2018年7月31日 (火)

「財政再建なくして成長なし」に120%賛同

 7月31日の日本経済新聞朝刊コラム「大樹小機」は、「財政再建が困難な理由」と題して、現在の安倍政権の重大な誤りを指摘している。目先のことにとらわれ、将来世代への負担を先送りしていること、そして、根強い成長信仰。要するに、財政の危機は他人事なのである。

 では、どうすべきか。あるべき社会保障体制と財政再建の調和を図ることだ、と理解する。コラムは結論として、「財政再建なくして成長なし」と断定している。

 トランプ大統領の米国や中進国など、世界的に強引な目先の権力政治が幅をきかせる傾向がうかがえる。日本も例外ではない。民主主義が精彩を欠いている時代に入った。したがって、財政再建は重要な政治課題でなくなってきている。したがって、「大樹小機」のコラムは、危機の時代への警鐘でもある。

 

 

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2018年7月 8日 (日)

財政危機に関して注目したい記事

 7月5日付け日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」で、五十嵐敬喜三菱UFJリサーチ&コンサルティング研究理事が「国債は資産でもあるという誤解」と題する原稿を書いている。その中で、大量の国債発行残高は景気浮揚の役割を終えた残骸みたいなもので、この残骸処理の過程で景気は必然的に悪くなると指摘している。

 日本は大量の国債を発行し、その残高が膨れ上がってきて財政改革の中心課題になっている。しかし、国債は国民の負債である半面、国債を購入し保有する国民の資産でもあるから、差し引きチャラ。償還について深刻に考えることはない、という説を唱える学者・エコノミストがいる。しかし、そうだろうか、というのが五十嵐氏のコラムだ。

 国債の発行から償還までのプロセスは時間差があって、「発行、購入、歳出は景気を浮揚させるが、徴税、償還は景気を悪化させる」。つまり、国債発行残高1千兆円は、景気浮揚の役割を終えた「残骸」みたいなもので、この残骸を処理する過程で景気は必然的に悪化すると述べる。

 日本の財政は、国債残高の大半が日本国内で保有されているから、外国に多く保有されるイタリアなどとは違う、財政破綻云々は心配のし過ぎ、という指摘もされる。しかし、海外との金融、貿易の取り引きはドル決済を介するので、海外への資本逃避(円売りドル買い)によって、円の暴落や、激しい国内インフレを引き起こすことが考えられる。安倍政権がまじめに財政再建に取り組む可能性は低いが、それだけに、財政破綻の起きる危険性は大きいと思われる。

 ところで、経済同友会が5月にまとめた「2045年までの長期財政試算を踏まえて」という「新たな財政健全化計画に関する提言」は政治的な配慮をあまりしない試算なので、目を通す価値がある。それによると、2045年度までの基礎的財政収支を黒字維持するために必要な消費税率は、全要素生産性(TFP)上昇率平均1.1%のベースシナリオで最低17%としている。

 安倍政権は日銀とのタッグで目先の景気回復に力を入れてきた。しかし、いずれ、安倍政権も終わる。ばらまき政治に決別せねばならない時期が近いことを覚悟し、政官界は財政改革に踏み出す準備が必要である。

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2018年5月22日 (火)

財政悪化への危機感が政治家にも国民にもない

 政府は医療、介護などの社会保障給付費の将来推計を22日に発表した。2040年度に190兆円と18年度より6割増えるなど、いまのままだと財政破綻は必至と受け取れる内容である。

 この問題が深刻なのは、慶応大学の土居丈朗教授が言うように、「いまの仕組みを維持するだけでも2040年に相当な負担増になるという危機感が、政治家にも国民にもないのが一番怖い」(朝日新聞)という点である。現役の人たちに給付費の大半を依存している現在の仕組みは持続不可能である。

 国債をたくさん発行して財源を確保するという安易な政権。その基本的な問題点を突くことなく、目先の諸問題にばかり取り組んでいる野党。この病んだ政治に対して、国民各層が改革を求めて立ち上がるしか、突破口はないだろう。

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2018年5月 4日 (金)

国会議員にも官僚にもチコちゃんのお叱りを

 「ボーと生きてんじゃねえよ」――NHKの金曜日夜、チコちゃんが出演している大人に対して、ぐさり刺す発言をする番組。最新の技術を駆使してつくられたチコちゃんのこの一言は、いまの国会、霞が関にも献上したい。

