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2019年4月16日 (火)

映画「山懐に抱かれて」を製作したテレビ岩手に敬服

 今月下旬に公開される映画「山懐に抱かれて」の試写会に出た。三陸地方に旅行したことがある人なら、岩手県下閉伊郡田野畑村を知っているだろう。私も30年ほど前に、三陸海岸を訪れたときに、農業と漁業の村である田野畑村で一泊した。しかし、この映画を見るまで、山を切り拓き、乳牛を放牧する牧場があることを知らなかった。

 「一年を通して山に牛を完全放牧し、大地に生えるシバと自前で栽培する牧草だけを餌に牛を育てる”山地(やまち)酪農”」(パンフレットより)。この理想の酪農をめざしてこの地に住みついた吉塚公雄・登志子夫妻。彼らは生まれてくる子供たちやその家族と共に一日の休みもなく理想の酪農めざしていそしんできた。そこには、喜びもあれば悲しみもある。そして悩み、苦しみがある。特に、公雄氏は理想の牛乳生産と牧場の拡大をめざすが、経営難に頭を悩ます。民放のテレビ岩手は、そうした酪農一家の歩みを映像として記録してきた。この映画は、その酪農大家族の24年間の映像記録を編集して映画にしたものである。

 映像は、自然の美しさと同時に冬の気象の厳しさを目の当たりにしてみせる。また、家族の夕食時、テーブルを囲み、家族一人ひとりの名前を皆で唱え、感謝する。成長した子供たちが結婚したり、仕事のありかたをめぐって父親と意見が対立したりもする。家を出て、よその地で暮らす者も出てくる。小学校にも上がらない幼児が干し草づくりなどを遊びのつもりか、手伝う。

 家族の数十年という年月を追うテレビ・映画の「北の国から」は名作だが、フィクションである。これに対し、「山懐に抱かれて」は、テレビ岩手が長年、ドキュメンタリーとして製作・放映してきたものを映画として編集した”すぐれもの”である。観客は、感動するとともに、いろいろ考えさせられるに違いない。

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