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2017年4月28日 (金)

自民党財政再建特命委の健全化目標

 放漫財政を続ける安倍政権は、2020年度までに基礎的財政収支(PB)を黒字化するという財政健全化目標を棚上げしてしまったようにみえるが、与党である自民党の財政再建に関する特命委員会(委員長=茂木敏充政調会長)は27日、健全化に向けて政府に提出する意見書をまとめたという。

 日本経済新聞によれば、意見書は、2020年度までにPBを黒字化し、同時に、債務残高の対GDP比の安定的な引き下げをめざすとしている。

 安倍政権はデフレ経済からの脱却をめざして、超低金利政策や、大量の国債増発をもとにした一般会計、特別会計の歳出拡大を進めてきた。東日本大震災からの復興に対する国費の投入を契機に、国・地方の財政放漫が進行し、社会保障などにおける歳出効率化などへの取り組みもほとんど手がついていない。

 したがって、自民党の財政再建特命委員会が野放図な歳出増大に歯止めをかけようとしているのは、政権与党として当然のことである。

 ただ、現実には、「政高党低」の力関係にあり、自民党は安倍首相のなすがままを受け入れるだけに近い。党の財政再建特命委も、ちょっと言ってみただけに終わるかもしれない。だが、それでは、民主政治の堕落だ。

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2017年4月26日 (水)

カルビーの松本会長・CEOの経営論は刺激的

 ポテトチップスで有名なカルビーの松本晃会長が25日、東京・日比谷の日本記者クラブで講演した。質疑を含め1時間だったが、日本企業が求められている変革についての指摘はエキサイティングだった。

 変革とはカネ、権力、地位といった既得権を奪うこと、と言う松本氏は2009年にカルビーに入り、まず権限、個室、社用車、接待費をやめるなど、古い仕組みと悪しき文化を壊したという。

 同社は女性の工場長が2人いるし、米国法人の社長も女性である。また、執行役員の中日本事業本部長は女性だが、子供が2人いるので、「午後4時になったら帰る」ように命じてあるという。

 女は偉くなりたがらないという人がいるが、それは全くの嘘。女性は男性と同じように優秀であり、昇任と報酬がバランスがとれていれば、昇進に前向きである。

 会社が求めるのは成果であり、労働時間ではない。4月1日から、(工場などの現場以外は)社内外のどこで働いてもかまわないことにした。上司には部下の時間を奪うな、と言っている。ノー・ミーティング、ノー・メモだ。

 転勤で個人の幸せを奪うべきではない。カルビーに入社してすぐ、転勤拒否を認めるようにし、それで差別してはならないと決めた。社員が家族と一緒に暮らすことが大切だから。

 日本の会社がもうからないのは、もうける気がないから。グローバルスタンダードの利益率をめざすことなく、日本国内での横並びの考え方を続けているからだ。古い慣行が人を駄目にし、会社を駄目にし、国を駄目にしてきた。成果を出すためには、それを徹底的に変更しなければならない。

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2017年4月21日 (金)

「国の借金」と「財政赤字」は同じではない?

 我が国では財政赤字が増え続けているが、それをもって危機とみなすにはあたらない、という主張もある。最近、『社会を読む文法としての経済学』(西孝著、日本実業出版社)を読んだが、同書も、「第5章 貯蓄と投資の恒等式――木を見て森を見ない議論から抜け出そう」の「第3節 財政赤字の誤解」で、政府債務残高を「国の借金」というのは明らかな誤りだと指摘している。

 同書によると、「国の借金」とは、日本国が他国に対して負っている借金のことである。これは「輸出ー(マイナス)輸入」がマイナスになることで発生し、このマイナスが累積すると、外国からいかに借金するかで四苦八苦することになる。

 現実の日本は、貿易収支や経常収支は黒字続きなので、「国の借金」どころか対外純資産が増え続けている。日本国の対外純資産は2015年末時点で24年連続世界一の純資産を保有しているほどだ。

