« 2016年11月 | トップページ | 2017年1月 »

2016年12月30日 (金)

安倍政権の評価

 12月30日に言論NPOと毎日新聞が発表した安倍政権4年の実績評価(11政策分野60項目)によると、5点満点で2.7点と、昨年と同じ水準である。

 ただし、「中核政策のアベノミクス関連や財政再建に関する取り組みもすでに目標達成は難しく、目標自体が形骸化している」と指摘。「目指すべき社会の姿や政府の責任を明らかにし、その構造に踏み込まない限り、話題は提供できても解決は中途半端になりかねない」と安倍政権の本質を鋭く突いている。

 11政策分野のうち、「財政再建」の分野は、総合評価(5点満点)が2.7点で、昨年の2.25点を上回った。一見、財政再建に対する取り組みが進んだようにもみえるが、これは、個別項目の評価の対象が変わったため。昨年の評価項目(4項目)には「5年間の集中財政再建期間に、国・地方の公務員人件費を年間2兆円削減」が入っていて、この項目の評点は1点と低かった。ことしはその項目の評価をはずし、3項目で平均点をはじいたので、見掛け上、「財政再建」分野で改善傾向がみられたような錯覚を招いている。

 安倍政権がアベノミクスなる鳴り物入りで打ち出した「経済再生」の分野に対する実績評価についても、2.7点で、昨年の2.8点をわずかに下回った。「成長率の目標率と物価目標の達成は困難と判断」との理由からである。

 12月30日付け日本経済新聞朝刊によると、同新聞がテレビ東京と共同で実施した緊急世論調査によると、安倍内閣の支持率は64%で、2013年10月以来の高水準だった。内閣不支持率は26%と低い。支持率では、30代で約8割、40代が約7割と高い。安倍首相の真珠湾訪問および慰霊、オバマ米大統領との会談などが支持率向上に働いたものとみられる。

 安倍政権は、こうした世論調査にみられる高い内閣支持率を背景に、強気の政治運営を続ける可能性が大だ。しかし、言論NPO/毎日新聞の安倍政権実績評価は、アベノミクスなど自公政権の中身を冷静な目でみつめるよう訴えている。 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年12月22日 (木)

増え続ける国債発行残高、1000兆円間近

 安倍内閣は22日、来年度(2017年度)予算案を閣議決定した。一般会計の歳出総額は97兆4547億円で、今年度当初予算より0.8%、7329億円多い。総額は5年続けて最高を更新する。

 国の財政は、歳出の規模(要求)があって、それをまかなうのに必要な税収がどれだけあるか、足りなければ、歳出総額を削減するか、ないしは国債などの借金で資金を調達する、という仕組みだ。22日に閣議決定された一般会計予算案では、歳出、歳入とも総額が97兆円余である。歳入は税収が57.7兆円、税外収入5.4兆円、そして国債発行34.4兆円である。歳出金額の約3分の1を国債で調達しているというわけだ。

 これを前提にすると、国債発行残高は2017年度末に959.1兆円に達する見込みという。近年は毎年度、補正予算が組まれるので、実際にはこれより多くなるのは確実だ。日本の国債発行残高は17年度末に1000兆円の大台に接近する。18年度末には突破するだろう。

 国債発行残高の推移をみると、2008年度末に677.0兆円、2009年度末716.2兆円、2012年度末814.3兆円、2015年度末901.5兆円と、驚くほどの速さで膨らんでいる。足らず前を借金で賄う放漫財政がずっと続いているのである。

 少子高齢化による社会保障費の増大や、防衛費、公共事業などの増加傾向に対し、政府与党は選挙を意識して十分な切り込みをしない。消費増税も先延ばししている。他方、日銀のゼロ金利や国債などの買い入れは、大量の国債発行による財政危機の到来を先延ばししている。財政破綻に向かって、危うい均衡状態が続いていると言えよう。

 財政の健全性を示す基礎的財政収支(PB)について、政府は2020年度に国と地方のPB赤字をゼロにする目標を立てている。だが、2017年度予算案では国のPBは10兆8413億円の赤字になっているという。安倍政権のもと、与党には、税収などの財源が足りなければ国債を発行すればよい、という財政規律の欠如がうかがえる。いまや、「1000兆円」は国の危機の象徴である。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年12月17日 (土)

