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2017年11月 7日 (火)

未来への裏切り

 トランプ米大統領の2泊3日の日本訪問が終わった。メディアは、前座を務めた美人のイバンカ大統領補佐官の訪日から始まって、大統領と安倍首相とのゴルフ、日米首脳会談、日本の企業経営者との会談、北朝鮮による拉致被害者の家族との会見などをずっとフォローし、報道した。日頃、駐米特派員の報告では、米国内でのトランプ批判が紹介されることが多いが、今回、トランプ、安倍の2人に対する批判的な報道は少なかった。

 しかし、気になることはいくつもある。北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対して、日米が完全に一体であり、最大限の圧力をかける局面にあるという認識で一致したというが、軍事的な衝突が起きる危険性がないとは言えない。その場合、日本の軍事行動に歯止めがなくなるおそれがあるのではないか。

 トランプ大統領は、日米の軍事行動が一体化することを前提に、米国製の防衛装備品を日本に購入するよう求めたようだ。それに対し、安倍首相は、防衛予算の増大、および米国製装備品の購入増大を是認する発言をした。平和憲法を徐々に形骸化する安倍政権のゆくえは心配だ。

 トランプ歓迎ムードにあった11月6日、沖縄では、キャンプ・シュワブの埋め立て予定海域において、護岸工事が2ヵ所で始められた。7月に希少サンゴが見つかったため、本来なら、移植の許可申請が必要だが、沖縄防衛局は県の審査結果を待たずに着工したとされる。地元の反対を押し切って、トランプ訪日中に強引に着手したことに、安倍政権の日本の軍事力強化の意思を読み取ることができる。

 日本には、米軍が優越的地位を持つ日米地位協定なるものが存在する。これに該当すれば、米軍のヘリなどが墜落したとき、日本の警察が自由に現場に立ち入ることは許されない。空域において、米軍が優先するところがいまなお存在する。こうした植民地的な名残りを是正するのは日本側住民の悲願だが、安倍政権は、それに関心を持たない。トランプ訪日で、どうして、そうした問題を提起しないのか。そこに安倍首相の本音がうかがえる。

 北朝鮮拉致問題に関して、トランプ大統領は今回、拉致被害者の家族と面会した。安倍首相は、これで、トランプ大統領に、この問題の解決をゆだねたと思っているのかもしれない。拉致された人たちが解放されなければ、「米大統領がやってもできなかった」と言い訳できるから。

 トランプ大統領は、日米の二国間の貿易不均衡を改めるよう求めている。TPPから離脱し、二国間のFTAへ、というのが米国のスタンスだ。そのほうが、米国の力づくで不均衡是正しやすいと思っているのだ。

 6日からドイツでCOP23(第23回国連気候変動枠組条約締約国会議)が始まった。温暖化による気候変動は、世界の人々の暮らしや産業などに非常に大きな影響を与える。それを防ぐには、いまから、パリ協定のような国際条約で厳しく排出削減していくようにしなければならない。こうした重要なテーマがあるのに、トランプ・安倍会談で全く触れていない。これは未来への裏切りとでも言うべきか。

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