経済社会のどこに問題があるのかを多面的な切り口で分析することが必要だろう。それには、党派や競争相手などを超えたオールジャパンで取り組むことが不可欠だと思う。

 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年9月15日 (木)

昨年度の概算医療費41.5兆円(3.8%増)

 厚生労働省の発表するデータは金額がバカでかい。年金に関するデータ、医療、介護などのデータ、いずれもびっくりするような巨額だ。13日に同省が発表した平成27年度概算医療費もその1つである。41.5兆円だという。

 平成23年度が37.8兆円、24年度が38.4兆円、25年度が39.3兆円、26年度が40.0兆円、そして27年度が41.5兆円だった。端数を切り捨てると、37兆円、38兆円、39兆円、40兆円、41兆円と、毎年度1兆円ずつ増えている。

 国の一般会計予算が平成29年度に100兆円台になりそうだ。それと比べると、医療費の規模の大きさがよくわかるだろう。その医療費がかなりの勢いで増え続けているのである。この医療費を賄うのは、健康保険の保険料や治療などの自己負担、それに国の歳出であるが、医療費全体の増大トレンドを放置しておける余裕はない。どこかにしわよせが行こう。

 医療費が増えるのは、日本の高齢化、高額な新薬の使用などによるもの。同省は後発医薬品の使用促進などに努めているが、医療機関の保険請求情報のネット化によるチェック強化には力を入れていない。また、病院の周りにいくつも調剤薬局が並ぶように、薬をめぐるもうけ過ぎにメスを入れることもない。

 改めて考えると、年間41.5兆円というのは、国民1人あたりにすると、30万円をはるかに超える金額である。4人家族なら、年間130~140万円、医療に注ぎ込んでいる勘定だ。しかし、そんなにたくさん医者などにかかったおぼえはないという人が多かろう。そのギャップについて考えてみる必要があるのではないか。 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年9月11日 (日)

独立財政機関の設置をIMFが日本に提言

 9月5日のサンケイニュースや6日の毎日新聞によれば、国際通貨基金(IMF)は、日本の財政再建を確実にするためには、政府の予算編成過程を監視し、税金の無駄遣いをチェックする独立財政機関の設置が有効だとする報告書を発表したという。

 それによれば、日本の政策決定は不透明さ、および不確実性という重大な弱点があると指摘し、政策の優先順位に関する説明も足りないとしている。

 そこで、中期的な経済見通しを立て、政府の予測に実現性があるか評価する機能を独立財政機関に持たせるよう提案している。

 IMFは、日本の財政運営に対し、過去、繰り返し警告してきた。5年前の2011年11月には、日本の公的債務残高が持続不能な水準だと指摘した。さらにさかのぼると、2002年2月にネバダレポートを公開し、公務員の30%削減、給与の30%削減、ボーナスはゼロなど、ドラスティックな財政再建策を列挙したこともある。

 ことし4月の概観では、日本の成長のいっそうの減速は、拡張的な金融政策に過度に依存する状況をもたらす可能性がある、などと婉曲な表現をしたりもしている。

 巨額の財政赤字を抱えつつも、景気テコ入れのため大量の国債を発行し続ける日本。消費税を10%に上げる方針を決めながら、それを先に延ばしてしまう日本。IMFから見ると、財政危機が深刻になるとしか見えないのだろう。

 先憂後楽ならぬPlay Now, Pay Later。それでいいのだろうか。日本の政治状況が本気でそれを問題視する時はいつのことか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年9月 5日 (月)

温暖化は深刻な現実となった

 中国の浙江省杭州で開催されたG20サミット。世界の首脳が集まった。地元では、工場などの操業を止め、自動車の利用も制限。学校なども休みとし、住民は周辺地域に出かけるようにした。これで、いつもなら大気汚染でかすんだりする同地域がすっきりした青空になったようだ。客人を迎える時だけ、環境をきれいにし、会議が終われば、また汚染された元の状態に戻す、それでよしとする中国共産党のダブルスタンダードがここでも露骨に示されたようにみえる。

