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2017年3月22日 (水)

日本のものづくりの強さと問題点

 福井市を拠点に、繊維の一貫生産体制など独自の経営を行なう企業、セーレン。先週、同社の独創的な経営を推進してきた川田達男会長が日本記者クラブで会見した。その中で、同社の生産の6割は海外だとし、日本企業が海外でのものづくりにおいて強い理由として次の3点を挙げた。

 ①外国では、会社の中で他の人にスキルを教えない。日本人は別だが。②外国では、チームで仕事ができない。管理職は個室にいる。チームで仕事がやれれば、掛け算の成果が出る。③外国では、働く人に会社への帰属意識がどこにもない。会社のためなんて考えない――と。

 確かに、日本のものづくりの強さは、川田氏が指摘したような要因に支えられてきたと思う。だが、このところ、安倍政権も唱える働きかた改革が脚光を浴びているように、日本のものづくりに代表される企業経営の”影”が色濃く感じられる。

 それを象徴する1つは電通の女性社員の過労死であり、いま1つは東芝の巨額の粉飾決算・経営危機である。どちらもグローバルに事業を展開してきたビッグビジネスである。いずれも、社内から問題を提起することはなかった。社員には、人として、また社会人としての常識、良識すら欠けていたのではないかと疑いたくなる。(筆者自身、過去にどうだったか、と振り返ると、いささか心もとない)

 第二次世界大戦後の日本は、国民総出で経済復興にいそしんだ。労働者は仕事に生きがいを感じ、会社の発展に尽くした。労働組合は企業内組合であり、給与などの労働条件は属する会社の成長いかんにかかっていた。そのため、会社第一主義が当たり前となり、労働条件にせよ、働く人の暮らしにせよ、企業の論理が大きく影響した。個人は会社の前には無力だった。

 それでも、本当に日本はものづくりが強いと誇れるのだろうか。いまも根強い会社第一主義を抑えるには、個別企業を超えた力のある産業別労働組合のような組織が不可欠ではなかろうか。もちろん、産別があっても、それが資本に対抗する力を持たねばならないが。いずれにせよ、日本の企業内組合は、企業の経営側には都合がいいが、組合員にはそうではないと言えよう。

 

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