今年の「報道写真展」はリオ五輪関係が多かった

 東京写真記者協会主催、日本新聞協会後援の「2016年報道写真展」(日本橋三越本店)を見てきた。カラーの映像は綺麗で、細部まで見える。そして、画面が大きいと、大変に迫力がある。今回はリオデジャネイロ・オリンピック&パラリンピックで日本人選手の活躍がめざましかったので、その写真が圧倒的に大きな割合を占めた。

 スポーツの写真は人のダイナミックな動きが大きく映り、見る者に力強く訴える。プロ野球その他のスポーツ写真も目に付いた。次に目立ったのは東日本大震災関係や、熊本県などの地震災害、台風による岩手県、北海道などの水害の写真である。

 政治、経済といった硬い分野の写真は少ないという印象を受けた。いわゆる絵になりにくいという事情によるのだろうが、工夫の余地があると思う。

 展示で、一番、強烈な印象を受けたのは「積み上がる除染廃棄物」(毎日新聞)と題する写真である。放射能汚染物質をフレコンパックといわれる黒い袋に詰めて、空き地に並べ、積み上げた巨大な仮置場をヘリコプターから撮ったものだ。黒一色の不気味な感じは見る者に強い衝撃を与えるのではないだろうか。

 桜島の昭和火口を撮った「雷と噴煙」(朝日新聞)は、真っ黒な山肌に灼熱の赤い溶岩の筋がいくつもあり、雷が白っぽく映っている。これも強い印象で迫ってくる。

 「企画」部門の展示では「僕の手が動いたよ 節電義手の子どもたち」(毎日新聞、5枚組み)に感動した。手や足がない子どもが常人として活動できるように、義手などが技術開発されているのである。一番目の写真には「筋肉が発する微弱電流を感知して思い通りに手足を動かせる」と説明がついている。

 スマホ時代になって、動画が当たり前になったが、静止画である写真には独自の存在価値がある。そんなふうに思わせる写真展である。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年12月14日 (水)

フランス中央銀行総裁「財政赤字抑制目標を堅持すべき」と

 ロイター通信によると、フランス中央銀行のビルロワドガロー総裁はこのほど、2017年の国家予算について、赤字をEUの共通目標であるGDP比3%以内に抑える目標を堅持すべきだと語った。そして、公的支出の0.3%に相当する40億ユーロの削減が必要だと指摘したという。

 注目したいのは、「政府支出の増加や財政赤字の拡大によって経済成長率を押し上げることはできない」と述べたことである。そして、同国の2016年と2017年の経済成長率を1.3%と予想しており、成長率を押し上げるには改革が不可欠だとも語っている。

 来年、フランスでは大統領選挙があり、選挙戦で、財政支出による経済成長加速という幻想がふりまかれるおそれがある。中央銀行の予測では、財政赤字見通しがGDP比約3.1%と政府見通しの2.7%を上回っている。中銀総裁の発言は、そうした状況を背景にしたもののようだ。

 日本の国家財政と日銀の金融政策とはフランスなどのそれと大きく異なっている。先進国で突出して財政赤字の規模が大きく、かつ金融政策もドラスティックな日本は大丈夫か、心配になる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年12月11日 (日)

「エコプロ2016」を見て

 毎年、いまごろ東京ビッグサイトで「エコプロダクツ展」が開催される。ことしは「エコプロ~環境とエネルギーの未来像」と変化し、今月8日から10日まで行われた。

 最終日に見て回ったが、一部の大企業のブースを除いて、さほど混んではいなかった。クイズに回答して景品をもらうため、子供や大人が並んでいるブースを結構見かけたが、説明員が手持無沙汰というところも多かった。

 ざっと見て回った感想を記すと、①ナノセルロースのように、企業が特定の新分野に焦点を絞る展示が目に付く、②展示テーマに関する自社製品を総まくりに展示するやりかたはみられない、③展示の多くは、写真・映像と説明文から成る、④自動車は、各社とも一番力を入れている車種(未発売も含む)1台を展示するだけ、⑤以前に出展したビッグビジネスでも、今回、出展しないところがかなりある、⑥中小企業(団体を含む)および地方自治体の出展がさかんであるetc.――。日本の企業に革新的な製品および技術が乏しい、収益状況を踏まえ出展にあまり経費をかけたくない、などの事情を反映しているのだろうと推察する。

