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2017年5月30日 (火)

宰相に求められる謙虚さ、公正性

 宰相であれ、ビッグビジネスのトップであれ、権力者はリーダーシップを発揮する一方で、権力を濫用することなく、公私にわたって謙虚、公正たらんとすべきである。昔から、権力は腐ると言われてきたが、いまの世界を見ると、いくつもの国で、支配者が腐っていると思われるニュースが相次ぐ。日本はどうか。

 日本では、国会における与野党の争点の一つとして森友学園、加計学園をめぐる安倍政権の関わりが報じられている。許認可や資金援助などに関する政府の関係部門の意思決定が安倍首相の意向を忖度したのではないかとか、安倍首相の夫人が名誉校長になっていたなどといった関わり方が指摘されたりしている。

 こうした報道に接するたびに思うのは、日本国の最高権力者となったら、その地位にあるあいだは、親しい友人であっても、個人的な付き合いは避けるべきだという点である。

 権力者には人が寄ってくる。政府(国や地方自治体)というのは、許認可などの権限のかたまりであり、補助金などの歳出(カネ)の出どころである。したがって、最高権力者である総理大臣と個人的な付き合いがある人は、うまい汁を吸っているにちがいないと世間の人たちは思う。したがって、総理大臣となったら、言われるまでもなく、許認可や補助金などが関わる業種・業態の人たちと一緒にゴルフをしたり、首相夫人がそうした関係の小学校の名誉校長などになったりしてはいけないのである。

 それがリーダーである首相がとるべきけじめである。安倍首相や菅官房長官ら自民党の指導層は、こうした基本をわきまえていない。前川前文科省事務次官への個人攻撃などで問題の本質をそらす自民党に、これからの我が国を託すのは不安が一杯だ。

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2017年5月26日 (金)

強権政治:日本国の未来を危ぶむ

 安倍自公政権のやり口を見ていると、議会政治で多数を占めたら、何をしてもいいと思っているのではないか、とさえ感ずる。自民党の内部での派閥争いとか政見の多様性などのように、かつては存在した党の活力の源泉はうかがえない。公明党はもっぱら権力にしがみつくだけの政党になってしまったようにみえる。野党の弱さを背景に、強権政治がまかり通っている。

 森友学園、加計学園の認可などをめぐる疑惑に対し、政府・与党は徹底して”臭いものにはふたをする”態勢をとってきている。獣医学部新設を迫る官邸の最高レベルの指示を示す文書について、前川前文部科学省事務次官が実際に存在したと証言しても、菅官房長官や松野文科相は否定している。そして、証人喚問など国会での真相究明にも応じない。

 石破茂氏が前川証言を前向きに評価しているが、それ以外には、与党から「言論の自由」を示す政治家の発言は出てこない。小選挙区制の弊害が極端に強く出てきたと見ることができる。

 テロ等準備罪の法案が衆議院を通過し、参議院に回った。これも、テロを未然に防止するためとして、警察などが個々人の普段の行動、活動や思想などを監視する「監視社会」に行き着く危険性が極めて大きいのに、自民、公明などの議員は法改正に疑問を抱かない。この国の未来を考えると、まことに恐ろしい事態である。

 この法案が通ると、警察・検察は、テロ根絶のためとして、すべての国民に監視の目を向けることになるのは必定だ。共謀罪に新たな立法は不必要だと専門家は指摘する。もの言えばくちびる寒しという言葉があるが、ユニークな発想をする人、誰もつくったことがないようなものをつくる人など、普通じゃない個性的な人が危険視されるような警察監視国家になっていく可能性が大きい。

 葛野尋之一橋大学大学院教授によると、テロ対策の国際的枠組み(5つのテロ対策国連条約、その他8つの国際条約)を日本はすべて批准し、国内法を整備した。したがって、包括的な共謀罪の創設は不要だという。また、日本政府は当初は共謀罪なしでの批准を目指していたと指摘する。さらに、公権力の不正行使(公職選挙法違反、政治資金規正法違反など)、民間の商業賄賂を含む経済犯罪が法の対象から除外されているという。

