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2016年11月 7日 (月)

フクシマ:賠償・除染・廃炉の重い負担

 テレビ放送「NHKスペシャル」の「原発・廃炉への道」(11月6日)は賠償、除染、廃炉の3つの費用を足すと13.3兆円に達するという独自の推計を挙げた。内訳は、賠償が6.4兆円、除染は最低4.8兆円、廃炉は2兆円といい、合計の7割以上を電気料金と税という形で国民が負担することになる、と指摘した。

 また、すべての廃炉作業を終えるのに40年を見込んでいるが、そもそも1号炉の核燃料が溶け落ちたもの(デブリ)を取り出す作業は難航しており、2017年度の予定が2020年度に先送りされた。1号炉~4号炉などの廃炉で実際にかかる費用も2兆円の数倍になろうと予測している。

 東電の総資産は13.8兆円で、廃炉費用全体が同じ程度だとすれば、東電は確実に倒産する。原子力事故の事業者責任として東電が賠償、除染、廃炉の費用全体を負担するという、もともとの法の建て前を貫こうとすれば、東電が事業を継続することは不可能である。

 このため、国は損害賠償支援機構法を制定し、東電が賠償するために必要な資金を国がすべて供給する仕組みを設けた。そして、国は提供した資金を回収するため、保有する東電株式を売却して値上がり益を得るとか、東電および他の電力会社に利益の一部を負担金として納めさせる仕組みなどを設けたりしている。

 東電は天災などによるものとして免責を求めた。これに対し、国は事業者責任を前提とし、電力の安定供給や原発の運転再開などを踏まえ、死に体の東電を生かし続けることが望ましいと判断した。そのためには、ユーザー、国民に原発のツケを払ってもらうしかない。そういう国の方針が読み取れる。

 この番組で知った事実の1つは、廃炉作業には毎日7千人が従事しており、危険手当は1人2万円/日、つまり1日に1億円以上かかっていることである。

 また、除染作業で収集された放射能汚染物質を袋に入れて各地で保存集積しているが、その袋が劣化して包装し直したりしているという。こうして新たな費用が発生したりしている。

 フクシマの後始末は、緊急性があるため、ややもすれば、糸目をつけずにカネを払うことになりがち。それが積もり積もれば、膨大な費用負担を招くおそれがある。

 日本経済は”アベノミクス”なるもので、財政および金融面から強引にテコ入れしてきたが、その効果は小さい。最近では異常な金融緩和政策からの出口があるかが問題にされるようになった。そして、フクシマも日本経済の足を引っ張っている。これでは、明るい展望を国民がなかなか持てないのも無理はない。

 

 

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