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2017年2月 7日 (火)

ドル箱ビジネスを切り売りする東芝

 2月7日の日本経済新聞電子版に西條都夫編集委員が『「ドル箱」売却、衰退への早道選んだ東芝』という読み物を書いている。半導体メモリー事業を分社化し、外部から資本を入れると発表した東芝に対し、「ドル箱ビジネスの切り売り」であり、「強いデジャビュ(既視感)を覚える」と指摘している。

 経営危機に陥ったコングロマリット(ないしは経営を事実上支配する金融機関)は2つの行動を取りがちだという。即ち、①売りやすい優良企業から切り売りする、②社内基盤の弱い新しい事業から売る。だが、それだと主力事業が抜け、本格的な事業再建がますます遠のくと指摘する。そして、生き残るにはしがらみを捨てよと言う。

 東芝については、すでに機を逸しつつある感もするが、「延命」や「破綻回避」をゴールにするのでなく、各事業がどうすれば強くなるのか、しがらみを排して勇気ある決断をするしかないだろうと、西條編集委員は述べている。

 確かに、日本の企業は長期雇用を基本としてきたから、心情的に、昔からの事業を祖業として存続させようとする。そのため、経営が苦しくなったとき、成長性のある比較的新しい事業のほうが売りやすいこともあり、そこから先に切り出して売ってしまうことがある。だが、それでは会社はじり貧になりがちだ。この読み物は、そうした日本の企業の弱点を突いていて興味深い。

 ところで、各事業部門で働く従業員の立場からみると、企業売買によって株式の所有者が変わろうと、労働条件が悪化せず、当該事業の成長発展につながる経営が行われれば結構だ。もちろん、買われた側の従業員は「出世」という点で多少、不利になるだろうが、仕事の能力さえ十分あれば、十分な待遇を得られよう。日本では愛社心などといった情緒的なとらえかたもあるが、仕事を中心に考えると、それは、働く者にとって大きな問題ではないだろう。

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