2017年7月31日 (月)

平成28年度の国の税収は法人税減でマイナスに

 財務省が7月31日発表したところによると、平成28年度の税収は前の年度を3913億円下回った。安倍政権はこれまで、税収増をアベノミクスの成果と誇ってきたが、28年度は法人税が8071億円も落ち込み、ほかの税収との合計でも、税収減となったわけである。

 同年度の消費税は4271億円増えたが、所得税は989億円減った。

 日本経済は低成長率が続き、政府は財政・金融政策を企業などの競争力強化に向けて重点的に実施してきた。その結果、企業は収益増、内部留保増などを達成し、逆に法人税の納税額は著しく減っている。

 このように税収から見ると、企業は”明”、個人・労働者は”暗”である。それでなお、デフレから脱しきれないというのは、経済政策が間違っているのではないか。企業にもっと蓄えを吐き出させ、労働者の賃金を上げるという政策がまじめに取り上げられていい。

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2017年7月16日 (日)

経済同友会、財政健全化は持続可能性にとって最重要課題と

 経済団体の経済同友会は14日、アピール「持続可能な社会の構築に向けて」を発表した。アピールは5項目あるが、そのトップで、持続可能性への危機感を指摘し、財政健全化を筆頭に挙げた。

 政府の”骨太の方針2017”では、「消費税引き上げの記述が消え、財政規律の弛緩を招きかねない公的債務残高対GDP比というストック指標が導入された」。これに対し、同友会は「国の将来を見据え、プライマリーバランスの黒字化に向けた現実的かつ具体的な目標を示すとともに、2019年10月の消費税率10%への引き上げの確実な実施を求める」と主張した。

 アピールでは「財政健全化は、わが国の持続可能性にとって最重要課題の一つ」とし、安倍政権には、短期的な支持率の変動を恐れずに取り組むよう主張している。

 同友会は、財政健全化の基本は「出ずるを制する」であるとし、社会保障の質を担保しながら、効率化する改革が不可欠だと言う。そのためには、最大の阻害要因である”シルバー民主主義”の打破に向けて、若い世代の意見が反映される政治制度の検討を求めている。

 また、同友会は、このアピールの第5項目「Japan2.0」―「国のかたちを描く」において、わが国の憲法を改定するか否かの議論が本格化することは、日本が目指すべき「国のかたち」を改めて考える好機として前向きに評価する、としている。

 

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2017年6月26日 (月)

財政と社会の関わりを考えさせるジュニア向け新書

 3月に発行された岩波ジュニア新書『財政から読みとく日本社会』(井手英策著)を読んだ。少年少女向けに書かれたとはいえ、著者の財政学や日本の現実への考えが展開され、いい本である。

 著者が学んだ財政学の師である神野直彦氏の著書『財政学』に、「市場経済では量入制出(入るを量って出ずるを制する)の原則が支配しているのに対し、財政では「量出制入(出ずるを量って入るを制する)の原則」にもとづいて運営される」と書かれている。私はそれを初めて読んだとき驚いた。そのときまで、財政についても、入るを量って出ずるを制するのが当然だと思っていたからだ。

 井手氏の新著は、神野財政学の考え方をベースに展開していて、刺激的である。日本ではEUなどに比べ、消費税の税率は低いのに、引き上げに対する国民の心理的抵抗が強い。高度経済成長期に繰り返された所得減税で、国民は税金が当然返ってくるという感覚を持つようになったからだという。日本では、33年間にわたり、純増税が行われなかったのだ。増税しながら人々の生活を支える仕組みをつくる経験をほとんど持つことなく、歴史上まれにみる巨額の政府債務を創り出したのだと指摘する。

 教育、医療、介護、子育て、環境など、人が生活していくための現物給付は、金持ちだろうと中間層だろうと、貧しい人であろうと、誰もが必要とする。すべての人を受益者にすると、財政規模は膨らむが、誰もが将来不安から解放される。財政は暮らしを支え、人と人との共感を創り出す道具だという。