 森友学園および加計学園に関する疑惑は、いまもって国会の最大の争点になっている。真相の究明に与党は相変わらず消極的。野党は少数党ばかりで、与党に対峙するだけの強力な対抗勢力に結集すべきなのに、その動きはにぶい。外に目を向けると、北朝鮮の核・ミサイル問題など、世界が大きく変動し、安全保障の観点からも厳しい情勢になっているにもかかわらず、日本の将来をどう構想して必要な政策を講じていくか、与野党間でまともに議論を闘わせる様子はさらさらない。

 日本の国内は景気、雇用などで明るい指標が示されているため、経済面で与野党の争点は目立たない。しかし、国内の好況をもたらしている最大の要因は赤字国債の大量発行と、それを支える日銀のゼロ金利政策と国債大量購入ではないか。即ち、税収をはるかに上回る財政支出、つまり巨額のばらまきを永年続けてきたことである。

 しかし、国・地方の”借金”が1000兆円を超し、財政健全化の一里塚として掲げた2020年度の基礎的財政収支黒字化の目標も達成不能が確実となっている。財政再建が完全に遠のき、財政が破綻するのはそう遠くはない。金利が上がったりすれば、破綻は早まる。

 財政再建を行なうには、歳出削減と税収増の両方のアプローチがある。まず歳出面をみると、社会保障では、医療費や介護費のむだをなくすための国民的な運動を起こしたらどうか。自分が医者にかかるようになってわかるのは、調剤薬局に行くと、肝心の薬代そのものよりも調剤技術料などの合計のほうがはるかに高い費用だということである。医師による治療の費用の中には、行くたびにX線検査を行うものなどもある。医療、介護などの歳出適正化のために、審査機関によるレセプトチェックの徹底をはかるべきだ。

 公共事業、教育費、防衛費なども、民間の知恵を借りつつ、歳出のムダをなくす工夫が求められる。

 こうした歳出削減の反面、消費税の増税はやむをえない。増税当初は消費が落ちるが、増税による税収増が社会保障関係などの予算として使われることをアピールする必要があろう。アマゾンの日本国内での事業活動に対する課税が問題になっているが、外国人による日本での事業活動に対する適正な課税の実現も重要な課題である。

 国会議員や霞が関の官僚の皆さんは、国政の重要な課題がたくさんあることを踏まえ、これらに真剣に取り組んでほしい。

 

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2018年4月18日 (水)

関経連、PB黒字化めざし消費税15%も視野にと言及

 関西経済連合会が財政健全化と経済成長の両立をめざす財政のありかたについてこのほど提言した。

 提言は国家財政を圧迫している社会保障給付に焦点を当てた改革案で、10%への消費税引き上げは無論のこと、それ以上の消費税引き上げに言及している。それによると、PB(基礎的財政収支)の黒字化については、遅くも2025年度までにその道筋をつけるのが不可欠だという。

 そして、成長実現ケースだと、2022年度にPB黒字化が達成可能であり、消費税率は10%への引き上げを行ない、さらに12%程度への引き上げを検討すべきだとしている。

 他方、2025年度までのPB黒字化が危ぶまれるなら、消費税を15%程度に引き上げることを視野に入れるべきだとしている。いまの消費税率8%から見ると、倍近い。そこまで提言で言い切るのには、関西の企業経営者の厳しい将来展望が反映しているのだろう。

 今回の提言は、社会保障制度改革を重視しており、社会保障関係費の年間増加額をいまの5千億円から3千億円に抑制する目標を設定すべきだとしている。また、財政健全化基本法を制定し、健全化目標の設定、それに基づく予算編成、目標と結果のかい離の管理・検証の義務付けなども検討すべきだとしている。

 提言には、企業自らに対する”注文”がほとんど見受けられない点に不満が残る。だが、与野党がほとんど触れたがらない消費税の将来の引き上げに気軽に言及しているのはいい。

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2018年2月11日 (日)

国債などの政府の債務は1085兆円

 9日に財務省が発表した「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」(昨年12月末現在)は1085兆7537億円だった。1年前より14兆円多い。政府が発行した普通国債などの内国債だけで前年比21兆円増の956兆円に達する。