 同書によると、財政赤字とか政府債務残高というのは、日本の場合、政府部門が負っている債務とか債務残高のことである。そして、政府におカネを貸しているのは国民である。また、将来、政府が借りたおカネを返す相手も日本の国民である。

 そして、同書は財政赤字を削減するために、あるいはこれ以上増やさないために増税や歳出削減を説くことに対し、「その時それを負担する人はだれでしょう?」と問うことを求める。弱者に負わせることのないようにと。

 

 

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2017年4月11日 (火)

100年後の日本の人口は? 江戸末期に近いかも

 国立社会保障・人口問題研究所が「日本の将来推計人口」(平成29年推計)を10日に発表した。少子化、高齢化などで、我が国の人口は減少傾向をたどっている。では、50年先、100年先はどうか。

 推計によると、2015年に1億2709万人だった我が国の総人口は、長期の合計特殊出生率が1.44(中位仮定)として、50年先の2065年には8807万人になる。老年人口の割合は38.4%という。そして、長期参考推計によると、100年先の2115年には総人口がいまの半分以下の5055万人になるとしている。

 推計の前提を死亡率高位、出生率低位としたケースでは、100年先の総人口は3786万人と、江戸時代末期に近い。

 また、生産年齢人口に対する老年人口の割合を示す老年従属人口指数は、2015年が43.8(働き手2.3人で高齢者1人を扶養)だった。これが2065年には74.6(働き手1.3人で高齢者1人を扶養)することになるという。これを具体的にイメージすると、とんでもない事態だとわかる。いまでも高齢化が国家財政を圧迫し、これがさらに深刻化しつつあるのは御承知の通りだ。

 政府が2016年6月に閣議決定したニッポン一億総活躍プランでは、希望出生率1.8%の実現を政策目標に掲げた。それに本気で取り組んでいかないと、日本の社会は間違いなく活力を失う。

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2017年4月 3日 (月)

「国の財務書類」のデータを読む

 財務省が3月末に発表した平成27年度(2015年度)「国の財務書類」の概要を読むと、一般会計と特別会計とを統合した国の財政状態が読み取れる。即ち、公的年金などを含めた支出(業務費用)を租税や保険料収入でどれだけまかなっているかを示している。

 2015年度の業務費用計算書によると、費用合計は143.2兆円。14年度を4.9兆円上回った。15年度の内訳をみると、「社会保障給付費」が47.7兆円(前年度比1.1兆円増)、「補助金・交付金等」が48.4兆円(同3.3兆円増)、「地方交付税交付金等」が20.2兆円(同0.3兆円減)と、この3項目で8割を占めた。超低金利のおかげで、支払利息は9.1兆円と前年度より0.2兆円減った。

 ちなみに、「社会保障給付費」の中身は、厚生年金給付費23.2兆円、基礎年金給付費21.1兆円の2つでほとんどを占めている。また、「補助金・交付金等」には、社会保障関係経費32.3兆円が含まれる。その内訳は、保険料等交付金8.9兆円、後期高齢者医療給付費等負担金3.6兆円、国家公務員共済連合会等交付金2.4兆円、国民健保療養給付金等負担金1.9兆円、介護給付費等負担金1.7兆円などである。

 こうした費用を賄うための財源は、15年度121.5兆円と6.1兆円増だった。内訳をみると、租税等収入が60.0兆円(14年度比2.2兆円増)、社会保険料は51.6兆円(同6.8兆円増)、その他9.9兆円(同2.9兆円減)。租税等収入が60兆円のレベルまで上がった。

 しかし、業務費用の総額143.2兆円に対し、財源は121.5兆円にとどまる。21.7兆円が不足したので、公債発行などで不足分を調達した。15年度末の公債は917.5兆円で、前年度末より32.6兆円多い。

 なお、貸借対照表も発表された。15年度末の資産合計は672.4兆円。それに対し、負債合計は1193.2兆円。その差は520.8兆円だった。14年度末の差額492.0兆円より28.8兆円も増えた。それだけ、国の財政状態が悪化したことを見逃してはなるまい。

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