 著者は財政を通じて望ましい経済社会をつくることを願って本書を書いた。読めば、戦後財政史を新たな視点で学ぶことができる。それも本書の特色であろう。

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2017年6月10日 (土)

財政悪化を是認する「骨太の方針」

 3月に出版された『サボる政治』(坂本英二著)は副題に「惰性が日本をダメにする」と記している。

 自民党は「財政に余裕があった頃に思い描いた夢の福祉国家や地方に予算を大盤振る舞いする仕組みは、もう見直さなければならないと有権者に正面からなかなか説明できなかった。」、また、野党は「増税反対!」「地方切り捨て反対!」と声高に叫び続けた。結果として、将来世代に負担を付け回ししてきた。これが過去30年ほどの基本構図だと言う。

 政府は9日、臨時閣議で経済財政運営の基本方針(いわゆる骨太の方針)を決定したが、概要を読むと、2020年度の黒字化を掲げてきた基礎的財政収支(PB)目標に加え、債務残高対GDP比の安定的引き下げという目標を掲げた。財政再建のメドとしてきたPBの黒字化が不可能とわかったからだと思われる。財政再建で野党から叩かれるのを避けるため、目標をあいまいにしたのだろう。

 アベノミクスではデフレ脱却、経済再生、歳出改革、歳入改革を唱えてきた。しかし、現実には、赤字国債の大量発行や日銀による超低金利政策をてこに、もっぱら景気刺激策が行なわれてきているが、政府の期待通りの経済成長を達成できていない。このままでは、「子や孫のクレジットカードで現役世代が飲み食いしている」(『サボる政治』)事態が今後も続きそうな気配だ。

 安倍政権発足から5度目の骨太の方針となる。財政再建がうまくいかないのは、将来に大きな負担を残す今の経済運営そのものに問題が内在しているからではないかと想定される。国会で与野党議員に加え、経済学者ら民間の専門家を入れて、今後の日本経済の運営に関する議論をしていくことが争点を明確化し、政策を見直すことにつながるのではないか。

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2017年5月21日 (日)

自民党に財政再建勉強会ができた

 安倍政権は財政危機・再建問題にほとんど関心を示していない。そんな中、自民党に、5月16日、財政再建勉強会がスタートした。財務省OBで、自民党税制調査会最高顧問の野田毅氏が代表発起人で、中谷元、野田聖子、村上誠一郎氏らがメンバーに入っているという。

 しばらく前から、”アベノミクス”なる言葉はほとんど見聞きしなくなった。政府与党の経済政策は、赤字国債の大量発行を当然視し、財政再建は政策課題から忘れられつつある。日銀のゼロ金利政策も、出口の難しさが取り沙汰されるようになっている。

 また、民進党などの野党は、社会保障などの歳出に関心を示すものの、歳入・歳出両面を踏まえた財政危機問題を、優先的に取り組むべき主要な政治課題ととらえているようにはみえない。そうした野党の姿勢も、政府与党の財政放漫を許す結果となっている。

 したがって、野田氏らの取り組みは、小さな勢力とはいえ、政府与党のサイドで財政再建ののろしをあげたものとして注目される。

 

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2017年5月16日 (火)

PHP総研の日本財政診断

 PHP総研といえば、1996年に出した『日本再編計画――無税国家への道』(斎藤精一郎責任監修)を思い出す人もいるだろう。そのPHP総研がこのほど検証報告書『「日本国」の経営診断―バブル崩壊以降の政治・行財政改革の成果を解剖する』を発表した。

 この報告書の概要を見ると、第1章で「わが国の財政の現状と未来」を7項目に整理している。その最後の⑦で、「わが国の財政の将来像に関する専門家の見解は一定ではないが、赤字を借金で埋めるという状況を未来永劫継続することは不可能である。」と述べている。

