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2018年1月11日 (木)

大鹿靖明『東芝の悲劇』はすごい本だ

 粉飾決算などで明らかになった東芝の危機的な経営状況はいまも続いている。なぜ、こうした事態に至ったかを追及した大鹿靖明著『東芝の悲劇』を読み終えた。

 「東芝は、経済環境の激変や技術革新の深化の速度に対応できず、競争から落後したわけではなかった」。「その凋落と崩壊は、ただただ、歴代トップに人材を得なかっただけであった」。プロローグで著者はそう言い切っている。

 本文を読むと、よくここまで掘り下げて取材・執筆したことに驚く。とともに、著者に敬意を表する。大鹿氏の著作ではかつて、『ヒルズ黙示録』を読み、強烈な問題意識や取材力に感心したが、今回は、それ以上に、緻密な取材のうえに積み上げたストーリーに圧倒される思いだった。

 『東芝の悲劇』のエピローグを読むと、”悲劇”の構図が整理して述べられている。

 「東芝で起きたことは、まさに人災だった。教訓として言えることは、傍流からの抜擢人事は、こと日本の大企業においては成功しないということである。なぜならば、傍流からの抜擢人事は、多くの場合、実力者自身の院政とセットになることが多いからである」。

 「東芝の悲劇は同時に、この国の専門家たち(プロフェッショナル)の偽善性や欺瞞ぶりもさらけだした」。会計士、弁護士、検察庁、公正取引委員会や、所管官庁の経済産業省は、本来、求められる社会正義の実現や真実の追究をおろそかにして、財界の名門、東芝の面倒をみてきた。「かくして独立不羈の精神が社内に育まれることはなかった。温和で従順な社員は自立の気概に欠けていた。それも東芝の悲劇だった」。

 傍流からの抜擢云々という著者の割り切り方などに異論もあるだろう。それを踏まえても、”東芝の悲劇”の進行を詳細に取材し、執筆した著者の力量はすごい。”悲劇”はまだ終わってはいない。続編を期待する。

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