 同教授によると、警察は行政活動の一環として市民運動団体などを監視し、情報を収集している。共謀罪はそれを犯罪捜査として行う根拠法となる。そして電話傍受など強制処分も可能になるとしている。

 警察国家ともなれば、人々は委縮し、日本は活力の乏しい国として未来は暗い。そう思う。

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2017年5月21日 (日)

自民党に財政再建勉強会ができた

 安倍政権は財政危機・再建問題にほとんど関心を示していない。そんな中、自民党に、5月16日、財政再建勉強会がスタートした。財務省OBで、自民党税制調査会最高顧問の野田毅氏が代表発起人で、中谷元、野田聖子、村上誠一郎氏らがメンバーに入っているという。

 しばらく前から、”アベノミクス”なる言葉はほとんど見聞きしなくなった。政府与党の経済政策は、赤字国債の大量発行を当然視し、財政再建は政策課題から忘れられつつある。日銀のゼロ金利政策も、出口の難しさが取り沙汰されるようになっている。

 また、民進党などの野党は、社会保障などの歳出に関心を示すものの、歳入・歳出両面を踏まえた財政危機問題を、優先的に取り組むべき主要な政治課題ととらえているようにはみえない。そうした野党の姿勢も、政府与党の財政放漫を許す結果となっている。

 したがって、野田氏らの取り組みは、小さな勢力とはいえ、政府与党のサイドで財政再建ののろしをあげたものとして注目される。

 

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2017年5月16日 (火)

PHP総研の日本財政診断

 PHP総研といえば、1996年に出した『日本再編計画――無税国家への道』(斎藤精一郎責任監修)を思い出す人もいるだろう。そのPHP総研がこのほど検証報告書『「日本国」の経営診断―バブル崩壊以降の政治・行財政改革の成果を解剖する』を発表した。

 この報告書の概要を見ると、第1章で「わが国の財政の現状と未来」を7項目に整理している。その最後の⑦で、「わが国の財政の将来像に関する専門家の見解は一定ではないが、赤字を借金で埋めるという状況を未来永劫継続することは不可能である。」と述べている。

 また、第5章「歳入・公債発行に関する取り組みと課題」の中で、③財政赤字を埋め合わせるために消費税増税が行われ、その悪影響を抑制するために行なわれる財政出動によって歳出が肥大化し、それを公債発行及びさらなる増税で補填するという負のスパイラルが生じているのではないかと指摘。

 日銀による国債買い入れについては、「日銀の体力的側面からも市場的側面からも「限界が視野に入ってきており、今後は金利の上昇による利払費増加の局面に備える必要がある。」と指摘している。

 現在の私たちに求められているのは、日本国をさらに持続・発展させ、未来を切り拓いていくために、日本国の現状に真っ向から対峙し、議論し、新たな国の経営ビジョンとそれに基づく具体策をつくりあげることではないか――というのが報告書の締めの言葉だが、現在の安倍政権の政策に対する評価において、いささか迫力に欠ける感があるのは否めない。それだけ、財政問題は難しいということか。

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2017年5月11日 (木)

財政審財政制度分科会の資料を読もう

 10日に財政制度等審議会の財政制度分科会(会長=榊原定征経団連会長)が開催された。議論の内容は明らかにされていないが、資料は公開された。ネットで読むことができる。今回は文教、地方財政、社会資本整備の3つの分野が議論され、資料は、わかりやすいものもあれば、予備知識が相当ないと理解できないものもある。

 というわけで、難しいデータは抜きにして、わかりやすい資料を紹介する。まず、高等教育の効果は、費用253万円に対し、便益が608万円という。生涯賃金は高卒男子2億6百万円、大卒男子2億66百万円という。

 どの教育段階に財政支出を振り向けるのが、高い費用対効果が得られるのか、などコスト・ベネフィット分析を行い、そのうえで優先順位をつける必要があるのではないか、と言っている。