 また、第5章「歳入・公債発行に関する取り組みと課題」の中で、③財政赤字を埋め合わせるために消費税増税が行われ、その悪影響を抑制するために行なわれる財政出動によって歳出が肥大化し、それを公債発行及びさらなる増税で補填するという負のスパイラルが生じているのではないかと指摘。

 日銀による国債買い入れについては、「日銀の体力的側面からも市場的側面からも「限界が視野に入ってきており、今後は金利の上昇による利払費増加の局面に備える必要がある。」と指摘している。

 現在の私たちに求められているのは、日本国をさらに持続・発展させ、未来を切り拓いていくために、日本国の現状に真っ向から対峙し、議論し、新たな国の経営ビジョンとそれに基づく具体策をつくりあげることではないか――というのが報告書の締めの言葉だが、現在の安倍政権の政策に対する評価において、いささか迫力に欠ける感があるのは否めない。それだけ、財政問題は難しいということか。

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2017年4月28日 (金)

自民党財政再建特命委の健全化目標

 放漫財政を続ける安倍政権は、2020年度までに基礎的財政収支(PB)を黒字化するという財政健全化目標を棚上げしてしまったようにみえるが、与党である自民党の財政再建に関する特命委員会(委員長=茂木敏充政調会長)は27日、健全化に向けて政府に提出する意見書をまとめたという。

 日本経済新聞によれば、意見書は、2020年度までにPBを黒字化し、同時に、債務残高の対GDP比の安定的な引き下げをめざすとしている。

 安倍政権はデフレ経済からの脱却をめざして、超低金利政策や、大量の国債増発をもとにした一般会計、特別会計の歳出拡大を進めてきた。東日本大震災からの復興に対する国費の投入を契機に、国・地方の財政放漫が進行し、社会保障などにおける歳出効率化などへの取り組みもほとんど手がついていない。

 したがって、自民党の財政再建特命委員会が野放図な歳出増大に歯止めをかけようとしているのは、政権与党として当然のことである。

 ただ、現実には、「政高党低」の力関係にあり、自民党は安倍首相のなすがままを受け入れるだけに近い。党の財政再建特命委も、ちょっと言ってみただけに終わるかもしれない。だが、それでは、民主政治の堕落だ。

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2017年4月21日 (金)

「国の借金」と「財政赤字」は同じではない?

 我が国では財政赤字が増え続けているが、それをもって危機とみなすにはあたらない、という主張もある。最近、『社会を読む文法としての経済学』(西孝著、日本実業出版社)を読んだが、同書も、「第5章 貯蓄と投資の恒等式――木を見て森を見ない議論から抜け出そう」の「第3節 財政赤字の誤解」で、政府債務残高を「国の借金」というのは明らかな誤りだと指摘している。

 同書によると、「国の借金」とは、日本国が他国に対して負っている借金のことである。これは「輸出ー(マイナス)輸入」がマイナスになることで発生し、このマイナスが累積すると、外国からいかに借金するかで四苦八苦することになる。

 現実の日本は、貿易収支や経常収支は黒字続きなので、「国の借金」どころか対外純資産が増え続けている。日本国の対外純資産は2015年末時点で24年連続世界一の純資産を保有しているほどだ。

 同書によると、財政赤字とか政府債務残高というのは、日本の場合、政府部門が負っている債務とか債務残高のことである。そして、政府におカネを貸しているのは国民である。また、将来、政府が借りたおカネを返す相手も日本の国民である。

 そして、同書は財政赤字を削減するために、あるいはこれ以上増やさないために増税や歳出削減を説くことに対し、「その時それを負担する人はだれでしょう?」と問うことを求める。弱者に負わせることのないようにと。

 

 

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2017年4月 3日 (月)

「国の財務書類」のデータを読む

 財務省が3月末に発表した平成27年度(2015年度)「国の財務書類」の概要を読むと、一般会計と特別会計とを統合した国の財政状態が読み取れる。即ち、公的年金などを含めた支出(業務費用)を租税や保険料収入でどれだけまかなっているかを示している。

