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2019年1月25日 (金)

毛里和子氏の新著の「はじめに――中国外交九つの瑕疵」に学ぶ

 現代中国論などの研究者である毛里和子早稲田大学名誉教授が昨年12月に出版した『現代中国外交』(岩波書店)。たまたま手にとって序文を読んだだけだが、それだけで、とても教わるところが多かった。こんな経験は初めてだ。

 「はじめに」の中で、毛里氏は、2017年夏、中国人の研究者である鄧いつ(律の右部分)文がSNSに投稿したつぶやき(毛里氏によれば、「中国外交の瑕疵9項」)を紹介している。
 米国に対する対抗的思考や態度を改めるべし、日本、韓国とは友好政策をとるべし、北朝鮮には制裁を強めるべし、台湾に一つの中国原則を押し付けることなく国際空間を与えるべし、平和主義者、ダライ・ラマのいるうちにチベット問題の過激化を避けるべし、南シナ海を独り占めする考えを改めるべし、……。現代中国の現実と改めるべき問題点が列挙されているように思われる。
 毛里氏は、これら瑕疵9項を本書の通奏低音とでも言えようかと述べている。
 私は、「はじめに」を読んで、鄧氏がこのような見解を対外的に表明できるぐらいの自由が、まだ中国には存在しているのか、という感想を抱いた。

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2019年1月13日 (日)

日本のゾンビ化への警告

 「BLOGOS」(10日)に載った澤上篤人氏の主張「ゾンビ経済、ゾンビ社会」は、平成の30年間を「日本全体のゾンビ化」の時代だったと振り返っている。同氏は「自助自立の精神を捨て、他力本願と問題先延ばしでズルズルと悪い方向へ流れてしまうこと」をゾンビ化と表現している。

 そして、日本全体のゾンビ化は、「誰も抜本的な解決策を打ち出さないし、国民に訴えつつ行動に移す勇気も見識もない」ところに原因がある、と断言する。仰せの通りだと思う。
 政治における与党のおごり、野党の四分五裂、もっぱら賃上げ闘争中心の労働運動、行政組織の弛緩、企業活動における手抜き等々、原因として思い当たることばかりだ。
 そうしたゾンビ化にもかかわらず、何とか、格好がついているのは、赤字国債などの大量発行である。そして、反省もなく、いまも続いている。そして、いまや、国債発行残高の半分近くは日本銀行が保有している。その異常さを日本国民はほとんど感じていない。
 澤上氏は、我が国が「無為無責任のゾンビ化に身を任せ、総貧困化の道をひた走っているのだ」と指摘。「事実上の財政ファイナンスを続けているのだ。その先では、財政破たんと悪性インフレが大きな口を開いて待っている。そこまで行ってしまうのだろうか。日本全体のゾンビ化は」というところで、筆を止めている。
 2019年は、戦争勃発に至るおそれのある国家間対立や、先進諸国の国内政治の対立抗争、グローバル企業の活動への制約など、多面的に問題が噴出しそうな気配がうかがえる。澤上氏の主張は、貴重な警告である。

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