 政府は毎年、税収などを上回る歳出を当然のごとく行なっているから、国債等のいわゆる借金がどんどん膨れ上がってきている。経済学者の多くは、こうした財政状況を危機ととらえ、財政再建を政府の最重要課題の一つととらえるが、逆に危機とみなさず、必要な政策だという学者・エコノミストの見解もある。

 そして、問題は、国政において、政府・与党が財政拡張を問題視していないうえに、野党も財政再建を重要な政策課題ととらえることなく、いまの野党共闘の主要なテーマに取り上げていないことである。

 財政健全化について、井堀利宏政策研究大学院特別教授が8日の日本経済新聞「経済教室」で「非常時対応の正常化急げ」、「将来世代への先送り限界」という見出しの記事を書いている。土居丈朗慶応大学教授は「月刊 経団連」1月号で「基礎的財政収支黒字化の早期達成を」という見解を述べている。その中で「早期のPB黒字化は歳出改革とセットで」とも言っている。

 これら財政学の大家の見解に対し、松林洋一神戸大学教授の9日付け日経「経済教室」は、「現時点では国内では政府部門の資金不足を、民間部門の資金余剰で埋め合わせることが可能となっている」が、中長期的には2つの点が要注意という。

 団塊世代の高齢化が進む20年代半ば以降、家計部門の貯蓄取り崩しが本格化する。また、企業部門の資金余剰が続くか定かでない。財政が海外からの資本流入に依存するなら、長期金利へ影響が出るかもしれないという。

 こうした専門的な議論を十分に消化する能力はないが、日銀の異常なほどの超低金利政策と抱き合わせの国債多発財政がいつまでも持続可能とは思われない。カネをばらまけば、国内景気を底上げできるが、こうした将来に禍根を残す安倍政権の政策は早期に是正されるべきだろう。

 

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2018年1月30日 (火)

放漫財政をチェックする政治勢力が無い

 水谷豊が主演のテレビドラマ「相棒」をよく見る。警察組織は上下関係で官僚制度の最たるものだが、このドラマでは、その官僚制度の弊害がときおり具体的な事件の捜査に顔を出す。

 政府・与党の要人が関わる事件やスキャンダルなどで、官房長官がもみ消しを指示したりする。警察内部でも上層部の指示で、事件をにぎりつぶしたりする。警察庁と警視庁との上下関係で事件が警察庁の意向に沿って処せられたりもする。もちろん、警視庁が警察庁の無理難題に対し、筋を通そうとしたりすることもある。

 このドラマ「相棒」が長く続いている理由の一つは、この官僚制度の歪みを突いているからだろう。現在の日本では、法の制定から法の運用、適用まで、何が正しいのか、官僚が民主政治の基本に立って公務に励むのが正道だが、現実には、出世するか、左遷されるか、上司などによる人事評価などが影響する。結果として、上司の指示に従ったり、意向に沿った行動をとることが多いと思われる。

 経済政策にしても、官僚の人事評価に政治家が関与するようになり、政権のトップの意向を汲まないと、昇進の道が断たれるという状況ができてきているようだ。財政健全化への取り組みも、消費税増税を繰り返し先延ばしする安倍首相の放漫財政のため、与党、省庁などは予算分捕りのほうに夢中になっている。

 金融の異次元緩和で国債の大量購入に踏み切った日本銀行も、安倍政治に唯々諾々と従って、膨大な国債を抱えたまま、金融正常化に手を着けようともしない。官僚の一人ひとりが、「もの言えば唇寒し」と憂国の思いを内に抱えたままである。

 安倍政権が長ければ、それだけ、官僚たちの国を思う心が薄れていく。野党があまりにも無力な政治情勢を憂う。

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2017年9月10日 (日)

予算の季節:歳出改革が話題になるが…

 2018年度の政府予算案を組む季節になった。最大の歳出分野である社会保障関係の予算要求は、高齢化の進展などでさらに増える。教育などの予算項目も増える。また、北朝鮮の核・ミサイル装備の強化に対応して、我が国の防衛予算要求も増える。災害対策の公共事業もだ。

