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2018年3月21日 (水)

GDP統計が反映するもの、しないもの

 国全体の経済活動の規模や増減などを表す指標のGDP(国内総生産)。その数字について、「ネットの情報サービスやスマホアプリ」はGDPに反映されていない、と19日の日本経済新聞が指摘している。デジタル化という技術革新がもたらす消費者余剰はGDPの3.2%~3.7%にも及ぶとしている。消費者の利便性が高まっているのに、GDP統計上は豊かさがそれだけ失われていると記事は指摘する。私たちはGDP統計が示すよりも豊かだという記事である。

 GDP統計は折に触れて、批判の対象になるが、記事を読んだあとに、たまたま読み出した本、『3つのゼロの世界』は、GDPに触れて、異なる視点から、その問題点を指摘している。グラミン銀行の創設者で、ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏が”貧困ゼロ、失業ゼロ、CO2排出ゼロの新たな経済”という副題をつけている書物である。

 即ち、「GDPは全体を語らず、語ることもできない。お金のやり取りを必要としない活動は、GDPに参入されないからだ。つまり、人間がとても大切にすることの多くが価値がないと見なされるのである。他方で、兵器や人の健康を害したり環境を破壊したりするのに使われるお金はGDPに算入される。苦しみを生じさせるだけで、人類の幸福にはまったく貢献しないにもかかわらずだ」。そう、ユヌス氏は言う。

 そして、「GDPは、資本主義的人間の利己的な活動を正確に測ることはできるかもしれない」と付け加える。

 同書は啓発に富む書物であり、GDPから離れるが、引用したい内容が多々ある。その中から一つだけ紹介する。「人間は仕事を探す者だという考えを捨て、人間は起業家だという新しい考えと置き換える必要がある」、「人間はみな生まれながらの起業家であり、無限の創造力を内に秘めている」。

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