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2016年10月29日 (土)

映画「抗い 記録作家 林えいだい」を見る

 ドキュメンタリー映画「抗い 記録作家 林えいだい」を試写会で見た。戦前の日本は朝鮮人を本土に強制連行して筑豊の炭鉱などで働かせた。そのため、沢山の朝鮮人が故郷に帰ることもできず、悲惨な労働・暮らしを余儀なくされ、日本で死んでいった。しかし、戦争の時代を通じて日本が犯したこの罪を日本の国家は、また国民はきちんと償っていないのではないか。

 そうした過去の過ちを正面から取り上げ、追及する記録作家、林えいだい氏を映像で追った映画が『抗い 記録作家 林えいだい』である。この映画の中で、林氏が追っているテーマの一つは、1945年の敗戦の少し前、重爆特攻機「さくら弾機」が放火で燃えたとき、特攻隊員の1人が放火犯とみなされ、銃殺された事件である。林氏は、特高が、被疑者を朝鮮出身だからということで無理やり犯人に仕立てあげたのではないか、とみて、生存する当時の関係者を訪ね歩く。そして、真相に迫る。

 戦争が終わってから71年。戦時日本の国家権力、それを構成していた軍人、官僚、国策会社などの社員などが、日本の国策で犯した罪はほとんど忘れ去られた。これに対し、林氏は「歴史の教訓に学ばない民族は、結局は自滅の道を歩むしかない」と言って、権力の前に沈黙を余儀なくされていた民衆を訪ね、隠されていた真実を聞き出そうとしてきた。その基本的な姿勢には頭が下がる。

 映画の中で語っているのによれば、彼の父親は神主で、脱走する朝鮮人炭鉱労働者をかくまったため、国賊扱いされ、警察の激しい拷問のあと、帰宅して死んだ。戦争が終わったが、国家権力は、これについて何ら責任をとることはなかった。林氏が弱い者、名もない人たちの側に立って、ペンを振るい、カメラを向けるその執念には、この父の死が大きく影響しているように思う。

 80歳を超えて、病気と闘いつつ取材・執筆を続ける林氏の”抗い”には、戦前も今も日本の国家、経済社会を支配する権力に対する深い深い怒りが横たわっている。林えいだい氏のあとを受け継ぐ若手が出てくるのを切に望む。

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