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2016年10月 5日 (水)

プロジェクトをやめる決断ができない霞が関の人たち

 高速増殖炉というと思い出す場面がある。1966~7年ごろのこと、電力中央研究所理事長の松永安左衛門氏が珍しく記者会見をしたことがある。そのとき、エネルギー資源の乏しい日本は高速増殖炉の実用化に取り組むべしと松永氏は力説した。

 それに対し、米国駐在から帰ったばかりのある全国紙記者が高速増殖炉って何か、英語で何と言うのかと尋ねた。そして、「ファスト・ブリーダー」と聞いて、「なるほど、そのほうがよくわかりますね」と言った。当時、一度しか、松永氏の記者会見がなかったので、このときのことを妙に覚えている。

 その後、電力業界で軽水炉の実用化が進んだため、高速増殖炉への注目度は薄れたが、電力業界と政府は、夢の原子炉とも言うべき高速増殖炉の開発、実用化に取り組んできた。しかし、いまだに日暮れて道遠しだ。ビッグ・プロジェクトとして、巨額の資金を投じてきたにもかかわらず、高速増殖炉”もんじゅ”はトラブル続きでほとんど運転していない。

 このため、日本原子力研究開発機構(JAEA)が進めてきた”もんじゅ”について、政府は廃炉に向けて抜本的な見直しをするという。ただし、高速増殖炉の研究は続けるという方向になりそうだという。気になるのは、見かけはプロジェクトを廃止するとして、実質は形を変えて従来の組織や人を引きずることになりはしないかだ。

 官僚の世界では、先輩のやったことを否定するのは嫌がられる。また、一度つくられた制度や仕組みは予算や人が付いているので、何とかして続けようとする。高速増殖炉と同じころに始まった八ッ場ダムのプロジェクトが必要性が乏しくなったにもかかわらず、いまだに続いているのを思い起こす。高速増殖炉プロジェクトについても、責任をあいまいにし、何とか継続しようとする可能性が大きい。財政危機を踏まえ、監視の目を厳しくする必要がある。

 

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