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2018年3月27日 (火)

国会証人喚問の限界

 森友学園疑惑で、27日、国会は佐川宣寿前財務省理財局長を証人喚問した。この予算委員会のテレビ実況中継を見たが、決裁文書の改ざんに関する国会議員の追及に対し、証人は完全に回答を拒否していた。これには、納得できない視聴者が多かったのではないか。

 憲法第62条で、議案等の審査及びその他国政に関する調査のため、喚問し、証言を要求できるとあり、議院証言法が定められている。

 冒頭、証人として立った佐川氏は「良心をもって、真実を述べ、何事も隠さず、何事も付け加えないことを誓う」と宣誓書を読み上げ、署名、捺印した。そして、委員会の委員長は、国民の関心が強い森友学園への土地売却に関する文書改ざんの経緯などについて証言するよう求めた。

 しかし、佐川氏は、自らが刑事訴追を受けていることを理由に、肝心の点に関して全く答えなかった。虚偽の陳述をすれば3カ月以上、10年以下の懲役を受ける。黙して語らなければ、虚偽陳述には当たらないということだろうか。宣誓書を読み上げたのに、自らの保身を最優先した。

 公文書を改ざんした目的は何だったのか。二度と同じようなことが起こってはならないが、佐川氏の証言は、政治、行政に対する国民の不信を強める一方で終わりそうだ。

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2018年3月21日 (水)

GDP統計が反映するもの、しないもの

 国全体の経済活動の規模や増減などを表す指標のGDP(国内総生産)。その数字について、「ネットの情報サービスやスマホアプリ」はGDPに反映されていない、と19日の日本経済新聞が指摘している。デジタル化という技術革新がもたらす消費者余剰はGDPの3.2%~3.7%にも及ぶとしている。消費者の利便性が高まっているのに、GDP統計上は豊かさがそれだけ失われていると記事は指摘する。私たちはGDP統計が示すよりも豊かだという記事である。

 GDP統計は折に触れて、批判の対象になるが、記事を読んだあとに、たまたま読み出した本、『3つのゼロの世界』は、GDPに触れて、異なる視点から、その問題点を指摘している。グラミン銀行の創設者で、ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏が”貧困ゼロ、失業ゼロ、CO2排出ゼロの新たな経済”という副題をつけている書物である。

 即ち、「GDPは全体を語らず、語ることもできない。お金のやり取りを必要としない活動は、GDPに参入されないからだ。つまり、人間がとても大切にすることの多くが価値がないと見なされるのである。他方で、兵器や人の健康を害したり環境を破壊したりするのに使われるお金はGDPに算入される。苦しみを生じさせるだけで、人類の幸福にはまったく貢献しないにもかかわらずだ」。そう、ユヌス氏は言う。

 そして、「GDPは、資本主義的人間の利己的な活動を正確に測ることはできるかもしれない」と付け加える。

 同書は啓発に富む書物であり、GDPから離れるが、引用したい内容が多々ある。その中から一つだけ紹介する。「人間は仕事を探す者だという考えを捨て、人間は起業家だという新しい考えと置き換える必要がある」、「人間はみな生まれながらの起業家であり、無限の創造力を内に秘めている」。

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2018年3月 4日 (日)

逆「トリクルダウン」を目指せと言う中前忠氏

 経済同友会の会報『経済同友』2月号に、中前忠国際経済研究所代表が昨年12月に会員セミナーで講演した「経済ナショナリズムが変える成長モデル」の要旨が載っている。

 労働生産性の上がっている企業は雇用を減らす。余剰になった労働者は生産性の低い第三次産業に移る。このため、全体として企業収益は上がっても、労働者の報酬は下がり、所得格差は広がる。この傾向が世界中に見られるという。

 日本では、国の所得に対する家計所得の割合は1980年の68.9%から2015年51.9%まで落ちている。加えて、家計所得に占める税・社会負担額は1980年の21.7%から2015年35.8%にと重くなっている。

 逆に、国の所得に対する企業所得の割合は1980年の21.3%から2015年32.0%へと上昇。企業所得に対する税・社会負担額は1991年のピーク48.7%から2015年31.8%へと下がっている。こうした企業優遇策のため、労働分配率も下がっているという。これを是正しない限りは国内消費は伸びないと中前氏は指摘する。

 そこで、消費税を廃止し、法人税増でその分を補う。そうすれば、消費は増え、結果的に国内企業にもプラスに働き、賃上げも可能になると言う。家計から企業へ富が行き渡る「逆トリクルダウン」を目指すレジーム・チェンジを唱えている。

 中前氏は昨年10月5日夕刊の日本経済新聞コラム「十字路」で、消費税の撤回、貯蓄利回りの引き上げ、および財政赤字対策としての企業への増税を説いた。今回は、それに続くもの。逆転の発想が説得的だ。

 

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