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2017年3月15日 (水)

直接税の改革を唱える書『日本経済《悪い均衡》の正体』

 「社会閉塞の罠を読み解く」との副題を付した伊藤修著『日本経済《悪い均衡》の正体』(2016年12月刊)を読んでいる。同書は「増税するなら、その主力であり最優先されるべきは消費税である」という「思考を習慣的に続けるのは今では正しくない」と述べている。

 増税するなら、「広く浅く負担を求める消費税がよいという理由は格差が小さかった時代のもので、現在は条件がまったく変わってしまっている」と伊藤氏は指摘する。

 そして、消費税については、なるべく早く、タイミングをみて10%にまで引き上げるべきだが、財政改革の中心は直接税改革に移行しなければならないと言う。すなわち所得税、法人税の引き上げである。

 税制では、所得税は日本経済の成長につれて累進税率のカーブをゆるやかにしてきたが、これを逆転し、累進度を高めよと同書は主張する。法人税についても、租税特別措置による減税を大幅に減らし、ビッグビジネスの異常に低い税負担を是正するよう求めている。

 また、世界的に進行している法人税引き下げ競争は「各国財政の共倒れを招いていることが明白であるから、協調を呼びかけて流れを変えるべきである」とも言う。

 日本の税と社会保険の公的負担は増え続けるが、先進国の中では負担率が低い。このため、同書は「相対的に「小さな政府」の範囲にとどまっており、引き上げの余地がある」と言う。そして、それゆえに、「客観的には破綻状態にある日本の財政が切迫した危険視をされず」にいるのだと指摘している。

 自動車など、春闘の第一陣回答が15日に出た。働き方改革の流れもあるが、概して、ベア回答は渋い。人手不足が言われているが、そのわりには賃上げ率は小さいように思われる。貧しい層の底上げを図るためにも、高所得の企業や個人への課税を増やすことが重要である。それが財政改革にもつながるのだろう。

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