 地方財政では、長期債務残高が過去10年程度のあいだに国は330兆円増加したのに対し、地方公共団体は横ばい。地方財政は財政調整基金、減債基金などの基金残高が2005年度末の13.1兆円から、10年後の2015年度末の21.0兆円(2015年度末)に増えた。国がピーピーしているのに、地方公共団体のほうがゆとりがあるのは多少なりとも是正が必要かもしれない。

 社会資本整備については、OECD対日経済審査報告書2017年版において「地方公共団体は人口減少を踏まえ、住民の福祉に適切に配慮しつつ維持管理費を抑制する観点から、どのインフラを使用し続けるかについて注意深く決定する必要がある」と指摘された、などの記述もある。

 下水道事業は水道に比べ、財政の補助率が高い。新設ー更新にかかる費用はほぼ建設国債や地方債で賄っている。しかし、最近出版された『生活排水処理改革』が指摘するように、人口減少、設備老朽化、財源不足などに悩む市町村の中に、下水道をやめ、コストの安い合併浄化槽に切り替えるところが出てきている。同書はその背景をくわしく述べている。財政制度分科会においても、合併浄化槽を正面から取り上げていいのではないか。

 財政審の資料には、財務省に引き付けた記述やデータもあるが、日本国の財政が直面している問題点を知ることができる。できれば、もっとわかりやすい説明をして、国民が理解しやすいものにしてくれるといい。

 

 

 

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2017年5月 4日 (木)

毎日新聞のコラム「幸せの学び」に学ぶ

 5月3日は30年前、朝日新聞阪神支局に覆面の男が押し入り、散弾銃で記者を死傷させた日でもある。言論を暴力で抑圧しようとした憎むべき犯罪として記憶される。3日付け毎日新聞のコラム「幸せの学び」は、この事件当時、同支局員だった女性記者、伊藤景子氏が2011年に退社し、昨年11月、財政危機に直面している守口市の住民として、市民目線の「守口市民 財政白書」を発表したことを紹介している。

 伊藤氏は、郷里であり、かつ住む守口市が北海道夕張市に次ぐ財政破綻に追い込まれるのではないかといった報道を受けて、勉強会を組織した。そして、守口市当局の財政規律がゆるんでいたこと、また情報開示が十分でなく、市民もお任せで無関心だったことなどを「白書」で指摘したという。守口市といえば、三洋電機の工場があったところで、企業城下町的な気分が残っていたのだろうか。

  地方財政も、国と同様、放漫財政の名残りが色濃く残っている。地域住民の監視の目もないに等しいから、財政規律が締まらない。そうした中で、守口市の住民が市民の目でとらえた財政白書をまとめあげたのはパイオニア的な意義がある。ほかの地方公共団体でも、こうした試みが行われることを期待したい。

 このコラム「幸せの学び」のバックナンバーを見ると、昨年12月21日付け「国際援助と憲法前文」で、フォトジャーナリスト、勝俣誠氏がセネガルのダカール大学で講演したときの話を取り上げている。同氏は講演で、日本がアフリカまで行って援助している理由を憲法に求めた。即ち、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」と。聴いたアフリカの人たちは日本国憲法のすばらしさに感激したらしい。

 なるほど、勝俣氏に言われてみると、世界中の人たちが皆、恐怖と欠乏を免れ、平和に暮らせる権利があるとうたい、それを実現するため、頑張っている日本人がいるというのはすごいことではないか。安倍首相は自らが遵守すべき日本国憲法を、軍隊を持ち、交戦できる条文に改めようとしている。そのギャップの大きさに驚く。

 「幸せの学び」の筆者は城島徹氏。2月15日付けの「新聞は総合栄養食」にも感心した。新聞を読まず、もっぱらスマホで社会の出来事を知る人が増えている。そうした人に対し、新聞は”総合栄養食”である、幅広い情報との予期せぬ出会いがある、と言って、新聞を読むことを若者に薦めているという。ネットに押され、新聞は斜陽化しているので、読者を増やそうという営業政策上の配慮もあるだろうが、新聞の社会的意義を巧みに表現しているように思う。

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