 その一方で、赤字国債などの累積で、1000兆円超にまで膨らんだ財政赤字―それを減らす財政健全化という課題にも取り組まねばならない。

 では、どうするのがいいのか。新聞やネットで学者やエコノミストなどの意見を読んでいると、いろいろな主張がうかがえる。

 一般的には、家計と国家経済を同一視し、国の”借金”を、あたかも家計のそれと同じようなものととらえる。財務省の関係資料には、そうした見方がうかがえる。

 さて、歳出削減と増税は、財政再建の基本だ。医療、介護などの社会保障関連の歳出は、国家予算のおおよそ3分の1を占めるので、社会保障関連の歳出のムダを削る効率化はきわめて重要である。しかしながら、歳出合理化は好まれない。労多くして功少なしになりがちだからだ。ここは、国民が強く求めるべきだろう。

 消費税増税については、景気の足を引っ張るという見方が与党などに強い。野党でもその傾向がある。だが、増税に見合う社会保障が金持ちにもメリットを与えるようにすれば、消費税増税は選挙民に受け入れられる、という見解もある。

  一方、家計とマクロ経済とを一緒にするなという論がある。国が発行した赤字国債の残高よりも、国民の貯蓄のほうが多いなら、国は破綻しない。国債発行によって経済を刺激し、経済成長を促進すれば、税収が増え、国民が豊かになる。そういう論者はいまだに多い。増税して財政健全化を図るという道は、経済停滞を招きかねず、国民の支持を得にくい。したがって、国は国債をどんどん増発し、財政赤字なぞ気にせず、財政刺激で経済発展をめざすべきという考え方だ。

 そうした路線を強力に支えているのが日銀だ。国債をどんどん買い取り、ゼロ金利を進めてきた。企業にとっては恵まれた経済環境だが、世界経済の中で、いつまでこうした特異な金融政策、金融環境が続けられるものか。

 日本は第二次世界大戦のあと、猛烈なインフレで経済再建を図り、国民の貯蓄をほとんど無価値にした。多くの国民が損をした。そのいつか来た道を歩むことになっても、それはずっと先のこと、と政治家や政府・日銀のトップは高をくくっているのかもしれない。いつの日か、国民がどのような犠牲を強いられることか。政界、財界、官界、学界を問わず、財政危機からの脱却をめぐる真剣な論議が切に求められる。

 

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2017年7月31日 (月)

平成28年度の国の税収は法人税減でマイナスに

 財務省が7月31日発表したところによると、平成28年度の税収は前の年度を3913億円下回った。安倍政権はこれまで、税収増をアベノミクスの成果と誇ってきたが、28年度は法人税が8071億円も落ち込み、ほかの税収との合計でも、税収減となったわけである。

 同年度の消費税は4271億円増えたが、所得税は989億円減った。

 日本経済は低成長率が続き、政府は財政・金融政策を企業などの競争力強化に向けて重点的に実施してきた。その結果、企業は収益増、内部留保増などを達成し、逆に法人税の納税額は著しく減っている。

 このように税収から見ると、企業は”明”、個人・労働者は”暗”である。それでなお、デフレから脱しきれないというのは、経済政策が間違っているのではないか。企業にもっと蓄えを吐き出させ、労働者の賃金を上げるという政策がまじめに取り上げられていい。

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2017年7月16日 (日)

経済同友会、財政健全化は持続可能性にとって最重要課題と

 経済団体の経済同友会は14日、アピール「持続可能な社会の構築に向けて」を発表した。アピールは5項目あるが、そのトップで、持続可能性への危機感を指摘し、財政健全化を筆頭に挙げた。

 政府の”骨太の方針2017”では、「消費税引き上げの記述が消え、財政規律の弛緩を招きかねない公的債務残高対GDP比というストック指標が導入された」。これに対し、同友会は「国の将来を見据え、プライマリーバランスの黒字化に向けた現実的かつ具体的な目標を示すとともに、2019年10月の消費税率10%への引き上げの確実な実施を求める」と主張した。

 アピールでは「財政健全化は、わが国の持続可能性にとって最重要課題の一つ」とし、安倍政権には、短期的な支持率の変動を恐れずに取り組むよう主張している。

 同友会は、財政健全化の基本は「出ずるを制する」であるとし、社会保障の質を担保しながら、効率化する改革が不可欠だと言う。そのためには、最大の阻害要因である”シルバー民主主義”の打破に向けて、若い世代の意見が反映される政治制度の検討を求めている。

 また、同友会は、このアピールの第5項目「Japan2.0」―「国のかたちを描く」において、わが国の憲法を改定するか否かの議論が本格化することは、日本が目指すべき「国のかたち」を改めて考える好機として前向きに評価する、としている。

 

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