 中国共産党は温暖化抑制をめざすパリ協定に対し、今回、批准する旨を発表。米国も、オバマ大統領が批准を表明した。二酸化炭素などの温室効果ガスの最大排出国、中国と、二番目に多い米国とが批准を表明した結果、パリ協定成立の可能性が高まったことは確かだ。しかし、協定を踏まえ、最大の排出国、中国が自ら、温暖化抑制にどこまで厳しく、かつ本気で取り組むのか、疑わしい。

 巨大災害(メガ・ディザスター)がもたらす被害がいかにひどいものか、9月4日のNHK総合テレビは、温暖化が引き起こすさまざまな環境災害を紹介していた。たまたま台風に襲われやすい地理的条件にある日本では、海水温の上昇を背景とする強大な風雨が都市を襲った時への備え(インフラなど)の抜本的な見直し・対応が必要なことが明らかにされた。

 環境悪化に対するこうした適応(アダプテーション)とともに、二酸化炭素、メタンなどの温室効果ガス発生の抑制策も大きな課題である。だが、世界を見渡すと、化石燃料(天然ガス、石油、石炭)による発電所の新設、油田・ガス田開発、炭鉱開発は止まない。途上国を含め、環境重視の経済社会開発を推進するのがG20の責務ではないかと思う。

 財政赤字を沢山抱える国が増えているのに、G20の宣言で財政政策の拡大を唱えるのは智慧の無さを示す。日本はそれでは破滅の道を歩むだろう。

 世界の主要な国々のリーダーが一堂に会することには少なからぬ意義がある。それを真に意義あるものにする工夫が主要国に求められる。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年9月 3日 (土)

所得税制で専業主婦は優遇されている?

 最近、個人所得税制において、専業主婦を優遇しているのは改めるべきだという声が出ている。

 日本は少子高齢化で生産年齢人口が減少傾向にあり、その対策として、定年延長などで男の高齢者が長く働くのと、仕事に就いていない女性が働きに出ること、短時間しか働いていない女性にもっと長く働いてもらうこと、などが焦眉の課題になっている。

 それに関連して、夫が働き、妻が専業主婦になっている場合、所得税を計算する時の配偶者控除(38万円)が適用されるが、主婦のパート収入などが一定額を超えるとこの配偶者控除がなくなる仕組みを見直すべきとの意見も少なくない。そうすれば、専業主婦優遇がなくなるので、主婦はもっと働きに出るし、結果として、労働力不足の解消につながるというわけだ。

 しかし、専業主婦優遇という批判的な見方の背景には、共働きの家庭では妻が働いているのに、専業主婦は”遊んで暮らしている”という社会の受け止めかたがないではない。PTAの役員を決めるとき、まま専業主婦が引き受けさせられるのも、そうした事情が働いている。

 こうした問題を考えるとき、私は次のようなことを思う。竹山道雄が言っていたような気がするが、家事、育児は最高の仕事である。人任せにするのはどうかと。外で働くほうが偉い、ということはない。専業主婦という言葉に含まれる、肩身が狭いというニュアンスは明らかにおかしい。

 子供を育て、家庭を運営する仕事は金銭などの収入を得られない。しかし、同様に子供がいる隣の家との間で月いくらと契約し、お互いに相手の家事、育児を請け負うならば、どっちの主婦もちゃんとした収入を得る。

 GDPも同じだ。自分の家の仕事、育児にいくら励んでも、GDPにはカウントされない。隣同士で相手の家事や育児をすれば、GDPは増える。家事や育児を外にゆだねればゆだねるほどGDPは増えるのである。

 安倍政権は、経済成長率の引き上げに熱心だが、家事を業者にゆだねるということだけで成長率は上がるのである。

 配偶者控除のありかたを税制度上、どうすべきか。じっくり多面的に検討すべきだと考える。

 

 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2016年8月 | トップページ | 2016年10月 »