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2016年11月 7日 (月)

体温計の目盛りを変えてごまかすようなことをやってきた

 野村証券副社長、日本取引所グループ最高経営責任者など資本市場で重要な役割を果たしてきた斉藤惇氏。朝日新聞の連載インタビュー『「市場の時代」道半ば』が7日付け第16回で終わった。最終回の見出しは「歪み正し市場いかせ」だった。

 「資本市場では、株価や金利が生産性や成長性などで合理的に判断され、値決めされる。企業も事業ごとの現金収支など合理的な数字をもとに経営するから本当の競争力がつく。経済全体でも、資本市場を中心に据えた国は効率性をもとづいた取引がされているから、生産性が高くGDPも増えている」――斉藤氏の基本的な認識はこれだ。

 それに比べ、日本は市場重視とは逆だ。景気対策として、株価の買い支えを考える政治家もいるという。「市場は失敗した時や非合理的なことには痛みを与えるから教訓になるのだ。熱があると市場が教えているのに、体温計の目盛りを変えてごまかすようなことを続けると、本当に取り返しのつかないことになる」と指摘する。

 市場経済は富の創出では一番いいシステムだが、格差拡大を引き起こす。だから、政府の再分配政策で配分の歪みを是正する必要がある。それによって、誰もが市場経済がいいものと感じるようにすることができる。斉藤氏はそう考える。

 いま、「国債がこれだけ増発されているのに、「金利ゼロ」という嘘のような世界になっている」。日銀は国債を大量に購入しているが、それは価格形成を歪め、市場機能を阻害している。社会も、財政などをなんとかせねばと本気で考えることをしない。そうした斉藤氏の指摘には素直にうなずかざるをえない。

 日本の企業は間接金融のウエートがまだ高い。また、家計の資金運用も、預貯金や国債などの安全資産がほとんどだ。これでは経済が活性化しないと斉藤氏は言う。

 ”アベノミクス”は斉藤氏の意見とは180度違うと思う。そうした面からも、斉藤氏のインタビューは意義が大だ。

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