 ところで、日本生活協同組合連合会のある説明員は「ここ(エコプロ展)に来て、皆がこんなに環境対策に熱心だということを知りました」と語っていた。出展関係者がお互いに啓発し合うという意義に気付かされた。東京ビッグサイトの東1~6のホールを埋め尽くすだけの出展があるのは、上記の問題点があるにしても、本当にすごいとしか言いようがない。

 ことしは中国の紹興市が地元企業3社と共同で出展していた。説明員の話を聞くと、出展に意欲的だった。エコプロ展がアジアを代表する環境・エネルギーの総合展示会に飛躍する第一歩なのかもしれない。

 第1回からエコプロ展を見てきたが、ことしも、去年も、大半のブースがいささか平板な感じに終わっている。主催者にとっても、来年は一工夫も二工夫もすべきチャレンジの年ではないかと思う。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年12月 9日 (金)

原発事故費の経産省試算

 東京電力福島第一原子力発電所の事故処理費について、経済産業省が9日、新たな試算数値を発表した。朝日新聞の報道によると、総額は21.5兆円、2013年時点の想定額11兆円のほぼ2倍である。

 廃炉・汚染水対策が8兆円(以前の試算では2兆円)、賠償7.9兆円(同5.4兆円)、除染4兆円(同2.5兆円)、中間貯蔵施設1.6兆円(同1.1兆円)という。

 除染、中間貯蔵施設の2つは国が負担する。賠償は東電負担を原則とするが、ほかの電力会社や新電力にも負担させるとしている。

 東電は実質的に経営が破綻しているが、事故処理のためにも存続させる必要があることから、国が資金繰りの面倒もみてきている。しかし、今回の試算の金額ですむとは思えない。安全に廃炉を完了するための技術のメドがついていないからだ。

 いまの想定でも廃炉までに40年かかるが、それで無事、作業が終えられるかどうか。試行錯誤の繰り返しになるのではないか。

 その間、廃炉などの技術開発が新たな経済価値を生む側面もありうるが、そこに多数のすぐれた人材を投入せざるをえないため、日本経済全体の競争力強化の足を引っ張る可能性が大きい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年12月 1日 (木)

過労死招く長時間労働をなくせ

 都内の中層共同住宅に住んでいるが、12月1日の夜9時過ぎ、宅急便の配達に来ている男の従業員と立ち話をした。

 「きょうは、もう少しすると配達業務が終わる。それから事務所に帰り、記録する仕事がある。それから退社する。いまは、お歳暮の配達が始まっているので、出社が早くなり、きょうは7時だった」――という内容だった。労働時間は12時間をゆうに超えると思われた。

 電通で入社2年目の若い女性社員が極端な長時間労働のため自殺した事件はさまざまな波紋を投げかけている。労働局の立ち入り調査もあり、刑事事件として立件されるかもしれない。そうしたおりだけに、宅急便の配達人の話は聞き流してしまうには重すぎるように思えた。

 去る11月29日、日本記者クラブで、電通の過労死で訴訟にたずさわっている川人博弁護士の話を聞いた。「長時間労働は有害そのもの」と断言する同氏は「第三次産業では、お客さまは神様、クライアント・ファーストで、働く者への配慮がなさすぎる」と語った。そして、買い手・発注者側が売り手・納入者に対して、無理な納期設定や、契約とは関係のない業務サービスの提供を要求するなどの問題があると指摘した。

 労働基準法により、週40時間、一日8時間労働を超えて働かせるには、労使の合意が必要である。我が国では、このいわゆる三六協定に基づいて、時間外労働(割増賃金付き)が広く行われている。しかし、EUのインターバル規制のように、次の就業までに11時間の間隔を置かねばならないというルールがないため、休息・睡眠時間の確保ができない。

 また、電通の事件のように、残業しても、それに見合う賃金を一部しか払わないタダ働きも多くあるといわれる。

 川人氏は「業務量過多・人員不足のなかで一方では過労死が発生し、他方で業務不正が発生」しているほか、「業務上の原因で精神疾患にかかり、長期療養にいたる事例が増えている」とも指摘している。

 同氏は結論として、「働く者の健康なくして、健全な経営は成立しない」と強調した。経営トップがそれをどこまで理解し、実践しているか、そこが日本的経営の評価の分かれ目だろう。

 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2016年11月 | トップページ | 2017年1月 »