 2015年度の業務費用計算書によると、費用合計は143.2兆円。14年度を4.9兆円上回った。15年度の内訳をみると、「社会保障給付費」が47.7兆円(前年度比1.1兆円増)、「補助金・交付金等」が48.4兆円(同3.3兆円増)、「地方交付税交付金等」が20.2兆円(同0.3兆円減)と、この3項目で8割を占めた。超低金利のおかげで、支払利息は9.1兆円と前年度より0.2兆円減った。

 ちなみに、「社会保障給付費」の中身は、厚生年金給付費23.2兆円、基礎年金給付費21.1兆円の2つでほとんどを占めている。また、「補助金・交付金等」には、社会保障関係経費32.3兆円が含まれる。その内訳は、保険料等交付金8.9兆円、後期高齢者医療給付費等負担金3.6兆円、国家公務員共済連合会等交付金2.4兆円、国民健保療養給付金等負担金1.9兆円、介護給付費等負担金1.7兆円などである。

 こうした費用を賄うための財源は、15年度121.5兆円と6.1兆円増だった。内訳をみると、租税等収入が60.0兆円(14年度比2.2兆円増)、社会保険料は51.6兆円(同6.8兆円増)、その他9.9兆円(同2.9兆円減)。租税等収入が60兆円のレベルまで上がった。

 しかし、業務費用の総額143.2兆円に対し、財源は121.5兆円にとどまる。21.7兆円が不足したので、公債発行などで不足分を調達した。15年度末の公債は917.5兆円で、前年度末より32.6兆円多い。

 なお、貸借対照表も発表された。15年度末の資産合計は672.4兆円。それに対し、負債合計は1193.2兆円。その差は520.8兆円だった。14年度末の差額492.0兆円より28.8兆円も増えた。それだけ、国の財政状態が悪化したことを見逃してはなるまい。

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2017年3月29日 (水)

無修正で成立した2017年度国家予算

 日本の国会では、政府が作成し、提示した予算案を議論し、修正して成立させる役割の予算委員会が、あらゆる問題を審議する。いまなら、森友学園をめぐる国有地の売却価格などが争点となっている。

 国の一般会計などの予算案をめぐる審議のほうは、一昨日(28日)の予算成立で終わったが、1月に提出された予算案は無修正で承認・可決された。衆・参議院とも予算案を審議する予算委員会が開かれ、長時間、審議が行われたはずだが、修正個所が全くないというのには違和感を持つ。

 一般会計を例にとると、どんなことにいくら使うか、一つ一つを積み上げた歳出と、それらに必要な資金の調達である歳入ともに97兆円台という天文学的な金額である。カネの使い方で、政府提出案の何から何まで問題がないなんてことはありえない。それとも、予算案作成にあたる各省および全体を束ねる財務省の官僚は”神様”ばかりなのか。

 委員会の審議で中身をめぐる与野党の対立が起き、修正すべきものは修正する、それが国会議員の役目ではないかと思う。多数決民主主義で、与党が数の力でもって有無を言わさぬというのなら、独裁政治に似ていよう。野党の議員には、総論と各論の両面から政策と予算に精通し、与党と官僚に一目おかれる政策通になる人が何人もいるようになってほしい。

  一般会計歳出(国債費を含む)は2009年度に急増したあと横ばい。これに対し、一般会計税収は2009年度から右肩上がりに増えている。これらの数値を折れ線グラフにすると、”ワニ”の口がせばまってきている。一方、公債残高は2017年度末に865兆円(2016年度末実績見込み845兆円)と増え続けている。そして、日本銀行のゼロ金利および国債の大量買い入れという非常時の対策は出口が見えないままだ。

 こうした日本の財政・金融をめぐる厳しい状況について、国会議員がきちんと認識し、国政をまともな軌道に乗せることが求められている。内閣も、与党も自覚が足りないし、野党も枝葉末節ばかり追いかけていては話にならない。

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