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2016年12月 1日 (木)

過労死招く長時間労働をなくせ

 都内の中層共同住宅に住んでいるが、12月1日の夜9時過ぎ、宅急便の配達に来ている男の従業員と立ち話をした。

 「きょうは、もう少しすると配達業務が終わる。それから事務所に帰り、記録する仕事がある。それから退社する。いまは、お歳暮の配達が始まっているので、出社が早くなり、きょうは7時だった」――という内容だった。労働時間は12時間をゆうに超えると思われた。

 電通で入社2年目の若い女性社員が極端な長時間労働のため自殺した事件はさまざまな波紋を投げかけている。労働局の立ち入り調査もあり、刑事事件として立件されるかもしれない。そうしたおりだけに、宅急便の配達人の話は聞き流してしまうには重すぎるように思えた。

 去る11月29日、日本記者クラブで、電通の過労死で訴訟にたずさわっている川人博弁護士の話を聞いた。「長時間労働は有害そのもの」と断言する同氏は「第三次産業では、お客さまは神様、クライアント・ファーストで、働く者への配慮がなさすぎる」と語った。そして、買い手・発注者側が売り手・納入者に対して、無理な納期設定や、契約とは関係のない業務サービスの提供を要求するなどの問題があると指摘した。

 労働基準法により、週40時間、一日8時間労働を超えて働かせるには、労使の合意が必要である。我が国では、このいわゆる三六協定に基づいて、時間外労働(割増賃金付き)が広く行われている。しかし、EUのインターバル規制のように、次の就業までに11時間の間隔を置かねばならないというルールがないため、休息・睡眠時間の確保ができない。

 また、電通の事件のように、残業しても、それに見合う賃金を一部しか払わないタダ働きも多くあるといわれる。

 川人氏は「業務量過多・人員不足のなかで一方では過労死が発生し、他方で業務不正が発生」しているほか、「業務上の原因で精神疾患にかかり、長期療養にいたる事例が増えている」とも指摘している。

 同氏は結論として、「働く者の健康なくして、健全な経営は成立しない」と強調した。経営トップがそれをどこまで理解し、実践しているか、そこが日本的経営の評価の分かれ目だろう。

 

 

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