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2018年7月 8日 (日)

財政危機に関して注目したい記事

 7月5日付け日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」で、五十嵐敬喜三菱UFJリサーチ&コンサルティング研究理事が「国債は資産でもあるという誤解」と題する原稿を書いている。その中で、大量の国債発行残高は景気浮揚の役割を終えた残骸みたいなもので、この残骸処理の過程で景気は必然的に悪くなると指摘している。

 日本は大量の国債を発行し、その残高が膨れ上がってきて財政改革の中心課題になっている。しかし、国債は国民の負債である半面、国債を購入し保有する国民の資産でもあるから、差し引きチャラ。償還について深刻に考えることはない、という説を唱える学者・エコノミストがいる。しかし、そうだろうか、というのが五十嵐氏のコラムだ。

 国債の発行から償還までのプロセスは時間差があって、「発行、購入、歳出は景気を浮揚させるが、徴税、償還は景気を悪化させる」。つまり、国債発行残高1千兆円は、景気浮揚の役割を終えた「残骸」みたいなもので、この残骸を処理する過程で景気は必然的に悪化すると述べる。

 日本の財政は、国債残高の大半が日本国内で保有されているから、外国に多く保有されるイタリアなどとは違う、財政破綻云々は心配のし過ぎ、という指摘もされる。しかし、海外との金融、貿易の取り引きはドル決済を介するので、海外への資本逃避(円売りドル買い)によって、円の暴落や、激しい国内インフレを引き起こすことが考えられる。安倍政権がまじめに財政再建に取り組む可能性は低いが、それだけに、財政破綻の起きる危険性は大きいと思われる。

 ところで、経済同友会が5月にまとめた「2045年までの長期財政試算を踏まえて」という「新たな財政健全化計画に関する提言」は政治的な配慮をあまりしない試算なので、目を通す価値がある。それによると、2045年度までの基礎的財政収支を黒字維持するために必要な消費税率は、全要素生産性(TFP)上昇率平均1.1%のベースシナリオで最低17%としている。

 安倍政権は日銀とのタッグで目先の景気回復に力を入れてきた。しかし、いずれ、安倍政権も終わる。ばらまき政治に決別せねばならない時期が近いことを覚悟し、政官界は財政改革に踏み出す準備が必要である。

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