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2016年10月 5日 (水)

働き方改革にひそむファシズム

 安倍政権が”アベノミクス”の構造改革としてぶちあげている働き方改革。「一億総活躍プラン」では同一労働同一賃金の実現や長時間労働の解消などをめざしている。その中には、育児介護休業をとりやすくし、女性が働き続けることが容易になるように法制度や施設の整備などを進めている。

 安倍内閣の支持率が上がってきているのは、こうした身近で、かつ切実な問題の解決に取り組んでいることが評価されているのではないかという印象を持つ。

 しかし、同一労働同一賃金を例にとれば、これまで、労働者ないし労働組合が会社との賃金交渉・闘争でかち取ってきた賃上げを、政府が法制度までつくって支援し、実現させるというのには違和感を抱く。

 ことしの7月に刊行された佐藤優著『現代の地政学』(晶文社)を読んでいたら、「国家権力が力を利用して労働者への分配を増やすというのは、ファシズムの思想なんです」というくだりがあった。

 「労働者が食えないような、文化的な生活ができないような賃金体系はおかしいから、それに対しては政府が介入して、企業の内部留保を吐き出させて賃上げする。その代わり、労働者には絶対にストライキをやらせない。働かざる者食うべからず。経済問題はすべて政労資の三者委員会によって調整する。これがイタリアファシズムの考え方です」。

 そして「第三者的に見たら、共産党と安倍さんはファシズムの賃金論を採用しているわけです。両方ともそう言ったら激怒すると思うけど。でも、こういう形でファシズムって入ってくるんです」という。

 日本の労働組合は圧倒的に企業別組合であり、労使の間の協力、友好の関係が、会社対労働組合の利害対立よりも強い。このため、賃上げ要求は会社の収益、競争力を踏まえたレベルになりがちだ。そうした実態を無視した高い賃上げを政府が経営側にのませるというのが安倍政権である。そして、労働組合のほうは、連合系の場合、政府の助けを借りて高い賃上げを達成するのをよしとするようにみえる。

 それで問題はないと考えるか、労働運動のありかたを根本から見直すのか。大きな岐路にさしかかっているような気がする。

 

 

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