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2018年11月23日 (金)

ゴーン氏の事件で思うこと

 日産自動車の再建に大きな功績のあったカルロス・ゴーン氏が金融商品取引法違反の疑いで逮捕された事件。いろいろ思い出したり、考えさせられたりすることがある。

 日産が経営不振でルノーに助けを求めたとき、当時の日産トップは、その理由をこう語っていたーー「再建には、長年、日産で一緒に仕事をしてきた人たちを大量に切る必要がある。しかし、生え抜きばかりの日産の役員や経営幹部は彼らとしがらみがあるため、心情的に踏み切ることができない。そこで、しがらみのない人に経営トップとして来てもらい、合理化を進めてもらう」ーーと。日産がトップとして指名し、ルノーが派遣を認めたゴーン氏は、見事にその役割を果たし、日産を再生した。

 しかし、日産の再建が進み、ルノーとの連携が成功したのはよいが、ゴーン氏が両社(のちに三菱自動車が加わる)およびフランス政府に対しても強い発言力を持つに至り、三社に対するワンマン経営の色彩が強くなった。そして、ゴーン氏の長期政権化に対するチェック体制が不十分なまま、今日に至っている。

 一方、日産のほうがルノーよりも規模・競争力が強くなっている。このため、フランス政府およびルノーは、日産株式の高い保有率を武器に、日産を子会社化しようとする可能性もうかがえる。ゴーン氏逮捕は、日産の生え抜き社員の自立意識が噴き出したからかもしれない。

 ゴーン氏の役員報酬をめぐる金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)は、さまざまな面から注目される。

 ゴーン氏は、自分の能力・経営実績に見合う報酬を得るのは当たり前と思っているらしい。日産のトップとしての報酬は、日本人が日本の企業で手にする報酬とはかけ離れて大きいが、それはグローバルに見れば、当然の金額だと受け止めていたのだろう。ただ、日本国内では、役員報酬が図抜けて多いことは、とかく否定的な目で見られがちなので、公表データでは目立たない数値に押さえておこうということだったのではないか。

 日本企業は21世紀に入ってから、外国人を役員に迎えるようになった。しかし、日本人の社長よりも外国人の常務などのほうが報酬が高いというような、奇妙な現象がみられる。ゴーン氏が高い報酬を手にし、それが黙認されたのも同様な流れである。

 さはさりながら、米欧などで巨大な企業の経営者の報酬がベラボーに高いことをまともだと受け止めることはむずかしい。極端に貧しい国や地域がたくさんあり、そこに富者から救いの手を差し伸べることは絶対に必要である。豊かな人たちから貧しい人たちへ富がシフトし、貧富の格差を縮めることは、世界の豊かな国や住民の義務である。ゴーン氏がカネ、カネ、カネの狭い意識から脱して、新たな使命を目指したら幸いである。

 

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